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離婚時の財産分与で選ぶマンション買取のメリット・デメリット

離婚時の財産分与でマンションをどう扱うかは大きな問題です。マンション買取を選ぶことで手続きがスムーズに進む場合がありますが、注意すべき点も多々あります。この記事では、財産分与を円滑に進めるためのマンション買取のメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。

1. マンション買取の基本

マンションの売却方法には大きく2つの方法があります。1つは、自分が住むための家を探している人に買ってもらう「仲介」。もう1つの方法が、不動産業者に直接マンションを買い取ってもらう「買取」です。離婚の際のマンション売却で買取を選択する場合の基本的な内容を見ていきましょう。

1-1. マンション買取とは何か?

マンションの買取とは、不動産会社が買主としてマンションの所有者である売主から直接マンションを買い取ることをいいます。

売却をする際に必要な資料が揃っていて、不動産会社からの購入条件に納得できれば、販売活動をすることなく契約が終了します。

引き渡しが終わった後は、マンションを買い取った不動産会社が新しい買主を探して再販売します。

1-2. 財産分与における買取の位置づけ

財産分与を行うためには、夫婦の共有財産を確認し、それぞれの価値を確定しなければなりません。預貯金などの現金はそのままの額で、貴金属や車などは売却することで価値を確定させます。

ですが、マンションなどの不動産はちょっと勝手が違います。売ろうと思ってすぐに売れるものではありません。一般的に、人気物件でも3ヶ月程度の販売期間。通常物件で3~6ヶ月。不人気物件であれば未知数の販売期間が必要になってきます。

相手の事がイヤになって離婚をするのに、そんなに長く待つのは困りものです。そんな時に便利な仕組みが買取なのです。

2. マンション買取のメリット

マンションの買取のメリットを見ていきましょう。

2-1. スピードと確実性

まずはこの2点があげられます。

通常の仲介の場合は、査定価格=売れるだろうの価格です。そのため、実際に販売活動をスタートし購入希望者が見つかったとしても販売価格で買ってもらえるかは未知数です。値段交渉が入ることも往々にしてあります。

そのため、実際に売買契約が終了し、共有財産としてのマンションの価値が確定するまで財産分与を終わらせることができません。

ですが、買取の場合の査定価格は実際に不動産会社が購入する価格です。そのため、査定価格に納得ができるのであれば3日~1週間以内には契約が完了するため、財産分与もスピーディーに終わらせることができます。

そして、もう一つの「確実性」も大切なポイントです。

仲介で買主を探す場合、ほぼ間違いなく住宅ローンを使うことになります。そのため、購入希望者が現れたとしても住宅ローンの審査に落ちる場合もあります。

買取の場合、基本的に不動産会社は現金での購入です。銀行から融資を受ける場合でも、普段から資金を借り入れのための準備をしているため、「お金が借りられませんでした」なんてことはありません。

この「スピードと確実性」は買取でマンションを売却する時の大きなメリットになります。

2-2. 売却の手間を省ける利点

仲介でマンションを売却する場合、インターネットやチラシなどを使っての販売活動を行い、購入希望者からの問い合わせを待つことになります。

問い合わせが入れば内覧が行われますが、この内覧は週末に予定されることが大部分です。

そのため、いつ内覧希望の問い合わせが入るかわからないため、販売期間中の週末は自分たちの予定を入れることが難しくなります。

買取であれば販売活動や内覧を行う必要がないため、離婚に向けて自分たちの予定を進めることができるのもメリットになってきます。

3. マンション買取のデメリット

メリットがあればデメリットもあります。次に買取の場合のデメリットを見ていきましょう。

3-1. 買取価格の妥協点

マンションを買い取った不動産会社は、マンションの状態に応じてリフォームやリノベーションを施し、新しい買主を探すための再販売を行います。

このときの再販売の価格は、マンションの相場価格+工事代金+不動産会社の利益になります。

そのため、マンションを買い取る際の買取価格は、仲介での売却相場よりも2~3割程度安くなる場合が多いようです。

この、買取価格に対して妥協する必要があるのが、マンションを買取で売却する際のデメリットになってきます。

3-2. 買取業者選びの注意点

マンションの買取業者も数多く存在します。業者ごとに、再販売する際のマンションの仕様も異なってきます。

そのため、業者ごとにマンションの築年数や立地などによっての得手不得手があり、ご自分のマンションを最も高く買い取ってくれる業者を見つけることが大切です。

買取業者との間に入る不動産会社も全ての買取業者とつながっているわけではないため、不動産会社から「買取の相場はこれぐらいですよ」と言われても安易に信用するのではなく、ご自身が売りたい金額との差異が大きい場合には、別の不動産業者にも問い合わせるなどの注意が必要です。

