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スムーズな財産分与のために知っておきたい、家を売るベストな時期

財産分与における家の売却は、離婚手続きの重要なステップです。一般的には離婚成立前がおすすめといわれている家の売却ですが、円満な財産分与を実現するための最適な時期と、そのポイントを解説します。

1. 離婚における財産分与の重要性

お金の話しがまとまれば、離婚の8~9割は円満にまとまります。

お金の話しをまとめるために大切なことは「共有財産」を把握し「財産分与」の落としどころを間違えないことです。

1-1 どんなものが共有財産になるのか

「結婚してから夫婦二人が協力して築き上げたもの」が共有財産です。ポイントになるのは、あくまでも「結婚してから」の財産ということです。

弁護士系のサイトを見てみると

・預貯金
・車
・有価証券
・家財道具
・保険
・不動産

このあたりの項目が目につくと思います。

たしかに、項目としてはこんな感じにはなるかと思うのですが、離婚経験者として言わせてもらえば、

・有価証券:いわゆる「株」ですよね。財産といえるほどの株を持っている人ってどれぐらいいるんだろう?
・家財道具:リサイクルショップに持って行ってウン十万円ぐらいで買い取ってもらえる家具ってどんなん?
・保険:積立保険のことなのかな?途中解約して返戻金がいくら戻るんだろって感じです

結局のところ、一般的な離婚のケースで共有財産になるのは「預貯金・車・不動産(自宅)」ぐらいではないかと思います。

1-2 財産分与とは何か?

読んで字のごとく「財産を分ける」ことです。分けるのはあくまでも「共有財産」です。先ほどの例であれば「預貯金・車・不動産」です。

・預貯金であれば、「現在の残高」から「結婚直前の残高」を引いた残高を二人で分ける。
 へそくりを見つける事ができたなら、へそくりも対象です。

・車は買取屋さんを何件か回れば買取金額が分かるので、その値段を基準としてください。
 ローンが残っているのなら、「買取価格」-「ローン残高」の金額が対象です。

・不動産も車と同じです。何件かの不動産会社に査定を依頼して「売却想定価格」を出してください。
 住宅ローンが残っていれば、「売却想定価格」-「ローン残債」の金額です。
 「売却想定価格」>「ローン残債」ならば財産となり分与の対象です。
 「売却想定価格」<「ローン残債」の場合は財産にはならないですね。処分の仕方を別途考えましょう。

2. 不動産を売ることの意義

財産分与において大きなウェイトを占めるのが不動産です。

不動産がいくらで売れるのか。売ったお金で住宅ローンは完済できるのか。離婚を進める上で大きな問題になってきます。

2-1 住宅ローンが完済できる場合

まずは第一段階クリアです。おそらく離婚もスムーズに進みます。

ですが、「売却想定価格」は安めに想定しておいてください。これぐらいで売れるだろうの金額ではなく、悪くてもこの価格なら売れるだろうの金額で計算をしてください。

例えば、住宅ローンが2,000万、売却想定価格を2,500万として、500万が残る計算で財産分与を取り纏めたところ、実際には2,200万でしか売れなかった場合にはどうなるでしょう?

250万手元に入る計算だったのが、実際には100万しか入らなかったら、離婚後の新生活における資金計画が大きく狂ってしまいます。

最悪の場合、相手方から「これだけ貰える約束だったでしょ」とブチ切れられるかもしれません。

お金の計算はシビアに、厳しめに考えるようにしてください。

2-2 住宅ローンが完済できない場合

完済できない場合の対処方法としては

・手持ちの現金で補填する
・親に頼み込む
・カードローンなどを利用して補填する

などが考えられます。

「オーバーローンの場合は任意売却を」と書いているブログも散見しますが、個人的に任意売却はオススメしません。ブログに書いてあるほど簡単なものではありません。精神的にもかなり追い詰められた状況になります。あくまでも「借りたものは返す」ことを前提に考えるようにしましょう。

住宅ローンの組み方によっては次項でお話しする「売却をせずに離婚する」方法も取れますが、手元に残るお金が減ってしまうことに変わりはないので、完済できる場合と比べると離婚話しを進めるのに支障がでるかもしれません。

3. 売却せずに離婚する方法はあるのか

不動産を持っていたら離婚の際には売却しなければいけないのでしょうか。そんなことはありません。売却せずに財産分与をする方法も、不動産を財産分与に含めないケースもあります。

3-1 売却せずに財産分与をする方法

これは簡単です。

「財産分与相当額を現金で渡す」。これで解決です。

先ほどの例に当てはめると、「売却想定価格2,200万」-「住宅ローンの残債2,000万」=200万÷2=100万になります。

なので、不動産以外の財産から100万を相手方に渡せば、財産分与のために不動産を売却する必要はなくなります。

ただ、問題はあります。それは、双方の信用問題です。

売却をしない「想定価格」で財産分与を進めるため、相手方から「ホントにその値段でしか売れないのか。ホントはもっと高い値段で売れるんじゃないのか」と疑われる可能性はあります。

