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「築40年のマンションなんて売れない」に騙されないで。ちゃんと需要はあります。

「築年数が経過したマンションは売りにくい」という悩みを持つ所有者もいるのではないでしょうか。 築40年を過ぎたマンションは売れないというわけではありませんが、築浅のマンションに比べれば売れにくいのは事実です。しかし、売れない理由を理解し、適切な対策を取ることで、売却の可能性は高くなります。本記事では、古いマンションを売却する方法を紹介していきます。

1. そもそも築古マンションの定義は

世間的には建てられてかなりの年数が経っているマンションを「築古マンション」と呼びますが、築何年以上を築古と呼ぶのかの明確な定義はありません。

なんとなくですが、約5~10年以内は築浅、築20年ぐらいで中古、築30年を超えてくると築古マンションと呼ばれているのではないでしょうか。

そんななか、築40年を経過したマンションは結構な年季モノとの認識になってくるといえるでしょう。

1-1 築40年のマンションには住めるのか

個人の認識・考え方、マンションとしてのメンテナンスにもよりますが、名古屋市内でも築50年を超えたマンションを見かけることも増えてきた昨今では、築40年のマンションはまだまだ現役として住んでいくことができると、個人的には思っています。

事実、「キレイに使っているなぁ」と思う築40年超えのマンションも多数見てきました。

1-2 築古マンションの需要はあるのか

あるかないかの二択で考えるのでしたら、「ある」の一択です。ただし、しっかりとメンテナンスがされているのが条件です。

室内に関しては購入後にリノベーションを行うことで新築同様にすることも可能ですが、外観を含めて共用部のメンテナンスがされているかどうかで、売れる売れないが変わるのではと考えています。

後述しますが、マンションにとって管理組合は大事ですよ。

2. 築40年のマンションが売れない理由とは?

築40年を過ぎた築古のマンションが売れにくい背景には、いくつかの共通した理由があります。一般的に考えられる理由としては

・旧耐震基準のマンションだから
・住宅ローン減税の対象外だから
・建物の仕様が古いから
・修繕積立金が高いから
・管理組合が機能しておらず、管理体制が悪い物件が多いから

それぞれの理由を順番に見ていきましょう。

2-1 旧耐震基準のマンションだから

1981年6月に定められた現行の耐震基準(新耐震基準)では、震度5の地震ではほとんど損傷しない、震度6~7の地震が起きても倒壊しない建物強度が求められています。

これに対して、それ以前の旧耐震基準では、震度5強程度の地震で倒壊しないことが基準となっているため、地震の発生数が多い日本では、より丈夫な建物である新耐震基準のマンションを選択する人が多いのは事実です。

ですが、実際には旧耐震のマンションでも、それほど大きな被害はでていないとのデータもあり、あまり神経質になる必要もないのかと個人的には思っています。

ただこれは完全に個人個人の主観になってしまいますので、「ダメ」「イヤだ」と思っている人にどれだけ説明してもムダだと考えています。

気になる人は「阪神淡路大震災 マンション 被害」ぐらいのワードで検索してみてください。

2-2 住宅ローン減税の対象外だから

年末借入残高の0.7%に縮小されたとはいえ、大きなメリットでもある住宅ローン控除の制度です。

旧耐震のマンションは基本的に適用外。そのため、購入者側から敬遠される理由にもなってはいます。ですが、実際には住宅ローン減税のことを知らない購入者もいるので、あまり神経質になることもないのかと。

そして、旧耐震のマンションでも減税の対象となるマンションがあります。

・登記簿謄本で昭和57年1月以降の新築と記載されたマンション
・「耐震基準適合証明書」が取得できるマンション

他にも、「既存住宅性能評価書」を取得できたり、「既存住宅売買瑕疵保険に加入」できれば対象とはなるのですが、まずムリです。この2つに関しては無視していただいて結構です。

