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「このマンションを探しています」売却チラシに騙されない方法は

分譲マンションに住んでいるのであれば、「限定1人!このマンションを探している人がいます」「この学区限定で探している人がいます」等々の売却物件募集のチラシがポスティングされたことがあるでしょう。売却を考えている人にとっては具体的で魅力的なチラシですが、信用してもいいのでしょうか?今回は、こんなチラシの真実をお伝えしていきます。

1. 売却物件募集チラシの疑問

「このマンションを探しています」「この学区限定で探しています」等々、かなり具体的にピンポイントで売却物件募集のチラシがポスティングされたことがありませんか?

売却を考えている人には魅力的なフレーズではありますが、このチラシを信用してもいいものなのでしょうか。

1-1 売却物件募集チラシは信用できるのか

スーパーの特売チラシの商品と違って、マンションを売る時には1人の購入希望者がいればいいのです。

なので、売主としては「このマンションを探している人が1人います」などと書かれたチラシの文言に気をひかれるのは当然のことです。

ですが、チラシに書いてある「このマンションを」「1人います」の文言に関しては九分九厘ウソと言っても過言ではありません。

ウソと書いた理由を順番に説明していきます。

1-2 このマンション限定ではない

「このマンションを探している人が1人います」と書いたチラシは、不動産業界では通称「限定1チラシ」と呼ばれています。聞くところによると、某大手不動産会社が始めたらしいです。

この「限定1チラシ」、書いてある内容が具体的なので、思わず信用してしまうのも無理はありません。

ある時、僕の父親からも「ウチのマンションは人気があるみたいで、しょっちゅう「このマンションを探している人がいます」って書いたチラシが入ってる」と聞いた時には、思わず心の中で「あんたはバカか」と嘆いたものです。

ウソだと思うのでしたら、ご自宅のポストにチラシがポスティングされた時に近所の分譲マンションのポストを覗いてみてください。マンション名が替えられたチラシが付近一帯のマンションにポスティングされているはずです。

1-3 考え方しだいで「1人」はウソではない

広い世の中、1人ぐらいは「このマンション」を探している人がいるかもしれません。なので、「1人います」はウソではないかもしれません。

そして、中古マンションの買取業者さんは法人なので、法人を「人」として考えればウソではなくなります。

買取業者さんは金額が折り合うのであればどんな条件のマンションでも買い取ります。そして、常に買い取りできるマンションを探しています。

チラシの中の文言に

・住宅ローンを使わず現金で
・不要な荷物はそのままでOK
・リフォームは買主が

などが書かれた売却物件募集のチラシに書いてある「1人」は、買取業者さんの事を言っていると思ってもらっても間違いではありません。

1-4 さらにエグイ「1人」の場合も

世の中にはさまざまなマニアがいます。不動産業界にもマニアがいるのですが、中には「新規の売却物件は全部見たい」というマニアもいるみたいです。

以前に知り合いの業者さん「A氏」に聞いたのですが、A氏のお客さんの中にこの類のマニアの人がいて、「新しい物件が出ましたよぉ」と連絡をすると、名古屋市内であれば大抵は見学をするそうです。

このお客さんをダシに使って、「ご紹介できるお客さんがいるので、ぜひ当社で媒介契約を」と言って媒介契約を獲っていたらしいです。

売主さんとしては「そんな人がホントにいるのか?」と半信半疑ではあっても、媒介契約を結んだ翌週ぐらいにはホントに見学に来るらしいです。

そして、そのマニアの方も慣れたもので、お部屋に関しては一通り褒めて帰っていくようです。

売主さんとしては「ホントに探していた人がいたんだ。」とA氏を信用をし、褒めて帰っていったので期待値も上がります。

でも結果は当然ですが「残念ですが…」です。見ることが目的なので当たり前ですよね。

その後も案内が入るかどうかは時の運。A氏としては月間の媒介契約獲得ノルマも達成できたのでOK。

「不動産業界って怖いなぁ」と思ったエピソードでした。

2. 売却物件募集チラシの狙い

どうして不動産会社が売却物件募集のチラシをポスティングするのでしょうか。その理由を見ていきましょう。

2-1 自社で扱う売却物件が欲しいから

売却チラシをポスティングする理由は、なんと言っても自社で扱う売却物件を集めたいからです。

売主さんと媒介契約を結び「自社物」とすることができれば、まずは売主さんからの仲介手数料を確保することができます。

その後の販売において自社で買主を見つけることができれば、買主からの仲介手数料もゲットできる「両手仲介(両直)」となり、売り上げが2倍です。

仲介手数料が売り上げの全てである不動産会社としては、両直での取引を成立させるために売却物件を募集し、売主からの仲介手数料を確実に確保できる専属専任や専属での媒介契約を結ぶことが大切です。

