BLOG ブログ

マンションの終活としての建替え・再開発・敷地売却の違いと最適な選び方を考えてみる

築40年、50年を超えるマンションが全国で増加するなか、「このマンションはいつまで住めるのだろう」「建替えや再開発は本当に実現できるのか」と不安を抱える区分所有者も少なくありません。

今までは「大規模修繕を繰り返せば住み続けられる」と考えられてきましたが、近年では、建物の寿命だけでなく、管理組合の運営や修繕積立金の不足、相続による空室増加など、建物以外の問題も資産価値に大きく影響するようになってきました。

そこで近年では、老朽化したマンションを「いつまで維持するのか」「建替えるのか」「敷地を売却するのか」といった将来の方向性を、問題が深刻化する前から考える「マンション終活」が注目されるようになってきました。今回は、マンション終活の基本的な考え方から、建替え・再開発・敷地売却の違い、それぞれのメリット・デメリットまで詳しく解説します。

1. マンションの終活とは?

人生の終わりに向けた準備として「終活」という言葉は比較的メジャーになってきました。そして、人生においての「終活」があるのであれば、人が暮らすマンションにも「終活」の考えがあってもいいのではないでしょうか。

マンションは単純に建物としての資産価値だけではなく、区分所有者、管理組合、修繕積立金などが一体となって維持される資産です。だからこそ、マンションが古くなった時に「どう終わらせるか」ではなく、「どうやって未来へつなぐか」を考えることが重要になります。

1-1 なぜマンションの終活が必要なのか

日本では築40年以上のマンションが急速に増加しています。そして、今後10〜20年で築50年を超えるマンションはさらに増え、マンションの老朽化への対応が社会的課題になると考えられています。

鉄筋コンクリート造の建物としてのマンション自体は修繕(大規模修繕工事)を重ねることで長く使える場合もあります。しかし、マンションのとしての機能を維持するために必要な配管や電気設備などの更新には多額の費用が必要です。また、所有者の高齢化により管理組合の運営が停滞すると必要な修繕が先送りされがちになり、結果としてマンション全体の価値が低下してしまいます。

つまり、マンションの終活とは「建物の寿命」だけを指すのではなく、「管理の寿命」まで含めて考える取り組みなのです。

1-2 所有者の高齢化がもたらす新たな課題

築50年前後経過したマンションでは、購入当時30〜40代だった区分所有者が70〜80代になり、所有者の大半を占めるケースも珍しくありません。

所有者が高齢化すると、

・管理組合役員の担い手不足(年齢を言い訳とした「やりたくない」といった我儘)
・修繕積立金値上げへの慎重姿勢(自分が生きている間だけ使えればいいという我儘)
・相続による空室増加(自分の家を持っている子どもなら相続しても住まない)
・合意形成の難航(いまさら何をするものめんどくさい)

などが起こりやすくなります。

もちろん全ての高齢者がこのような考え方を持つとは限りませんが、残りの寿命を考えると将来への投資が難しくなることは少なくありません。

結果として、管理が停滞しマンションのメンテナンスが疎かになり、いざ売却をしようとしても購入希望者から敬遠される原因になることがあります。

1-3 「管理を買え」がより重要な時代へ

不動産業界では昔から「マンションは管理を買え」という言葉があります。

築20年程度までの築浅マンションでは立地や間取り(当然ですが価格も)が重視されますが、築40〜50年を超えると、購入希望者は管理組合の運営状況、建物のメンテナンス状況までを確認するようになります。

例えば、

・修繕積立金は十分か
・長期修繕計画はあるか
・総会が定期開催されているか
・滞納率は低いか

こうした項目は今までのマンションの管理運営状況を表す指標となり、マンションとしての資産価値に直結します。

マンションの終活を考えることは、こうした管理体制を見直す機会でもあります。

2. 建替え・再開発・敷地売却の違い

マンションの終活を考えるとき、多くの人が「建替え」「再開発」「敷地売却」という言葉を耳にします。しかし、それぞれ制度や目的は大きく異なります。それぞれの違いを理解することで、自分のマンションに合った選択肢が見えてきます。

