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離婚時のペアローン問題:オーバーローンにどう対処する?

離婚時にペアローンが残っている場合、住宅ローン残高が住宅の市場価値を上回るオーバーローン状態になっているケースが多くあります。このブログでは、離婚時のペアローンの処理方法やオーバーローンのリスクとその対策について詳しく解説し、離婚後の経済的なトラブルを避けるために役立つ情報を提供します。

1. ペアローンとは?

都市部を中心に不動産価格が高騰してきている状況で共働きで夫婦がそれぞれ収入を得られている場合に、住宅ローンを「ぺアローン」で利用するケースも増えてきています。そもそもぺアローンとはどんな仕組みになっているのでしょうか。

1-1 ペアローンの基本的な仕組み

ペアローンは1つの物件に対して夫婦が同じ金融機関でそれぞれローンを組む方法です。

多くの場合では、夫婦がそれぞれ相手の住宅ローンの連帯保証人にもなり、物件の所有権の割合は、住宅ローンを負担する割合と同じ持ち分での共有名義になります。

1-2. ペアローンのメリットとは

まず最初に思い浮かぶメリットは、それぞれの収入に応じて借り入れをすることで、夫婦のどちらか一方が単独でローンを組むよりも借入金額を増やすことができます

次に、ペアローンを組んだ夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用することができます。条件を満たした場合には、最大で13年または10年間、年末の住宅ローン残高に応じて所得税や住民税から「住宅ローン控除」が受けられます。

次のメリットは微妙な感じになりますが、夫婦それぞれが別々に団体信用生命保険に加入できます。債務者に万が一のことがあった時に、以降の住宅ローンの返済が免除される団体信用生命保険は、単独借入の場合であれば住宅ローンの全額が対象になりますが、ペアローンの場合では対象者の債務のみが対象になります。

そのため、どちらか一方に万が一のことがあった場合でも、残された債務者はローンの返済を続ける必要があるため、ちょっと中途半端な感じになってしまいます。

1-3 ペアローンのデメリットとは

メリットがあればデメリットもあります。住宅ローンは返済期間が長期に渡ります。トラブルに備えるためにも、事前に確認しておきましょう。

 収入が減った場合のリスク 単独での借入でも収入減のリスクはあるのですが、ペアローンの場合ではリスクが大きくなります。お互いの収入があることを前提にしてローンを組んでいるため、片方の収入が減った場合に補填するだけの余裕がない場合が多くなります。

そのため、どちらかの収入が減った場合でも返済が滞ることがないような資金計画をすることが必要です。


 一方が亡くなった場合のリスク 単独での借入では、万が一のことがあった場合には保険で住宅ローンは全額支払われます。
ですが、ペアローンでは残された一方のローンの返済義務はなくなりません。

多くの場合では、ご主人の方が収入が多いでしょう。残された奥さんは自分の収入だけでローンの返済と生活を維持していかなければなりません。

奥さんがお亡くなりになった場合には、ご主人は自分一人で日常の炊事洗濯等をこなす必要があります。お子さんがいれば子育てもです。

ペアローンでは、万が一どちらかが亡くなった場合には、自身の返済だけでなく、生活を維持していけるかを考えておくことも大切です。


2. 離婚時のペアローンの問題点

どんなことにもメリットとデメリットは表裏一体です。ですが、離婚時のペアローンには特有のデメリットが存在します。

2-1 比較的短期間での離婚が多い…らしい

確たる統計があるわけではないのですが、世間では「ペアローンの夫婦は、5年~10年程度で離婚する確率が高い」と言われているらしいです。

なんとなくの想像ですが、奥さんも仕事をしっかりとして収入があるため、いわゆる専業主婦の奥さんと比べてご主人に対して我慢する必要が少ないのではないでしょうか。

昇進やキャリアアップでご主人よりも高収入になっていれば尚更です。看護師さんなんかは結構スパッと離婚する方が多いみたいです。

2-2 なので、ローンの返済期間が短い

離婚までの期間が短いということは、住宅ローンを返済した期間が短いことにつながります。

住宅ローンの毎月の返済金の内訳は「借入元金+借入利息」の合計です。銀行でローンの申し込みをした際に説明を聞いているはずですが、借入当初は元金の割合よりも利息の割合が多くなっています。

そのため、5年~10年程度の経過時点では元金があまり減っていません。この状態で離婚が決まり、自宅の売却をしようとした時に、売却価格で住宅ローンを完済できないと「オーバーローン」状態になり、離婚を進めるのが難しくなる原因となってしまいます。

