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離婚時に家を売る最適なタイミングは「前・後」?成功するためのポイント

離婚時に家を売る最適なタイミングが「離婚前」か「離婚後」かは各夫婦によって異なります。なぜなら、離婚に至る理由や、離婚時の夫婦の精神状態がそれぞれ違うからです。今回は、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説し、離婚時の家の売却を成功させるためのポイントをご紹介します。

1. 離婚時に家を売る理由

離婚時に家を売る理由の大部分は財産分与が絡んでのことだと思います。

まずは、「家を売る」ことは決まったとして、離婚前と離婚後に売るタイミングによってのメリットを見ていきましょう。

1-1 離婚前に家を売るメリット

売却価格が決まることで、財産分与がしやすくなるのが最大のメリットです。

夫婦の最大の借金である住宅ローンを完済することができ、財産分与の額もほぼ確定するでしょう。離婚に向けて大きなステップを踏み出すことができます。

注意点として、実際の財産分与は離婚届を提出して離婚が成立してからにしてください。離婚成立前に財産分与を行うと、状況しだいでは贈与と判断され、贈与税が課せられる場合があります。

離婚後の新生活にとって大切な財産です。ちょっとしたタイミングの違いで課税されてしまうのはもったいなさすぎます。

1-2 離婚後に家を売るメリット

家の売却には平均して3ヶ月~6ヶ月かかると言われています。

「とにかく早く離婚したい」「いつ売れるか分からないのに待てない」など、離婚することを優先するのであれば、家の売却は離婚後にしたほうがいいでしょう。

2. 夫婦別の売却時期の判断ポイント

家の売却時期が離婚前か離婚後かは各夫婦の事情によっても異なってくるため、夫婦でよく話し合って決める必要があります。

離婚前・離婚後のどちらのタイミングが良いのかを選ぶポイントを見ていきましょう。

2-1 離婚「前」がいいケース

以下のようなケースに当てはまる夫婦の場合は、離婚「前」の売却を考えてみてもいいと思います。

 そこまで離婚を急いでいない 離婚することは決定しているが、「そこまで離婚を急いでいない」とか「家が売れたら離婚しよう」ぐらいの感じであれば、離婚前の売却がいいかと。

予想以上に売却までに時間がかかり、離婚への熱が冷めて「元サヤ」になるかもしれませんが、それはそれでいいのではないでしょうか。


 離婚後に関わり合いたくない 売却をスタートさせると、内覧への対応や値段交渉、引き渡し時期の相談など、いろいろとやるべき事がでてきます。離婚後の売却では、そのたびに元配偶者と連絡をとる必要がでてきます。

そういったやりとりを離婚後も行うのが煩わしい、話しをするのもイヤだ、などの状態であれば、離婚前に売却を済ませてしまった方がいいでしょう。

2-2 離婚「後」がいいケース

以下のようなケースに当てはまる夫婦の場合は、離婚「後」の売却を考えてみてもいいと思います。

 とにかく離婚することを優先したい 理由は何であれ、とにかく離婚することを優先するのであれば、売却は離婚後にしたほうがいいです。

「売れてから離婚」では、実際の離婚時期は不明確なままです。離婚後に元配偶者と連絡を取る煩わしさが残りますが、離婚を優先するのであれば売却は離婚後に回した方がいいでしょう。


 離婚後に連絡を取り合える 昔のように、電話でなければ連絡が取れないわけでもないですし、必要最低限の連絡であれば、離婚後も取り合える夫婦もいるのはないでしょうか。

一緒にいるのがイヤで離婚した元配偶者の声を聞くのは結構苦痛ですが、ラインなどの文字を使うことで比較的冷静に話し合いができるのであれば、離婚後の売却を考えた方がいいと思います。


