離婚後の新たな一歩：マンション売却のステップバイステップガイド

離婚では経済的な負担を伴うケースがあります。二人で築き上げてきた共有財産を分割することで、お互いの手元に残る財産がそれまでの1/2になってしまいます。

ですが、マンションを売却し現金化することで手元に残る現金を増やすこともできます。さらに、マンションという物体のままでは財産分与も困難ですが、現金にすることで財産分与も容易になり、離婚交渉を円満に進める事にもつながるでしょう。

マンションの売却は、離婚時における財政面の負担を軽減するとともに、離婚後の新生活をスタートさせるための大切な資金となるのです。

離婚時のマンション売却にはデメリットも存在します。最も大きなデメリットはお互いの感情面での負担です。

離婚協議自体がさまざまな感情のぶつかり合いです。その状態にプラスしてマンションの売却を考えることはより一層の困難を伴うでしょう。

家族としての幸せな思い入れのある家を手放すことに喪失感や寂しさを感じることもあります。

離婚がもたらす感情的なストレスに加えてのマンションの売却手続きや値段交渉など、さらなる負担が増すことで冷静な判断をすることが難しくなる場面もあるでしょう。

そのため、離婚時のマンション売却は感情的なストレスとの戦いとなり、このようなデメリットをりっかりと理解したうえで売却を進めていく必要があります。

婚姻中に夫婦2人で協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれに分割することが財産分与です。

双方の合意があれば財産分与をしなくても離婚はできますが、そんなケースはまず見当たらないでしょう。

離婚後の新生活を気持ちよくスタートさせるためにも、しっかりと財産分与を行いましょう。

財産分与の対象となるのは、婚姻中に夫婦2人が協力して築き上げた「共有財産」です。

例えば、以下のようなものが共有財産として考えられます。

・不動産
・現金・預貯金
・貴金属
・保険
・退職金
・年金　　など

いわゆる熟年離婚や定年離婚に当てはまる場合には、退職金や年金も財産分与に該当することに注意が必要です。

お花畑的な考えのご主人が「定年して退職金をもらったら〇〇しよう」とか「年金もらって悠々自適の老後を過ごそう」などと考えている横で、奥さんが離婚を考えているケースも多くあるようです。
ご主人が自分勝手に考えていた老後資金が半分になってしまうので、できることなら常日頃から奥様とは仲良くしておいた方がいいですよ。

離婚にともなうマンションの売却では、通常の住み替えや売却のケース以上にマンションの資産性が重要になってきます。

住宅ローンを完済していれば売却価格が100％資産となるため何も問題はありませんが、住宅ローンが残っている状態では「売却価格ー住宅ローン＝資産」になります。

「売却価格＞住宅ローン（アンダーローン）」であれば資産となりますが、「売却価格＜住宅ローン（オーバーローン）」の場合は、実質的には「負債」となります。

・必要以上に高額な物件を買っている（特に新築マンション）
・買ってから5年～10年程度しか経過していない

などのケースではオーバーローン状態の方の割合が増えてきます。

そのため、住宅ローンを完済するために足りない資金を別途調達する方法を、状況に応じて別途考えて実行する必要があります。

現金や預貯金は金額が目に見えるため分割協議は簡単にできます。貴金属や車なども換金性が高いため簡単でしょう。

ですが、不動産の価値を見極めるのは一般の方には一番難しいものです。

私の場合では、自分自身が不動産の仕事をしているため、シビアに売却価格を計算し、この値段なら半年以内には売れるだろうなとの見立てで分割協議を行い、お金の問題はスムーズに解決できました。（実際には3ヶ月程度で売却でき、元嫁にお金を振り込むことができました）

離婚協議とマンション売却のストレスをできる限り少なくするためにも売却価格は慎重に決定する必要があります。

1.　売却査定は最低でも3社。できれば5社ぐらいの不動産会社に依頼する
2.　一番安い査定価格でローンの残債が相殺できるかを確認
3.　相殺できるならその値段で分割協議を進める
4.　できない場合は一旦売却を立ち止まって補填の方法を考える

ここまでできたら次のステップに移りましょう。

一番安い査定価格で離婚協議がまとまったのなら、実際にマンションがいくらぐらいで売れるのかを調べていきましょう。

複数の不動産会社からとった査定の中から、まずは一番高い査定価格は除外しましょう。

最近は媒介契約をとるためだけに高い査定価格を提示する不動産会社が増えてきています。早く売却して財産分与を終わらせたい場合に、ほとんど売れる見込みのない査定価格はまったくもって邪魔なだけです。

スーモやアットホームなどのポータルサイトを見て、同じ学区や同じ町内などで築年数や間取りなどが似ている物件を探してみてください。その価格が査定価格の平均程度の価格と似ているようなら、その価格で売りに出してみるのもいいかと思います。

短期決戦でいきたい場合は、その価格から10％～15％程度安い価格で出してみましょう。

早期売却のための一番の方法は空き家にすることです。空き家の状態にして専門業者にハウスクリーニングを依頼すると室内の状況は見違えるようになります。

ですが、実際にここまでのことができる人はごく少数。大部分は住みながらの売却活動となります。

住みながらの売却で気を付けていただきたいのが、内覧の際に内覧者に「なんとなくイヤ」な感じを持たせないようにすることです。

例えば

・玄関が臭う⇒けっこう靴の臭いはキツイです。
　　靴を陰干しして乾かす。下駄箱も風を通し消臭剤を使うなどの対応を
・部屋が散らかっている、暗い感じがする
　　荷物は整理し、不要なものは処分
　　天気がいい日はカーテンを開けて太陽の光を室内に。曇りや雨の日は照明を付ける
・何となく室内が臭う
　　キッチンのコンロや換気扇の汚れは酸化した油臭の原因です
　　洗面や浴室も換気扇を回すか風を通してしっかりと換気を
　　芳香剤の臭いは好き嫌いがあるので控えた方が無難
・ペットの臭いも要注意
　　飼っていない人には結構気になる臭いです。散歩に連れて行くのも方法です

お部屋自体は気に入ったとしても、「なんとなくイヤ」な感じを持たれてしまうともったいない結果になってしまいます。無理のない範囲で対処するようにしてください。

価格交渉が入った場合には、できる限り受け入れて早期売却を目指しましょう。

ローンが完済できないような条件は受ける必要はありませんが、「もう少し待てば条件のいい買主が現れるかも」の考えはおススメできないです。

お金と新生活へのスムーズな移行。どちらを優先するかにもよりますが、離婚と売却の2つのストレスを抱えての毎日は経験上イライラすることも増えてきますので、売却優先で考えていただく方がいいかと思います。

マンションの売却価格を含めての財産分与を進めましょう。

売却価格が事前に取り決めていた価格通りであれば、そのままの割合で。高く売れた場合は…うまいことやってください。

無事に離婚を成立させることができたなら新居への引っ越しです。家具や家電を取り揃えるのも、ウキウキするような心寂しいような、ちょっと微妙な気持ちになるかもしれませんが、前向きに頑張っていきましょう。きっと楽しい未来が待っています。