3. オーバーローンが離婚に与える影響

では実際に、オーバーローン状態の自宅が離婚に与える影響を見ていきましょう。

3-1 財産分与がすすまない

離婚が円満に進むかどうかは財産分与がカギになります。財産分与の内容がまとまれば、離婚は九分九厘まとまったようなものです。

ですが、自宅の売却価格で住宅ローンが完済できないオーバーローン状態で財産分与をまとめるのはかなり難しいです。

「借金も財産のうち」とは言いますが、そんな財産、誰も欲しくありません。できることなら現金を手にして離婚をしたいものです。

住宅ローンを完済するために足りない現金をどうやって、どちらが補填するのかの話しがまとまるまでは、離婚の話しもすすまないでしょう。

3-2 補填のための借入が発生する可能性

オーバーローン状態を解消し、自宅の売却をしないことには離婚に関しての話し合いもすすまないでしょう。

手持ちの預貯金で補填ができない場合には、補填するための借入が新たに発生する可能性もあります。

自宅の売却益も含めて財産分与を行おうとしていたとしたら当てが外れた形にはなりますが、離婚をすすめるためには致し方ない部分もあります。

新たに借り入れたローンは離婚後も返済を続ける必要がありますが、住宅ローンに比べれば短期で少額になるはずなので、ある程度は割り切っていく必要もあるかと思います。

4. 売却しないことのリスクを考える

オーバーローン状態を解消することができず、やむにやまれず自宅を売却せずに離婚することを考えるご夫婦もいるかもしれません。

ですが、ぺアローンを解消せずに離婚することには大きなリスクがあります。

4-1 維持費がかかる

当然ですが、自宅を売却せずに所有を続けるのであれば、固定資産税や、マンションであれば管理費や修繕積立金などの維持費はかかります。

というようなことを書いているブログが散見していますが、売却しないのであれば、どちらか一方が住み続ける訳ですし、住み続けるのであれば維持費がかかるのは当然承知しているはずなので、これはリスクには入らないかなと個人的には思います。

ですが、夫婦二人で負担していた固定費を一人で支払っていくのは、ボディブローのように地味にダメージを蓄積するかもしれませんね。お気を付けください。

4-2 いざ売却をするときにめんどう

離婚して数年経ってから売却をするケースもあるでしょう。その際にはちょっとめんどうなことが発生します。

ぺアローンで購入した自宅の名義は、夫婦二人の共有名義になっているはずです。売却するためには、全ての名義人の同意が必要です。

そのため、離婚して時間が経ってからでも、元の配偶者に連絡をとり、売却に関しての同意を取り付け、書類のやり取りを行う必要があります。

円満に離婚が成立し、その後も連絡を取れるような関係であれば別ですが、どちらかにわだかまりがあり、連絡が取れないような状態では売却をすることもできなくなります。

4-3 連帯保証人の関係が解消できない

ぺアローンを解消せずに離婚する1番大きなリスクはこの連帯保証人の問題です。

ぺアローンを組む際には、夫婦がそれぞれお互いの連帯保証人になっています。この連帯保証人の関係は離婚とは関係なく、ローンを完済するまで継続します。

そのため、どちらか一方がローンを滞納すると、もう一方に支払いの督促が入ってしまいます。

離婚して平穏無事な新生活をスタートさせていたのに、突然銀行から督促をされてしまっては目も当てられません。しかし、連帯保証人である以上は支払わなければなりません。

ぺアローンを解消せずに離婚するという中途半端な方法をとってしまうと、結局のところ離婚後も相手との関係をズルズルといつまでも引きずってしまうことになります。

離婚後の将来を考えるのなら、ぺアローンの解消は必須になってくると思います。

5. どうやってオーバーローンに対処するのか

実際にオーバーローン状態になっている場合、どうやって自宅の売却をすすめるのがいいのでしょうか。

 手持ちの預貯金などで補填する この方法で解消できるのが理想です。財産分与後の手残りは減ってしまいますが、自宅が売却できてぺアローンが解消できるのであれば問題はないでしょう。車やブランド品などを売って現金を作るのもいいと思います。


 カードローンを利用する 200~400万円ぐらいまでであれば、思った以上に利用されている方法です。

住宅ローンの金利と比べてしまうと高金利の借入ではありますが、カードローンだと最長で10年ぐらいまでの借入ができるのかな?月々の返済も思ったよりも負担にはならないと判断されるようです。


 親に頼る かじれる脛があるのであれば、かじってみましょう。全額を頼るのではなく、カードローンでの借り入れと併用する形でお願いするケースが多いです。


 仮面夫婦を続ける 補填する方法がないのであれば、アンダーローンになるまでの期間を仮面夫婦として暮らし続けるのもあり………なのかな?

離婚の条件がまとまったにも関わらず、実際の離婚まで2年の期間を要求された僕としては、仮面夫婦を続ける精神的ストレスも知っているため、あまりオススメはしませんが、1つの方法であります。


 任意売却はやめましょう 「オーバーローンの場合は任意売却を」と書いているブログが散見しています。でも、書いてあるほど簡単なことではないです。

「ローンがなくなれば、夫婦でやり直せる」ってことなら、ある意味いいのかもしれませんが、離婚して新たな気持ちで新生活をスタートしようとしているのであれば、スタートの時点で自分の信用情報にキズを付けるのは得策ではないと思います。

任意売却を選ぶぐらいなら、仮面夫婦を続けることをオススメします。


まとめ

ぺアローンでの住宅ローンを残したままの離婚は、将来の売却や、相手が滞納したことでの突然の督促が来るリスクなどデメリットばかりです。

オーバーローン状態の解消は一朝一夕にできることではありませんが、適切な売却活動とともに行うことで決して不可能なことではありません。

離婚の相談からご自宅の売却まで、悩んだ時にはお気軽にご相談ください。体験談を交えながら、一生懸命お手伝いさせていただきます。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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