3. 経験者としては離婚「後」をオススメ

離婚前、離婚後、どちらを選んでいただいても結構ですが、離婚時にマンションを売却した経験者としては離婚後をオスメスします。

3-1 離婚の準備に専念できる

僕の場合はアンダーローン状態だったので、「離婚して、マンションを売却して、財産分与と養育費の支払いをする」のが既定路線でした。

仕事がら、自分のマンションの売却価格の予想もつきましたし、多少の幅をもたせての財産分与の話し合いも進められました。

そのため、離婚後に住む賃貸を探したり、生活用品を揃えたりする準備に専念することができたのは大きなメリットです。

離婚後の生活準備と、売却のための内覧対応を並行して進めるのはかなりストレスだと思います。離婚する嫁と、いちいち口を利くのもイヤでしたしね。

3-2 内覧対応がラク

引っ越しを済ませて空き家にしてしまうと内覧対応がラクです。

これは、離婚時の売却だけでなく、通常の売却でもそうなのですが、室内の掃除も、引っ越し後に1度してしまえば事足りますし、他社からの案内依頼が入っても、カギを取りに来てもらえばOKです。

自分の生活空間を他人に見られることもストレスですし、内覧の予定に合わせて自分のスケジュールを調整することも大変です。

離婚後に空き家にしてしまい、ストレスのない販売活動ができるのは、離婚後の売却のメリットです。

4. 離婚後の売却の注意点

オススメの離婚後の売却ですが、いくつかの注意点があります。

4-1 事前の話し合いはしっかりと

離婚して日常的に顔を合わせる事がなくなった状態で売却を進めるため、事前にしっかりと話し合いをしておく必要があります。

どこの不動産会社に販売を依頼し、どれぐらいの価格で売れるのか。売れるまでの生活費の補填はどうするのか。離婚後の生活を支える財産分与が絡んでいるため、通常の売却に比べてより一層の慎重さと話し合いが必要です。

4-2 査定をしてもらう会社も要注意

財産分与を速やかに終わらせるためにも、成約までの期間はできる限り短くする必要があります。

そのため、売却価格の見込みに関しては、「売れるだろう」ではなく「売れる」価格を査定してもらわなければなりません。

利用する人が増えてきた一括査定サイトを利用すると、どうしても媒介契約を獲りたいがために、相場よりも高い「売れないだろう」価格を提示する不動産会社も多く見受けられます。
【参照】閑話休題 失敗せずに一括査定サイトを利用するための5つのポイント

そして、マンションの集合ポストに定期的にポスティングされる「このマンションを探している人が1人います」の広告にも要注意です。

このチラシの場合、「1人」という表現がくせ者です。この「1人」は十中八九「不動産の買い取り業者」を指しています。

僕は、決して買い取り業者が悪いとは言いません。使い方しだいでは非常に有効な売却方法だと思っています。
【参照】離婚の売却での仲介と買取の選び方のポイント

ただ、このチラシをポスティングしている不動産会社のダメなところは、「弊社に任せていただければ、すぐにお客さんに紹介できます」と言って、まずは専属専任もしくは専任で媒介契約を結ばせ、個人のお客さんだと勘違いさせた状態で買い取り業者を連れてくるところです。

売主さんとしては「ホントにすぐにお客さんが見に来てくれた!」と大喜びです。ですが、実際には買い取り業者なので、相場よりも安い価格を提示してきます。そして不動産会社は「これぐらいが相場です」と言って契約をさせようとしてきます。

