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閑話休題 失敗せずに一括査定サイトを利用するための5つのポイント

不動産を売却する際、一括査定サイトは便利で手軽な手段ですが、サイト特有の仕組みを知らずに利用すると失敗する可能性もあります。この記事では、一括査定サイトの仕組みを知り、失敗しないための5つのポイントについて解説します。これらのポイントを押さえて、スムーズな売却プロセスを進めましょう。

1. 一括査定サイトの仕組みとメリット

不動産の一括査定サイトとは、マンションなどの不動産所有者が売却を考えた時に、複数の不動産会社に無料で同時に査定の依頼ができるサイトのことです。

1-1 一括査定サイトの基本的な仕組み

まず最初に知っておいていただきたいのが、不動産の査定を行うのは一括査定サイトを運営している会社ではなく、一括査定サイトに登録している不動産会社が査定を行うということです。



査定をしてほしい利用者と、査定をさせてほしい不動産会社の間をとりもつマッチングサービスのイメージです。

1-2 ユーザーが一括査定サイトを利用するメリット

メリットとしては、複数の不動産会社に1回の手続きで査定を依頼できることに尽きます。

ざっくりの金額を教えてもらうだけでも、築年数や広さ、間取り、住所等々を伝える必要があります。個々の不動産会社へ電話やメールをして都度伝えるよりも、サイトを開いてポチポチとクリックや入力するだけで依頼が済んでしまうお手軽さが人気になっているようです。

2. 不動産会社が一括査定サイトに登録する理由とは

査定依頼があった時点で他社との比較をされる前提の一括査定サイト。どうして不動産会社は登録をするのでしょうか。

2-1 集客効率はいい…らしい

どのような業種の会社でも、お客様からの「問い合わせ」を獲得することに知恵を絞っています。一括査定サイトは莫大な広告宣伝費を使ってインターネット上に広告を出し、お客様を集める「集客」を代行してくれます。

そのため、今までのように地道な営業活動から売主を見つけるのではなく、一括査定サイトに登録して、サイトからの反響を待つほうが効率がいいと考える不動産会社も増えてきています。

2-2 だが、一括査定サイトにはお金がかかる

莫大な広告宣伝費を掛けてインターネット上に広告を載せる一括査定サイト。査定を依頼する利用者は無料で利用できるのですが、サイトはどのように利益を得ているのでしょうか。

一括査定サイトに利用者から査定依頼の申込があると、査定に応札する登録不動産会社から「査定参加料」として1万~1万5000円程度の費用を徴収する仕組みになっています。



車を売る時や引っ越し費用の見積もりを取る時でも、何社かから見積もりを取りませんか?

不動産の場合でも複数社に査定をしてもらうことは大切です。平均すると5社前後に査定を依頼するようです。一括査定サイトは「査定依頼数×参加料」を不動産会社から得ることができるため、利用者からの査定依頼が増えれば増えるほど儲かる商売です。

ですが、不動産会社は査定に参加するごとにお金を取られるため、集客効率はいいかもしれませんが、費用対効果の面ではどうなんでしょう?全ての会社にとってメリットがあるようには思えないのですが…

2-3 なので、ホンネは直接の問い合わせが欲しい

不動産会社の収入は、仲介が成立した時に売主・買主からいただく仲介手数料のみです。これは成功報酬です。どんなに頑張って仕事をしても、売買が成立しなければ1円も貰えません。

成立させるためには売却や購入の依頼を得なければなりません。その依頼を増やすための一括査定サイトなのですが、参加料が必要です。参加料なので、査定に参加した時点で費用が発生します。売却のための媒介契約が取れなくても払わなければいけません。

成功報酬でしか収入を得られない不動産会社にとって、不成功でも支払いが発生する参加料は手痛い出費です。なので、不動産会社の本音としては、一括査定サイト経由ではなく直接の問い合わせが欲しいわけです。

そして、この手痛い出費となる参加料が発生することが、一括査定サイトでの査定価格の信憑性を疑わせる原因となっているのです。

3. 不動産一括査定サイトに潜むデメリット

ここからは、一括査定サイトに潜むデメリットの数々をご紹介していきます。

3-1 驚くような高額査定が出ることも

【2-2 だが、一括査定サイトにはお金がかかる】で書いたように、不動産会社が一括査定サイトを利用する際には費用が発生します。

費用が発生する以上、企業としては費用を回収するようにしなければなりません。不動産会社が費用を回収するためには、売却の依頼である「媒介契約」を取らなければなりません。

不動産を売却しようと考えている人から売却の依頼を獲得するための1番の方法は「高く売れる」と思わせることです。そうです、どこかで聞いたことがありませんか?「弊社に任せていただければ〇〇の金額で購入希望者を探してきます」などの類のセリフです。

複数社からの査定金額の中で、頭2つほど抜けた査定金額を提示する不動産会社の話しは信用しない方がいいと思います。

3-2 全体的には高値査定の傾向になる

前述のような極端な例ばかりではなく、一括査定サイトでの査定金額は全体的に高値になる傾向にあります。1番の理由は、やはり「媒介契約の獲得」です。

費用回収は至上命題。媒介を取れずに帰社した時のプレッシャーはかなりのものです。査定に参加する会社全体が「高値査定」をしてしまうのも致し方ないのかもしれません。

一昔前だったら「複数査定の2番目の価格」で無難に納まるケースも多かったのですが、一括査定サイトの時代では「1番高値を外した残りの平均」ぐらいの金額での売り出しが無難な気がします。

