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スムーズな離婚のための不動産売却のヒントと注意点

離婚における財産分与のための不動産の売却では、相手に対しての感情的なストレスや、売却における手続きの煩雑さなどのため困難を伴うことがあります。しかし、事前の準備としっかりとした知識を持つことで、このプロセスをスムーズに進めることができます。この記事では、スムーズな離婚のための不動産売却に関するヒントと注意点を紹介します

1. 離婚に備えての不動産売却の準備

じっさいに「離婚の可能性」を感じるようになってから慌てないために事前に準備できることはなんなのか、具体的に説明していきます。

1-1 共有財産の整理と財産分与に対しての目標の設定

夫婦の財産には「共有財産」と「特有財産」の2つがあります。

特有財産夫婦いずれか一方が結婚前から所有していた預貯金・車や親から相続した財産など、配偶者の関与や協力が及ばない財産


共有財産夫婦どちらの名義なのかは関係なく、婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた、預貯金・車・自宅・退職金などの財産


離婚の際の財産分与の対象は「共有財産」です。

スムーズな離婚に向けて大切なのことは、この共有財産の内容を把握し、どのような分与割合にするかの目標を設定することです。

1-2 不動産の正しい評価が難しい理由

一般の方にとって不動産の売却は何度も経験をすることがないため、ご自身の所有する不動産の価値を判断することは難しく、そして不安を伴うものです。そのため、不動産会社へ「査定」をしてもらい、販売活動を依頼することになります。

そして、ここで新たな問題が発生します。

それは、不動産の売却をした経験がないため、不動産会社の査定金額が妥当なのかを判断する術がないことです。

妥当性を判断するために複数の不動産会社に査定をしてもらうことが一般的ですが、複数の査定金額から「妥当な金額」をどうやって見つけ出せばいいのでしょうか。

2. 不動産売却にむけてのステップ

では次に、査定の依頼から「妥当な査定額」の見つけ方、実際の売却活動の依頼までの手順を見ていきましょう。

2-1 不動産会社の選定と媒介契約

平均すると3~5社程度の不動産会社に査定を依頼するケースが多いようです。

依頼する会社の見つけ方としては、各社のホームページを検索し個別に連絡をとる方法や、最近では雨後の筍のように増えてきた「一括査定サイト」を利用する方法などがあります。

どちらのパターンで探していただいても大丈夫なのですが、とりあえずは「一番高い金額」を提示した不動産会社に依頼することは避けた方が無難です。その理由としては、販売活動を依頼する「媒介契約」を取りたいがためだけに高い査定金額を提示する不動産会社が増えてきているためです。

査定金額の妥当性としては、月並みですが「平均」をとってみるのが安心できるかと思います。

売却価格を決めたら、次は販売活動を依頼するための「媒介契約」の締結です。

媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類があります。不動産会社は「専属専任」や「専任」を強く推奨しますが、私の個人的な感覚としては「一般」でもいいのでは?と思います。

【参照】閑話休題 媒介契約ごとの特徴を理解する

3. スムーズな成約にむけての準備

媒介契約を締結し販売活動をスタートさせたら、成約に向けての準備をしていきましょう。

3-1 室内の整理・清掃と修繕作業

販売活動がスタートすると購入希望者の内見が行われます。

散らかった室内よりも整理の行き届いた室内。汚れた室内よりもキレイに掃除の行き届いた室内の方が好印象になるのは間違いありません。

同じように、大掛かりなリフォーム工事までは不要ですが、ホームセンターで売っている商品を使ってのDIY程度で直せるようなキズなどは補修するようにしましょう。

3-2 映える写真でしっかりとした広告宣伝を

メインとなる広告宣伝はインターネットのポータルサイトへの掲載です。

写真撮影自体は媒介契約を締結した不動産会社の担当者が行いますが、少しでも見栄えのする写真を撮ってもらうためにはご自身の協力も大切です。

・少しでも広く見せるために写真は対角線で撮影
・スッキリした写真にするために不要な荷物は処分もしくは見えない場所に収納する
・太陽の自然な光で撮影できるように撮影は明るい時間に行う

上記の3点は必須項目として覚えておいてください。

4. 引き渡しまでに確認・準備をすること

購入希望者との売買契約が締結できたら、引き渡しまでにやらなければならない事があります。

4-1 銀行や司法書士への連絡

住宅ローンが残っている不動産を売却する場合には、抵当権を抹消するための書類を準備してもらうために銀行への連絡が必要です。

抹消の書類を準備してもらうためには2週間程度の日数が必要です。さらに、引き渡し日に住宅ローンを一括返済するための「全部繰り上げ返済」の手続きも必要です。

最近ではインターネットバンクを利用することで、「一部繰り上げ返済」は簡単にできますが、「全部繰り上げ返済」は窓口での手続きを要することが多々あります。

抹消の書類の受け渡しや所有権の変更登記の件などで司法書士との連絡も必要です。どちらの手続きも不動産会社の担当者に聞けば教えてくれますので、忘れずに早め早めに準備をするようにしてください。

4-2 共有財産として処理する場合の注意点

不動産の名義がご夫婦どちらかお一人が所有者となっている「単有」なのか、ご夫婦お二人が所有者になっている「共有」なのか。不動産の引き渡しが「離婚前」か「離婚後」なのかによって、売却で得たお金の受け取り方が変わってきます。

「離婚前」で「単有」の場合いったんは所有者が一人で受け取ってください。


「離婚前」で「共有」の場合お二人それぞれの持ち分割合に則って受け取ってください。


上記のような離婚前のタイミングで「どうせ財産分与するのだから」と、先に財産分与に該当する金額を相手方に渡してしまうと、場合によっては「贈与」とみなされて贈与税が課せられる可能性があるため注意が必要です。

5. 引き渡し、離婚後のアフターケア

引き渡しも終わり、離婚も成立したタイミングで行うことはなんでしょう。

5-1 財産分与の実行

共有財産として一番大きな金額になる不動産の売却も終わると財産分与も行いやすくなります。

不動産を購入した際に親からの援助があったり、相続した財産から現金を充当したような場合には「特有財産」として扱うことができます。

車や貴金属、時計などの換金性の高い財産の現金化は終わっていますか?

共有財産の額をお二人で確認し、気持ちよくスッキリと財産分与を行って新生活をスタートさせましょう。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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