早く売れるのはいいのですが、離婚後の生活を支える大切なお金です。不必要に安い金額で売ることはないのではないでしょうか。しかも半分騙すような方法で。

ポスティングされた時には近所のマンションの集合ポストを覗いてみてください。マンション名を変えただけの同じチラシがポスティングされているはずです。

4-3 最低限の信頼関係は必要

離婚して、日常的に顔を合わせる事がなくなった状態で売却を行うため、最低限の信頼関係がない夫婦だとトラブルが発生する可能性が高くなります。

問題となるのは、売却価格の正当性です。

実際の契約書を確認できればいいのですが、口頭だけで「〇〇万円で売れた」と言われた時に、相手の事を信用できるかが問題です。

「性格の不一致」で離婚するのであれば大丈夫かもしれませんが、浮気やDV、ギャンブルなどの理由での離婚の場合は要注意かもです。

そのような状態での離婚の場合は、やっぱり離婚前の売却にしたほうがいいかもしれないですね。

5. オーバーローンの場合はどうすれば

今までの話しはアンダーローンの場合です。では、オーバーローンの場合はどうすればいいのでしょう。

5-1 オーバーローン状態では売却できない

家の売却価格よりも住宅ローンの残債額が大きい、「(売却価格)<(住宅ローンの残債額)」の状態が「オーバーローン」です。例えば、売却価格が1,500万円、住宅ローンの残債額が1,800万円のような状態です。

住宅ローンを使って家を買う場合には、銀行が家に抵当権を設定します。家を売却するためには、住宅ローンを完済して抵当権を抹消しなければならないため、オーバーローンの状態では家を売却することはできません。

オーバーローン状態の家を売却するためには、まずはオーバーローンを解消する方法を考えなければなりません。

離婚時のペアローン問題:オーバーローンにどう対処する? 【参照】5. どうやってオーバーローンに対処するのか

5-2 まずは名義の確認を

オーバーローン状態で離婚、売却をするのであれば、まずは家の名義と銀行との契約内容を確認しましょう。

家の名義がどちらか一方で、銀行からの借入も当人だけ。収入合算もしていない「単独所有」であれば、まずは一安心。

名義が一方で、銀行の書類に片方の名前が入っていると、恐らく「収入合算」です。名義が2人であれば「ぺアローン」かと。(独身時代に貯めた現金を使ったり、親からの援助があったりの場合もあり得ますが、今回は割愛します。)

5-3 単独所有は考え方しだい

「(売却価格)<(住宅ローンの残債額)」のオーバーローンの状態では、売却をしたとしても借金が残るだけなので、家は財産分与の対象にはなりません。「借金も財産のうち」なので、共有財産ではあるのですが。

いろいろな方法でアンダーローンにしてもいいのですが、単独所有の場合であれば、相手(おおむねご主人)に住宅ローンの返済を押し付けて離婚することも可能かと。

住宅ローンの返済義務は銀行の書類に載っている名義人。家の所有者は登記簿に記載された名義人。どちらにも名前が入っていない奥さんは、離婚してしまえば赤の他人です。

家以外の財産のみを財産分与し、住宅ローンに関しては、「あとがあなたが責任を持って返していって。返し終われば、あなたの好きにしていいよ」でもいいのではと思います。

実際、離婚した何人かの奥さんにはマンションを買ってもらってます。皆さんフツーにローンの審査も通りましたし、「賃貸よりも快適~」と喜んでいただいています。

5-4 共有名義の場合はなんとしても売却を

収入合算やぺアローンを利用して共有名義の場合は、なんとしても離婚前に売却を済ませましょう。

「家にはあなたが住み続けて、ローンの支払いはお互い責任もってやっていきましょう」では危険すぎます。

収入合算の場合では、ご主人が滞納をすれば奥さんに銀行から督促が入ります。ぺアローンの場合も、片方が滞納すれば、もう一方に督促が入ります。

離婚後も元配偶者との関係が続きますし、相手の不始末の結果、自分に責任が回ってきてしまうのは困りものです。

まとめ

離婚の時に家を売却するタイミングは、それぞれのご夫婦の事情によって異なります。

オススメは、離婚に伴う精神的なストレスを少しでも減らすことができる離婚「後」の売却ですが、ご夫婦それぞれの離婚の状況や条件に合ったタイミングで家の売却をするようにしてください。

タイミングの判断や条件、オーバーローンの場合など、お困りの際にはお気軽にお問い合わせください。経験に基づいての最適なアドバイスとお手伝いをさせていただきます。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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