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離婚をする際に共有名義の不動産がおよぼす影響とは

離婚時の財産分与において、自宅である不動産の取り扱いは多くの夫婦にとって大きな問題となります。スムーズに売却ができ、財産分与を完了させられるのならば問題はありませんが、オーバーローン状態だと離婚そのものがとん挫する可能性もあります。本ブログでは、共有名義の不動産が離婚に及ぼす影響と、その対策について詳しく解説します。

1. 不動産名義の基本知識

1-1 不動産名義とは何か

不動産名義とは、土地や建物に関する登記記録(登記簿謄本)において、その不動産に関しての所有権や賃借権、抵当権などの権利を有する者として記載されている人のことを指し、一般的に「登記名義人」といわれる人のことです。

1-2 名義の種類

不動産の名義には1人で所有する「単独名義」と、2人以上で所有する「共有名義」があります。

ご主人もしくは奥さんどちらか1人で所有する「単独名義」が1番多いパターンですが、夫婦2人で住宅ローンを申し込む「ぺアローン」を利用した場合には、夫婦それぞれが借入金額の割合に応じて持ち分を持つ「共有名義」となります。

2. 共有名義で気を付ける点は

2-1 ぺアローンは相互保証

首都圏と比べればまだまだ現実的な値段で不動産が買える名古屋ですが、30代で子ども無しの共働き夫婦の中には、ぺアローンを使って自宅を買うケースもちらほらと見受けられます。

ぺアローンの場合は前述したように「共有名義」になりますが、もう一点見落としがちな注意点として、夫婦それぞれが相手の「連帯保証人」になっている事です。

夫の返済が滞ったときには妻が、妻の返済が滞ったときには夫が、責任をもって相手方の返済を肩代わりする立場になっています。

この「連帯保証人」の関係を甘くみていると、離婚の際に痛い目にあいます。

2-2 収入合算は「隠れ」共有名義

ぺアローンよりは利用するケースが多いのが「収入合算」です。

夫が転職して間がなかったり、夫婦の年齢が若く、まだまだ収入が少ないなどの場合に、夫の年収だけでなく妻の年収を加味して住宅ローンの審査を通すパターンです。

収入合算の場合では、合算した妻は不動産の名義人にはなりません。あくまでも不動産は夫の単独名義です。ですが、銀行の書類上では「連帯保証人」として扱われることに注意が必要です。そのため、夫が返済を滞らせたときには、ぺアローンのケースと同じく、妻が責任を持って返済をしなければなりません。

自分自身も、賃貸の家賃を払うぐらいなら家を買っちゃった方がいいと思っているので、ペアローンや収入合算を否定する気はありませんが、避けられるのであれば避けていただいた方が、万が一のときに対処がしやすくなるかと思います。

3. 売却が離婚におよぼす影響とは

3-1 アンダーローンは問題なし

自宅の売却価格>住宅ローンの状態である「アンダーローン」は問題なしです。

売れる値段で自宅を売却し、住宅ローンを完済して残ったお金を分ければ解決です。単独名義でも共有名義でも関係ありません。いたってシンプルに、スムーズに財産分与も離婚もすすむでしょう。

3-2 オーバーローンだと大変

自宅の売却価格<住宅ローンの状態である「オーバーローン」だと色々大変になってきます。

自宅を売却するためには住宅ローンを完済しなければなりません。オーバーローンの状態では自宅の売却益だけでは住宅ローンを完済できないため、足りない現金を他の方法で補填する必要があります。

 手持ちの預貯金などで補填する 財産分与後の手残りは減ってしまいますが、預貯金に余裕があったり、車や貴金属などを売って現金を作るなどの方法で解消できると事がスムーズにすすみます。


 カードローンを利用する 補填が必要な額にもよりますが、200~400万円ぐらいまでの借入で対処できる場合では、思った以上に利用する方がいます。


 親に頼る 全額を頼るのではなく、カードローンでの借り入れと併用する形でお願いしてみるパターンが多いです。


離婚をすすめるためにも、いろいろな方法を考えてみましょう。

4. 離婚とオーバーローンの関係

オーバーローン状態は、いってしまえば「借金が返せない」状態です。そんな状態で離婚をすすめるにはどうしたらいいのでしょう。

4-1 単独名義は割り切ってしまえばOK

けっこう世間ではあると思うんですが、住宅ローンの返済を夫に押し付けて、妻は子ども一緒に家を出るパターンです。

オーバーローン状態では自宅の売却益も発生しないため、財産分与の対象にもなりません。自宅以外の財産分与をすすめて、「あとはあなたが責任も持って対処してちょうだい」と、離婚してしまえばいいのかと思います。

返済が滞っても妻にはなんの責任も発生しません。離婚した元夫は赤の他人です。滞納して自己破産しようがどうなろうが知ったことではないでしょう。

子どもと一緒に、もしくは自分1人での生活を頑張っていけばいいだけのことだと思います。

4-2 共有名義はなんとしても売却を

共有名義の場合は、なんとしても売却してから離婚しましょう。

前述したように、ペアローンや収入合算の場合は「連帯保証人」になっています。そのため、単独所有のように「あとはあなたが…」のようにして離婚してしまうと、返済が滞ったときには銀行から督促が入ってしまいます。

「離婚したから…」は銀行には通用しません。

世間に散見している「オーバーローンの場合は任意売却を」と書いているブログのように任意売却を選んでしまうと、2人ともども信用情報にキズがついて、離婚後の生活にも不具合が生じます。

平穏無事な離婚後の生活を過ごすのであれば、共有名義の場合にはなんとしても売却を完了させてから離婚しましょう。

売却ができないのであれば、まだ仮面夫婦を続けた方がリスク管理はしやすいかと思います。

共有名義のリスクに関しての詳しい説明は離婚時の不動産売却における共有名義のリスクとは

まとめ

できることならペアローンや収入合算などを使わず、単独名義で購入してもらった方がいいのですが、誰しもが離婚を前提に家を買うことはしないでしょうから、やむを得ない部分もあります。

離婚にともなっての不動産売却でお困りの際にはお気軽にお問い合わせください。実体験も交えて、最適な方法を考えて、精一杯のお手伝いをさせていただきます。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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