査定が出揃った時には「自分だったらこの金額で買うか?」と自問してください。自分自身が買わないような高値で他人に買ってもらおうと考えるのはいかがなものでしょう。

3-3 不動産会社に偏りがある

査定の都度発生する参加料。塵も積もれば山となるではないですが、やはり地味にダメージは受けるものです。

そんな費用を払える不動産会社となると、それなりの規模の会社になってしまいます。

マンション、戸建て、土地と、不動産には色々な種類があります。会社によっての得手不得手もあり、大きな会社だから、聞いたことのある会社だから安心とは限りません。また、担当者との相性などもあります。

「いくらぐらいで売れるのかな?」と考えた時のとっかかりとしては便利な一括査定サイトですが、買うのが人なら、売るのも人です。人としての相性も大切なものだと思います。

査定の際に担当者と話しをしてみて「???」と思うようなことがあった時には、いったん立ち止まって別の不動産会社を探してみるのもいいと思いますよ。

3-4 営業電話や営業メールは覚悟する

引っ越しや車の買い取りの時に体験した方もいるかと思いますが、営業電話や営業メールは確実に入ります。これは致し方ありません。

問い合わせの段階である程度の物件情報は送ってあったとしても、足りない場合もあるでしょう。単純に接触を持ちたいだけの理由での電話もあるかもしれません。

でも、これはしょうがないんです。お金がかかってるんですから。諦めてください。それがイヤなら一括査定サイトは使わない方がいいです。私も引越し費用のサイトを使った時に後悔しました。

ホントにざっくりの金額が知りたいだけの場合は、個別で不動産会社に名前を名乗らずに電話するのが1番です。

しっかりとした会社なら名乗らなくてもちゃんと対応してくれます。ぞんざいな対応をする会社だったら、その時点でふるい落とせたと思えばいいんです。

4. 私がおススメする一括査定サイトの利用方法

デメリットもある一括査定サイトですが上手く利用すれば便利なツールです。おススメする使い方をご紹介します。

4-1 ざっくりの価格を知るために利用する

「いくらぐらいで売れるのかなぁ」と漠然と考えているような時に価格検証用として使うのはおススメです。

パソコンで簡単に複数の不動産会社に査定を依頼できるのが一括査定サイトのメリットであり、複数の不動産会社に査定を依頼することは悪いことではありませんし、売却のためには当然行うべきです。

査定価格が高くなる傾向の一括査定サイトですが、査定する不動産会社の全てが信用できないということではありません。

ずば抜けて高い査定価格が怪しいのであって、それ以外の複数の不動産会社が似たような査定価格を出してきたのであれば、その査定価格は信用できる価格といえます。

近所に不動産会社があればその会社にも査定をしてもらい、念のために一括査定サイトを使ってみるという利用方法もありだと思います。

4-2 媒介契約は一般媒介で

不動産会社に販売活動を依頼する媒介契約には「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。

3つの中で一般媒介契約だけが「複数の不動産会社に販売活動を依頼できる」契約内容です。

宣伝広告にも各社多少の違いはあるでしょう。販売状況の確認や相談も、1社単独よりも複数社とした方が手間はかかりますが良い場合も多々あります。

一括査定を使っての売却で失敗や苦戦している人には、「一括査定+査定価格が高い不動産会社に専任媒介」の組み合わせをしているケースが多く見受けられます。

よほど相性のいい不動産会社や担当者と巡り合わない限り、媒介契約は一般媒介がおススメです。

5. 一括査定サイトによくある疑問

一括査定サイトを利用する時に、よく聞かれる疑問を紹介していきます。

5-1 本当に無料で利用できるの?

本当に無料です。

一括査定サイトは登録している不動産会社から広告掲載料や査定参加料などで成り立っています。

そのため、査定を依頼する利用者は無料で利用することができます。

5-2 依頼する時に用意する書類は?

1.登記簿謄本
2.登記権利証・登記識別情報
3.身分証明書

最低限これだけのものがあれば大丈夫です。

他にも、購入時の売買契約書や重要事項説明書、住宅ローンの返済予定表などがあれば一緒に用意しておきましょう。

5-3 親の代理でも大丈夫?

サイトでの情報入力や不動産会社とやり取りなどが高齢の親御さんでは難しいような場合は、お子さんが代理で査定依頼をすることに問題はありません。

ですが、親が認知症などで判断能力がない場合などを除き、実際の不動産売却は名義人本人しか行うことができないため注意が必要です。

5-4 査定依頼したら必ず売却しないとダメ?

安心してください、そんなことはありません。

一括査定サイトを利用したからといって、必ず物件を売却しなければならないわけではありません。

査定価格などの条件に納得できない場合はキャンセルしてしまって大丈夫です。

5-5 家族に内緒で査定依頼することは可能?

不動産会社との連絡のやり取りは電話やメールの場合がほとんどです。

電話やメールでの連絡を家族に知られないようにできるのであれば、家族に内緒で査定を依頼することは可能でしょう。

ですが、不動産会社が査定後の様子伺いや営業目的でパンフレットなどを郵送してくる場合もあるため、家族に内緒にしておきたいのなら、査定の際に連絡方法をしっかりと伝えておくようにしましょう。

まとめ

失敗せずに一括査定サイトを利用するための5つのポイントをご紹介してきました。

メリット・デメリットが入り混じる一括査定サイトですが、上手に使っていただければ便利なツールであることは間違いありません。

目的にあった使い方を心掛けるようにしてください。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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