2-3 建物の仕様が古いから

40年前に建てられたマンションですから、今のマンションと比較すれば設備や建物の古さが目につくのは致し方ないでしょう。

たとえば、エレベーターが付いていない団地タイプのマンションの4階・5階のお部屋はかなり苦戦するのは事実です。3階までならエレベーターがなくても案外スルッと売れることがあります。最近の新築の賃貸住宅の大部分が3階建てまでなのも、4階・5階の入居率が悪いなどのデータがあるのではないかと思います。

セキュリティ面での不安から敬遠されるとの話も聞きますが、実際に販売の現場ではそこまで気にされる方は少ないような気がします。

たしかに、オートロック付きを希望される方も多くいますが、オートロックが付いていないから絶対にダメではなく、立地や間取り、価格などとのバランスがとれていればそこまで苦戦することはではないです。

玄関のカギをディンプルタイプのしっかりとしたものに取り替えれば、安心感はかなりアップするのではないでしょうか。

それよりも、北側の洋室にエアコンが取り付けられないことの方が大きなデメリットになってきます。こればっかりは致し方ないです。40年前には北側の洋室にもエアコンと付けるなんてことは考えられなかったでしょうから。リビングに1台あれば良しの時代ですからね。

そういった面では、エレベーターが各階に停止しない「スキップフロア」のエレベーター非停止階なんかは案外狙い目になります。

 スキップフロア エレベーターが各階に停止するのではなく、1階・4階・7階などと、2フロアを飛ばして停止するマンションです。

2階の人はそのまま階段で。3階・5階の人は4階で降りて、それぞれ階段で昇り降りすることになります。

エレベーターが止まらないのはデメリットですが、共用廊下の分、お部屋が広くなっていたりバルコニーになっていたりします。バルコニーになっていればエアコンを取り付けることも可能ですので、「エレベーターが止まらないから」とデメリットばかりを考えるのではなく、非停止階ならではのメリットを考えてみればいいと思います。

廊下がないので、窓を外を人が通ることもないですしね。慣れてしまえば案外快適に暮らせると思います。

2-4 修繕積立金が高いから

たしかに、新築や築浅のマンションと比べれば高くなっているマンションは多くあります。

ですが、これは見方を変えれば、新築や築浅のマンションが安すぎると考えることもできます。

ここ数年の円安の影響からの物価高、それに連れての人件費の高騰などをふまえて、既存のマンション管理組合では修繕積立金の値上げを検討するようになってきました。

そして、中古マンションを探している人の中にも、修繕積立金が安ければ安いほどいいと考えている人ばかりではなく、将来を考えて、ある程度の金額が積み立てられている方が安心できると考える人も増えてきました。

一方の新築マンションは、相も変わらず販売することを重視して管理費や修繕積立金を安めに設定しています。

そのため、早ければ新築引き渡しから5年程度、遅くても1回目の大規模修繕工事が終わったあたりで管理会社から「このままでは修繕積立金が足りなくなります」と言われるマンションが大部分です。

築40年を超えたマンションであれば、通常2回は大規模修繕工事を行ってきています。

そういった経緯を考えれば、「足りなくなることがないように値上げをしてきた」とも言えます。この先も値上げすることがないとは言えずとも、大幅な値上げの可能性は少ないと考えれば、購入後の固定費の変動幅が少ないとも言えます。

一概に高い修繕積立金がいけないと考えるのではなく、しっかりとした理由があっての金額と伝えることができれば、必要以上にネガティブに考える必要もないと思います。

2-5 管理組合が機能しておらず、管理体制が悪い物件が多いから

これは、致し方ない面もありますが、結構深刻な問題でもあります。

築年数が経ってくると、どうしても所有者の年齢層も高くなってきます。そのため、体調面から管理組合の運営に携わることが難しくなってくる人も出てきてしまいます。

結果として「他人任せ」「無関心」になってしまい、マンション全体の管理が行き届かなくなってしまいます。その結果、共用部の清掃不備や管理費等の滞納、住民同士のコミュニケーション不足などにもつながり、マンションの価値が低下していってしまいます。

