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離婚時のマンション問題:オーバーローン対処法

離婚には感情的なストレスだけでなく財政的な課題もあり、特に、住宅ローン残高がマンションの売却価格を上回るオーバーローン問題は多くの夫婦にとって悩みの種です。離婚時にこの問題を適切に処理しないと、将来的により大きな問題に発展する可能性があります。今回は、離婚時のオーバーローン問題への対処法とと注意点について解説します。

1. オーバーローンの基礎知識

マンションの売却を考え、いろいろと調べていくと「オーバーローン」という言葉を目にすることがあります。まずは「オーバーローン」の基礎知識を身につけていきましょう。

1-1 オーバーローンとは何か?

マンションの売却価格だけでは住宅ローンを完済できない、「(売却価格)<(住宅ローンの残債額)」の状態を「オーバーローン」といいます。例えば、売却価格が1,500万円、住宅ローンの残債額が1,800万円のような状態です。

オーバーローンの反対の言葉が「アンダーローン」で、「(売却価格)>(住宅ローンの残債額)」の状態です。売却価格が2,000万円、住宅ローンの残債額が1,500万円のような状態です。

1-2 オーバーローンになる原因

オーバーローンになる原因は多々ありますが、多くの場合は以下の3つの原因に当てはまります。

・ローンの借入額が高額すぎる
・マンション購入後から売却までの期間が短い
・築年数と室内の劣化のバランスが悪い

いろいろなお客さんのお話を聞いていると、どれか1つの原因ではなく、複合的な原因でオーバーローンになっているパターンが多いです。

例えば、

・もともとムリをして借入額を増やし、結果として生活が苦しくなり短期間で売却をしなければならなくなった。
・ローンを払うため夫婦ともども仕事を頑張り、家のメンテナンスをする時間や気持ちの余裕がなかった

などの理由です。

1-3 オーバーローンが売却におよぼす影響

住宅ローンを借り入れる際には、担保としてマンションに「抵当権」が設定されます。マンションを売却するためには抵当権を抹消しなければならず、抹消するためには住宅ローンを完済しなければなりません。

そのため、オーバーローンの状態では抵当権を抹消することができず、結果としてマンションを売却することができなくなってしまいます。

そもそもオーバーローンの状態ではマンションは財産分与の対象にはならないため、離婚協議を進めることも難しくなることでしょう。

そのため、離婚協議を進めるためには、いかにしてオーバーローンを解消するかを考えることが必要になってきます。

2. 離婚時のマンション分割方法

分割といってもマンションを半分に切ることはできません。実際の分割方法としては「売却して現金化をし、財産分与をする」ことになります。

まずは、マンションを売却することのメリットとデメリットを見ていきましょう。

2-1 マンション売却のメリットとデメリット

メリットとしては次の3つが考えられます。

 財産分与がやりやすくなる マンションを半分に切ることはできませんが、売却して現金化してしまえば簡単明瞭に揉めることなく財産分与ができます。

 気持ちを切り替えやすくなる 購入してからの思い出も含めて精算できるので、離婚後の新生活をスッキリとした気持ちでスタートしやすくなります。

 相手との関係も切りやすい 売却して住宅ローンを完済してしまえば相手との関係もなくなり、引越し先の住所も教えなければキレイに精算できます。


デメリットとしても同じく3つ考えられます。

 売却がスムーズにいかない可能性も 売却価格や売却時期などが希望とは異なる可能性もあります。

 新居を探す必要がある 売却しなかったとしても、どちらか一方は出て行く必要があるので、デメリットと呼んでいいのかはちょっと疑問ですが、新居を探す手間が発生するのは間違いないです。お子さんがいるとより一層に大変かもですね。

 共有名義の場合は全員の同意が必要 夫婦どちらか一方の単独名義であれば問題ありませんが、夫婦の共有名義の場合は双方の同意が必要です。一方が「売りたくない」と言い出すと売却が前に進まなくなるので要注意です。

2-2 共有名義の解消方法

オーバーローンであっても、単独名義であれば最悪なんとかなるんです。相手に押し付けて「あとはあなたが責任とって払ってね」で解決できます。
離婚をする際に共有名義の不動産がおよぼす影響とは「4-1 単独名義は割り切ってしまえばOK」参照