離婚後にも疑われ続けることにもなりますので、よく考えて話しを進めるようにしてください。

3-2 不動産を財産分与に含めないようにする

「売却想定価格」<「住宅ローンの残債」の場合、不動産を売却しても財産にはならず住宅ローン(借金)が残るだけです。

この場合、自宅の名義や住宅ローンの名義が相手方1人であれば、「家のことはあなたに任せる。責任もって対処しておいて。」と割り切って考え、自宅を財産分与の対象としなければいいだけの話しです。

前述した「双方の信用問題」はありますが、離婚することを優先するのであれば有効な考え方だと思います。

ですが、住宅ローンを組む際に「収入合算」や「ペアローン」などを利用している場合にはこの方法は使わないでください。

収入合算やペアローンを利用している場合には、連帯保証人として住宅ローンの支払い義務があります。これは離婚したからといって解消されるものではありません。

離婚の際に「責任もって払っていくから」と言っても将来のことは分かりません。病気やケガ、会社の倒産などの理由で支払いが滞る可能性もゼロではありません。その場合には銀行から督促が入り、最悪の場合では競売や自己破産の可能性もあります。

収入合算やペアローンを利用して家を購入している場合の離婚では「必ず売却する」の一択です。

4. 離婚「後」の売却をオススメします

売却は離婚「後」がオススメですが、離婚「後」をオススメする理由と、売却をする前にやっておきたい事があります。

4-1 離婚「前」だと贈与が絡んでくる

共有名義の場合にそれぞれの持ち分で分けるのは問題ないのですが、離婚前に売却をして財産分与をしてしまうと贈与税が発生します。

1/2ずつの持ち分の場合は大丈夫ですが、6対4とか7対3、9対1などの持ち分の場合でも、財産分与の原則は1/2ずつなので、持ち分以上のお金を相手に渡すのは贈与に該当します。

離婚「後」まで財産分与をせずに片方が責任を持って保管しておけばいいだけの話しですが、金額も大きくなるのでなかなか不安もあるかと思います。

なので、売却は離婚「後」に行うのがオススメです。

4-2 売却の詳細はしっかりと話し合っておく

売却は離婚「後」がオススメですが、売却の詳細は離婚「前」にしっかりと話し合っておきましょう。

「売却想定価格」-「住宅ローンの残債」=手残り金額÷2

この金額がベースラインになります。

売れなかった場合に値下げはどこまで許容するのか。いつまでに売却を済ませたいのか。実際に売れた金額の確認方法は。立つ鳥跡を濁さずです、しっかりと話し合っておきましょう。

4-3 不動産以外の現金は先に分ける

不動産以外の預貯金や車などの財産は離婚前でも分けてしまいましょう。

預貯金に関しては、双方の名義の口座にそれなりの金額が入っていると思います。その上で、「合計〇〇円の現金があるから、こちらの口座からそちらの口座に〇〇円振り込む(もしくは現金を引き出して手渡しでもOK)」ことで処理できると思います。

離婚前のお金の移動なので厳密に言えば贈与に該当しますが、ウン百万円、ウン千万円の現金を移すのではなく、通常想定される程度の現金の移動でしたらよっぽど税務署に気づかれることもないでしょう。

現金を先に分けることで、引っ越しや家電製品の購入なども先行できます。役所や銀行への手続きも含めて、売却後の限られた時間に全てのことをこなすのは大変です。できることから順番にこなしていく方が精神的にも肉体的にもラクです。

4-4 少しでも早く売却したいなら買取も視野に

できる範囲内での財産分与や、役所への書類の提出、引っ越しなどが進んできたならいよいよ売却スタートです。

通常、不動産の売却には3~6ヶ月程度の時間がかかるといわれています。自宅を空き家にできたのなら、カギを不動産屋に渡しておくことで内覧の立ち合いも不要になります。売却を焦らないのであればじっくりと待ちましょう。

不動産以外の財産が少なく手持ちの資金に不安がある。売却も早々に終わらせて、離婚をキッチリと終わらせたい。そんなお気持ちが強くある場合には不動産の「買取」を考えてみるのも一つの方法です。

自分が住むための家を探している人を待つ「仲介」と違って、「買取」は不動産会社が直接買主として不動産を購入します。購入後にリフォーム・リノベーションを行って「商品として再販売」するのが目的のため、仲介と比べると金額は安くなってしまいます。ですが、現地の確認が終われば最短で1週間~10日程度で引き渡しが完了し現金を手にすることができるのがメリットです。

少しでも早く離婚を完了させ、スッキリとした気持ちで新生活をスタートさせたいと思うのでしたら、一度検討してみるのもいいかもしれません。

まとめ

離婚に伴っての家の売却や財産分与の最適なタイミングをご説明してきました。

最適なタイミングはそれぞれの夫婦によって異なりますが、実体験から推測するに、家の売却は離婚「後」がオススメです。

離婚に関しての悩みや不安などはお気軽にご連絡ください。少しは不安や悩みの解消のお手伝いが出来ると思います。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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