管理組合をサポートするのが管理会社ですが、管理会社も営利企業ですので、必要な経費がもらえないのであれば、もらえる経費の範囲内でのサポートしかしてくれません。

そういったことを考えると、先ほどの修繕積立金と同じように、ある程度の値上げをして、しっかりとサポートしてもらう体制を作っておくことが、結果的にマンション全体の価値を上げることにつながるのではないでしょうか。

3. 築40年だからこその優位点を考える

築40年を超えてくれば売れにくくなるのも致し方ありませんが、そんな築40年のマンションの中にも人気があり、売り出せば順調に成約に至るマンションもあります。

築年数が経っていても売れるマンションの特徴にはどんなものがあるのでしょう。

3-1 やっぱり駅近マンションは集客がとれる

人間だれしも便利な場所に住みたいと考えるものです。

新築マンションビルダーも好立地を探して建設をするのですが、駅近などではすでに開発が進んでしまいなかなか土地を仕入れる事が出来ません。

その点、築40年を超えたようなマンションは駅近に建っていることも多く、「マンションは立地」の格言のとおり、駅近など立地のいいマンションは、築年数が経っていても人気があり集客力があります。

駅の周辺にはスーパーやドラッグストアなどの商業施設だけでなく、内科や歯科などの医療関係の施設の数も多くなりやすく、生活利便性も高くなります。

そのため、中古マンションの購入客としてのボリュームゾーンにあたるファミリー層だけでなく、郊外の一戸建てや、ちょっと不便な場所にすんでいる高齢者の住み替え需要も取り込むことができます。

結果として内覧を希望する人数も増え、成約の確率も高くなります。

3-2 敷地内の駐車場に空きがあるか

これは前述の立地とリンクする部分もあるのですが、駅近のマンションの場合では車がなくても生活ができるため、高齢になった所有者が車を手放すことが増えて、敷地内の駐車場に空きがある場合があります。

そのため、これからも車が必要なファミリー層にとっては好都合。郊外に住む高齢の方にとっても、車の維持費がなくなればマンション購入のハードルが下がるため売れやすくなります。

さらに、40年前のマンションで機械式駐車場が設置してあるケースはほとんどなく平面駐車場になります。駐車場のメンテナンスのために修繕積立金を用意する必要もなく、ミニバンも駐車できるため一石二鳥になります。

敷地に余裕があり駐車場の台数がしっかりと確保してあるマンションは、売却に関しては大きなアドバンテージを持っていると言えます。

3-3 郊外の場合は小学校が近いと有利

郊外のマンションの場合は、違った意味での「立地」が大切です。

もともと、郊外のマンションを購入しようと考える人は利便性よりも環境を重視する人が多い気がします。

便利な場所で「生活する」ことよりも、自然が多かったり静かな環境など、その場所で「暮らしていく」ための環境を重視している感じです。

購入層としては、単身者や夫婦のみよりもファミリー層が中心になってきて、スーパーやドラッグストアなどの商業施設よりも、小学校までの距離を気にする人の割合が多くなります。

10分~15分程度の距離なら問題なし。20分を超えてくるとちょっと難色を示したり不安に思う人が増えてきます。

3-4 他の住人とのコミュニケーション

管理組合がしっかりと機能しているかとともに、マンション内の他の住人とのコミュニケーション具合も大切になってきます。

賃貸を借りる時にも心配はするのでしょうが、やはりマンション購入となると気にする度合いも違ってきます。

かなりの頻度で「上下左右ってどんな人が住んでますか?」「年齢層ってどれぐらいですか?」などと聞かれることが多くあります。

事細かに伝える必要はありませんが、「こんな感じの人ですよぉ」とか「小学生が何人ぐらい」とかを伝えられると、そこから住人のイメージを作ることができるようです。

あまり他人とのコミュニケーションを密にとる時代ではなくなってきてはいますが、分譲マンションを購入してしまえば、これからは長い期間を同じマンションで生活していく人たちになります。