4. 買取を選ぶ際の注意事項

実際に買取でマンションを売却する際の注意事項を見ていきましょう。

4-1. 事前準備と情報収集

住宅ローンが残っている場合には、住宅ローンの残債額を確認しましょう。

マンションの買取価格で住宅ローンを完済できるのがベストですが、完済できない場合に補填するだけの現金が用意できるのかを計算しましょう。

買取金額の目安は、ある程度はご自身で計算することができます。

前述したように、買取業者はマンションを購入後に工事を行って再販売を行います。再販売の価格は「仕入れ価格+工事代+利益」になります。

買取業者によって再販売するマンションの目指すクオリティが異なるのですが、工事代の目安としては

・水廻り設備の取替え+クロス張替え+ハウスクリーニングで300万前後
・室内フルリノベーションで600万~800万程度

になります。

利益は案外少なく、10~15%程度らしいです。そして、登記費用や税金、その他諸々の経費が10%程度。

これらを参考にしてみると、

 築10~15年程度のマンションで類似物件が2,000万で販売している これぐらいのマンションでは恐らくフルリノベーションは行わないので、
2,000万+300万=2,300万が再販売のターゲットプライスになります。

・2,300万×25%=575万
・2,300万-575万-300万=1,425万


 築40年~のマンションで類似物件が1,000万で販売している この辺りの築年数だとフルリノベーションが必要になってきて、
1,000万+800万=1,800万が再販売のターゲットプライスになります。

・1,800万×25%=450万
・1,800万-450万-800万=550万

これぐらいの感覚で考えれば、おおよその買取価格が見えてきます。

築年数の古いマンションの方が仲介との価格差が大きくなりますが、古くなると販売期間も長くなる傾向になり、値段交渉も大きくなってきます。販売期間の長期化や実際の成約価格を考えると、築年数の古いマンションほど買取での売却がオススメになってきます。

4-2. 契約時の注意点

契約時の注意点としては、引き渡し時における室内の状態に関しての取り決めを確認してください。

仲介での売買の場合、売主の気持ちとして「良かれと思って」なのか「あわよくば」なのかは分かりませんが、微妙な年数のエアコンを残していったり、カーテンを残して行ったりするケースがあります。

買取の場合、原則「荷物は全て撤去した状態」での引き渡しになります。

事前の取り決めで残しておくこともできますが、当然その分の処分費は差し引かれてしまいます。どんな室内状態で引き渡すのかをしっかりと確認するようにしてください。

5. 成功事例と失敗を防ぐポイント

買取においての成功事例と、失敗を防ぐためのポイントを見ていきましょう。

5-1. 成功事例から学ぶ買取のコツ

買取を成功させるために1番大切なのは「割り切り」です。

仲介と比べると、どうしても売買価格は安くなってしまいます。ですが、スピーディーに売却を終わらせることができるメリットもあります。

住宅ローンが残っているのならば、その残債額との兼ね合い。残っていない場合であれば「この金額ならば」という金額を事前にしっかりと考えておくことが大切です。

5-2. 失敗事例とその回避策

前述の成功事例の真逆になってしまいますが、買取で失敗するケースは「割り切れない」ことです。

人間なのでどうしても「欲」が出てしまいます。査定価格を提示された時に「もう少し」の気持ちが出てしまうのも致し方ありません。

ですが、買取業者である不動産会社もその道のプロです。競合他社に負けないように、自社で出せる最大限の価格を提示してきています。「他の業者なら」の気持ちが強すぎて、数多くの買取業者に査定を依頼し、いつまでも価格が折り合わないようであれば、スピーディーな売却という買取のメリットがなくなってしまいます。

まとめ

不動産会社にマンションの買取を依頼すると、査定から契約・引渡までの手続きがスムーズに行われ、財産分与も早く終わらせることができます。

ですが、マンションの条件によっては、仲介での売買を依頼したほうが良い場合もあります。買取と仲介それぞれのメリット・デメリットをしっかりと見極めて、自分にあった方法を選ぶようにしましょう。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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