ただ、ペアローンや収入合算などを利用している場合は問題です。

ぺアローンの場合は「連帯債務+連帯保証人」、収入合算の場合は「連帯保証人」として名義が入っているので、離婚の際にはこの関係を解消し、将来の不安を無くしておきたいところです。

世間のブログでは
・自分の持分を相手に買い取ってもらう
・自分の持分を第三者に買い取ってもらう
・自分の持分を放棄する
・自分の持分を相手に贈与する

などと書かれていますが、実際のところ、離婚の際の共有名義を解消する方法としては「売却する」以外の方法はないのではと思います。

売却するにあたって、アンダーローンであれば何も問題なし。売れる金額で売って、とっとと財産分与を終わらせて離婚を成立させましょう。

問題はオーバーローンの場合です。オーバーローンの解消方法としてはどんな方法があるのでしょうか。

3. オーバーローンの解決策

オーバーローンのマンションを売却するための解決方法を見ていきましょう。

3-1 オーバーローンを解消する5つの方法

オーバーローン状態でも家を売却する方法としては次の5つが考えられます。

 手持ち資金を充当する 理想的な方法です。「(住宅ローンの残債額)≦(売却価格)+(手持ち資金)」にできるのであれば抵当権の抹消は可能です。

 フリーローンで充当する 住宅ローンの金利と比べると高い金利での借り入れとなりますが、借入金額も少なく、銀行によっては10年前後の借入期間も選択できるので、200~300万ぐらいまでの借入金額なら、売却し離婚することを優先して、思った以上に利用する方が多いです。

 住み替えローンを利用する 売却後に新居の買い替えを考えている場合は検討してみてもいいのでは。オーバーローンの足りない金額を新居の購入費に上乗せして借り入れることで、抵当権を抹消することができます。借入額が高額になるので審査も厳しくなり、月々の返済額も増える事には注意が必要です。

 アンダーローンになるまで住み続ける 離婚の時期との兼ね合いもありますが、新たな借り入れを避けたいのであれば、一考してみる価値はあります。売却を先送りすることでマンションの築年数も進み、売却価格が下がる可能性も視野に入れる必要があります。

 なんともならなければ任意売却も 手持ち資金はない。借り入れもしたくない、できない。先送りにもできない。そんな状態であれば最終的には任意売却も検討することになるかもしれません。離婚後の生活を考えると避けたい選択肢ですが、やむにやまれぬのであれば検討してみてください。


4. 離婚時に売却しない場合の注意点

オーバーローンを解消するめどが立たず、離婚時にマンションを売却しない選択をした場合の注意するべき点を見ていきましょう。

4-1 連帯保証人の責任は継続する

ペアローンや収入合算などを利用して購入している場合の「連帯保証人」は、離婚しても継続されます。

「銀行に相談しましょう」「連帯保証人を変更しましょう」と書かれているブログもありますが、ほぼムリです。諦めてください。

離婚が成立し赤の他人になれても、連帯保証人としての関係性は続きます。「腐れ縁」として納得し受け入れることができないのであれば、離婚の前になんとか売却することを考えましょう。

4-2 厳密言うとローンの契約違反にも該当

同じく、ペアローンや収入合算などを利用しての場合です。

自分が住むための家を買うことを目的とした「住宅ローン」なので、どちらか一方が住んでいない状態、住民票を異動した状態は、厳密に言うと住宅ローンの契約条項違反になります。

ですが、実際には、ローンが滞ることなく期日までにちゃんと支払われていれば、銀行のチェックが入ることはまずありません。

ローンを滞納し銀行に調べられた場合には、最悪一括返済を迫られても文句は言えません。くれぐれもお気を付けください。

まとめ

財産分与や手持ち資金の関係などで、オーバーローンでの売却に躊躇するケースもあるでしょう。

ですが、将来的なリスクを考えると、離婚の際は売却をしてしまうのがオススメです。

少しでも有利な売却ができるようなお手伝いをさせていただきます。財産分与のご相談などもお気軽にお問い合わせください。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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