付かず離れずのコミュニティができているマンションは、購入者にとっての安心材料になります。

4. 築40年のマンションを売るときの3つの注意点

築40年を過ぎたマンションの売却をするときの注意点をまとめていきます。

4-1 売るためのリフォームは厳禁

「古いよりは新しい」「汚いよりはキレイ」なお部屋の方が売りやすいのは事実です。

ですが、売却するためにお部屋をリフォームやリノベーションすることは厳禁です。

なぜなら、古いマンションを購入しようと考える人は、購入後に自分でリフォームやリノベーションをすることを前提にしている人の割合が多いからです。

売主が良かれと思って行ったキッチンリフォームが、買主の好みとは違ったリフォームであった場合には効果がありません。むしろ、リフォーム代を売価に上乗せしたことで逆効果になってしまいます。

築40年を超えてきたようなマンションを売却する際には、まずは現況での販売を前提にお考えください。

4-2 売却査定の価格を信用しずぎるのはキケン

マンションを売却しようと考えた時に、まずはいくらぐらいで売れるのかを調べる事でしょう。

一昔前でしたら、ネットで不動産会社を調べて一社一社に電話をしてアポ取りし、自宅へ来てもらって査定をしてもらうのが一般的でした。

ですが、最近ではネットでの「一括査定」を利用する人が多数を占めてきています。なんといっても簡単ですからね。

簡単に複数社から査定を取れるのは便利なのですが、その弊害として「高すぎる査定価格」が提示される事が増えてきています。

一括査定サイトの仕組みとして高額査定が提示されるのは致し方ないのですが、その価格を鵜吞みにして販売をスタートしても大部分のマンションは長期間売れずに残ってしまっています。
【参照】失敗せずに一括査定サイトを利用するための5つのポイント

高額査定に喜ぶのではなく、「ホントにその価格で売れるのか?」「自分だったらその価格で買うか?」と、ちょっと冷静に考えていただいた方がいいと思います。

4-3 「買取は2~3割安く買いたたかれる」は本当か

「買取はすぐに売れて現金化できるけど、仲介と比べると2~3割安くなってしまう」なんて話を聞いたことがありませんか?

買取での売却が仲介と比べて安くなるのは事実です。ですが、3割安くなるのはちょっと言いすぎかと。

この場合の「2~3割安くなる」価格は、あくまでも仲介での販売価格と比べてのことです。買取での価格は実際に不動産会社が買取った「成約価格」なので、仲介での成約価格と比較しないとフェアではありません。

前述の売却査定価格のカラクリとあわせて考えると、仲介での成約価格は販売価格から1割減で成約できたら御の字。2割減での成約もザラにあります。

そして、販売期間も3ヶ月で売れるなんてほぼ皆無。基本6ヶ月程度は見ておき、長期戦であれば1年超えも視野に入ってきます。

販売期間中の内覧対応や売れないことへのストレスを考えると、決して「買取り=安く買いたたかれる」とは一概に言えないと思います。
【参照】離婚の売却での仲介と買取の選び方のポイント

まとめ

築40年を過ぎたマンションを売るのは、なかなか一筋縄にはいきません。

お部屋の程度だけでなく、マンション全体の管理状況や、近隣の競合物件との兼ね合いもでてきます。

実際に売却をするかどうかで悩んでいる。売却するにもいくらぐらいで売却すればいいのかなど、色々と不安になることも多いかと思います。

そんなときにはお気軽にお問い合わせください。当然ですが相談料は無料です。通り一遍のご説明だけでなく、実際の販売現場で感じていることなども交えて、少しでも安心してマンションを売却するためのお手伝いをさせていただきます。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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