2-1 建替えという選択

建替えは、現在のマンションを解体し、新たなマンションを建設する方法です。

建替え後は新しい建物に住み続けられる可能性がありますが、

・所有者の合意形成
・建て替え期間中の仮住まい
・建物の解体費を含めた建築費
・事業としての採算が成り立つのか

など、多くの課題があります。

特に近年は建築費高騰の影響で、デベロッパーにとっての採算が取りにくくなり、建替えは以前に比べて難易度が高くなっています。

2-2 再開発は街全体の再生

再開発はマンション単独での考え方ではなく、駅前や商業施設など地域全体を対象とした事業です。

行政やデベロッパーが主体となり、道路、公園、商業施設なども含めた街づくりが行われます。

対象エリアに入れば資産価値が大きく上がるケースもありますが、個人や管理組合だけで実現できるものではありませんので、マンションの終活として考えるのには不適当です。

2-3 敷地売却という現実的な選択肢

近年、注目されているのが敷地売却です。

これはマンションを解体もしくは解体せず建物付きで、土地をデベロッパーへ売却する制度です。

建替えと異なり、

・建替えたマンションへの戻り入居が不要
・現金化しやすい
・現金の手出しがないので、高齢者でも選択しやすい

というメリットがあります。

駅前や再開発エリアなど、新築マンションの需要が見込めるエリアにおいては、今後さらに増えていく可能性がある方法として注目されています。

3. マンションの終活が必要になるマンション(管理組合)の特徴

築年数の経ったすべてのマンションが建替えや売却を検討しなければならないわけではありません。

しかし、いくつかの特徴が重なると、将来的に資産価値が大きく下がる可能性があります。

3-1 所有者の高齢化

所有者の平均年齢が高くなると、

・管理組合運営
・合意形成
・修繕費負担

などに影響が出やすくなります。

購入希望者は「高齢者が多い」ことよりも、「管理組合が機能しているか」を重視しています。

3-2 修繕積立金の不足

積立金不足は築古マンション最大の課題です。

修繕が遅れると、

・雨漏り
・配管劣化
・外壁落下

など安全面にも影響するだけではなく、売却価格にも影響を及ぼします。

3-3 空室・相続問題

相続後に空室となる住戸が増えると、

・修繕積立金や管理費の滞納
・管理組合の機能低下
・防犯面の悪化

など新たな問題が生まれます。

築古マンションでは建物だけではなく、人の問題も資産価値へ大きく影響します。

4. マンションの終活を成功させるためのポイント

マンションの終活は想像以上に時間がかかるもので、実際に「困ってから始める」のでは遅い場合があります。

築40年前後から将来を見据えて準備を始めることが、選択肢を増やすことにつながります。

4-1 早い段階で議論を始める

建替えでも敷地売却でも実現までには10年以上の期間が必要となるケースが多くあります。

そのため、

・勉強会
・アンケート
・専門家による説明会

などを早期から実施することが重要です。

4-2 土地の価値を知る

マンションの終活では建物の価値以上に土地の価値が重要になります。

・駅徒歩5分以内
・再開発エリア
・容積率に余裕がある

このような条件に当てはまるマンションは、建替えや敷地売却を考える際には有利になる可能性があります。

4-3 専門家を上手に利用する

マンション管理士や建築士、不動産コンサルタント、当然ですが管理会社にも。多種多様な専門家を活用し、アドバイスを求めることで、管理組合だけでは判断しにくい課題を整理できます。

その際に気を付けることは、こういった場合によくあるパターンとして、所有者の中の「声の大きな特定の誰か」の知り合いなどは極力排除することです。そういった「自称専門家」や「信頼できる知人」などは、その「特定の誰か」と裏で手を握っていることが多くあります。

アドバイスをもとめる相手の素性はしっかりと調べるようにしないと、結果として管理組合が食い物にされてしまう事も多々あります。ご注意ください。

5. これからのマンションの終活で重要な考え方

これからの日本では老朽化マンションがさらに増加すると予想されています。

その中で重要なのは、「最後まで修繕する」か「建替える」かという二択ではなく、マンションごとの状況に応じて最適な出口戦略を考えることが重要になります。

5-1 建替えだけが正解ではない

今までの日本では、古くなったマンションは建替えをすることが前提として考えれられてきました。

しかし現在は、

・建築費の高騰
・人手不足
・管理組合内での合意形成の難しさ

などの理由から、建替えが最適解とは言えなくなってきています。

5-2 今後は敷地売却が増える可能性

高齢化が進んだマンションにおいては、「現金を手出ししてまで新しいマンションへ戻るよりも、現金化したい」というニーズも増えています。

今後はデベロッパーによる土地活用と組み合わせた敷地売却が、有力な選択肢になるケースが増えるでしょう。

5-3 マンションの終活は資産を守るための活動

マンションの終活は、「マンションを終わらせる」ことではありません。

建替え、再開発、敷地売却、大規模修繕など、さまざまな選択肢を比較しながら、区分所有者全員で自分たちの資産としてのマンションの将来を考える活動です。

早い段階から議論を始めることで、資産価値を維持し、次の世代へより良い形で引き継ぐことができます。

マンション終活とは、建物の寿命ではなく、「資産価値の寿命」を延ばすための前向きな取り組みなのです。

まとめ

これからの日本では、築50年を超えるマンションが続々と増えてきます。管理組合だけではなく、管理会社、国、地方自治体など、全ての人が「未知の境遇」に直面していきます。

国の制度もこれからどんどん変わっていくはずです。「今さら色々考えるのもめんどくさいなぁ」との考えでしたら、今のうちにとっとと売却してしまうのも一つの方法です。その際にはお気軽にお問い合わせください。

今回の記事が、少しづつでも「マンションの終活」を考える一助になれば幸いです。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

CONTACT
お問い合わせ

離婚時の不動産売却なら
エイチ・コーポレーションへ