売主からの仲介手数料を他社と競うことになる一般媒介を避けたがるのは、こういった理由があるからです。

媒介契約の種類や内容に関しては、媒介契約ごとの特徴を理解するを参照してください。

2-2 ブツ出しを専門とする「出し屋」さんも

たくさんの不動産会社が売却物件募集のチラシをポスティングするのですが、「限定1チラシ」をポスティングしているのは「出し屋」さんが多いです。

出し屋さんというのは、売り物件を集めてレインズなどに登録し、買主に関しては基本的に他社に探してもらう不動産会社の事を言います。

あわよくば自社で買主を見つけられればと、一応の販売活動は行うのですが、ブツ出しをすることに特化している部分があるため、買主を見つけてくるのは苦手な会社さんが多いです。

そして、この出し屋さんが仲良くしているのが買取業者さんです。

限定1チラシを大量にばら撒いてマンションの売却を考えている人にアプローチ。うまいこと話しをまとめて買取業者さんに買い取ってもらえれば、その時点で両手仲介の完成です。

そして、往々にして買取業者さんは、「売り返し」として、リフォーム工事が完了してから数カ月はブツ出しをしてくれた業者さんに「専任返し」をします。

出し屋さんは、この専任返し期間中に他の不動産会社が買主を見つけてきてくれれば、売主さんからの仲介手数料を得ることができます。

こうして、1件のマンションで仲介手数料を何度も得るために大量のポスティングを行っているのです。

うかつに「このマンションを探している人がいます」とか「この学区で探している人がいます」とか「予算は○○万円です」などと書かれたチラシは信用しない方がいいですよ。

3. 売却物件募集チラシの使い方

「限定1チラシ」の本質が分かったところで、それ以外の売却物件募集のチラシに関してはどう考えればいいのでしょう。

3-1 不動産取引は縁と一期一会

不動産会社にとっては売却物件を集めることが大切なため、限定1チラシに限らす、売却物件募集のチラシはどうしても美辞麗句が並びがちになります。

ですが、日常的に大量のチラシがポスティングされる中で、ふとした時に目にとまったチラシがきっかけとなり、「ちょっと考えてみようか」となる人がいることも事実です。

不動産に限らず、「売り」があって初めて「買い」が成立します。「売買」ですから。

不動産会社にとっての売却物件募集のチラシは、縁と一期一会のきっかけとなる大切なアイテムともいえます。

3-2 チラシもいつかは役に立つかも

とは言いつつも、頻繁にポスティングされるチラシは、マンションの売却を考えていない所有者さんにとってはゴミ以外の何物でもないでしょう。

ポスティングしている不動産会社としても、そのあたりは重々承知してのポスティングです。

迷惑を承知でポスティングを続けるのは、過去の事例として「ある時ふと「家を売ろうかな」と思いついた」売主さんが案外多数いるからです。

転勤や身内の不幸などで、急遽今のマンションを売らなければならなくなる人もいるかもしれません。

ですが、そんな時に備えてポスティングのチラシを大切にしまっておいてくれるような酔狂な人はいないでしょう。

必要になったその時に目に留めてもらえるように、不動産会社はポスティングを続けているんです。

まとめ

マンションの売却チラシに関して色々と書いてきました。

チラシはウソが多いから、ネットを使って一括査定でと考える人もいるかもしれませんが、一括査定には一括査定で色々と問題もあります。

【参照】失敗せずに一括査定サイトを利用するための5つのポイント

ご自身の大切な財産であるマンションの売却をする際には、安易なセールストークに騙されることなく慎重にお考えいただき、ご心配事やご不明な点が出てきた際にはお気軽にお問い合わせください。

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