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不動産屋がホンネで語る、一般媒介が不動産売却に最適な理由

不動産を売却する際の媒介契約で、専任媒介と一般媒介のどちらを選ぶべきか悩む人も多いのでは。ですが実際には、複数の不動産会社に依頼できる一般媒介の方が売却チャンスを増やす方法として適しています。今回は、一般媒介が不動産売却に最適な理由と、そのメリットについて詳しく解説していきます。

1. そもそも媒介契約とは?基本知識を解説

不動産の売買を依頼する際に不動産会社と締結する契約のことを「媒介契約」と言います。

媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれ契約内容の違いがあります。

まずは、媒介契約ごとの違いを確認していきましょう。

1-1. 一般媒介契約の特徴

一般媒介契約は、不動産売却をする際に複数の不動産会社に依頼できる媒介契約の形態です。

一般媒介契約を結ぶことで、複数の会社が買主を探すために同時に広告宣伝を行うため、購入希望者に物件を見てもらえる可能性が高くなります。

1-2. 専属専任・専任媒介契約の特徴

専属専任や専任媒介契約は、一般媒介契約と違って不動産売却をする際に特定の不動産会社1社のみに販売活動を依頼する媒介契約の形態です。

媒介契約ごとの特徴はこちらに詳しく書いています。
【参照】媒介契約の違いでマンションの売れ行きが本当に変わるのかを考えてみる

2. 一般媒介のメリットとは?

まずは、世間一般で言われている一般媒介のメリットを書いていきます。

2-1. 買い手の幅が広がる

複数の不動産会社に販売活動を依頼するので、購入者を探す範囲や広告方法が広がります。

ネットのポータルサイトに1社だけ掲載するよりも、複数の会社が広告を掲載する方が購入者の目に留まる可能性は高くなります。

ある会社はネットではなく、チラシを作って折り込みやポスティングをするかもしれません。

別の会社はSNSを使っての広告を展開するかもしれません。

売却を依頼した会社ごとに独自の販売活動を行ってくれるので、いろいろな方法で購入物件を探している購入希望者の目に留まる可能性が高くなります。

2-2.「囲い込み」のリスクが少なくなる

「囲い込み」とは、売主から売却依頼をされた物件を、ほかの不動産会社の購入希望者には紹介や契約をさせないようにすることです。

不動産会社の収入源は仲介手数料です。媒介契約を結んだ不動産会社が自社で買主を見つければ、売主・買主の双方から仲介手数料を得られる「両手仲介」が狙えます。

専任媒介や専属専任媒介の場合に、「両手仲介」を狙って囲い込みを行う不動産会社と契約してしまうと売却のチャンスを逃してしまう場合もあります。

一般媒介であれば、特定の1社が物件の情報を独占することができないため、囲い込みをされるリスクは少なくなります。

2-3. 不動産会社同士が競い合う

成功報酬である仲介手数料を得るため、売却の依頼をした複数の不動産会社が他社に負けないように販売活動を競い合います。

結果として、想定していたよりも早期に売却できたり、高価格で売れる場合もあります。

3. 一般媒介のデメリットとは?

つぎに、世間一般で言われている一般媒介のデメリットを見ていきましょう。

3-1. 不動産会社がやる気にならない

専属専任や専任媒介のように、売主からの仲介手数料が確約されていない一般媒介契約の場合には、広告宣伝費を十分にかけてもらうことができない場合があります。

一般媒介契約の場合では、不動産会社は必ずしも仲介手数料を得られるわけではありません。

一般媒介を結んだ複数の不動産会社の中から、契約に至った不動産会社だけが売主・買主からの仲介手数料を得ることができます。

そのため、売却できれば必ず売主から仲介手数料を得ることができる専任媒介や専属専任媒介と比較すると、販売活動での積極性が劣る場合もあります。

3-2. 販売状況が見えづらい

一般媒介の場合、専属専任や専任媒介と違って売主への報告義務がないため、販売状況が見えづらくなってしまいます。

そのため、売主から定期的に連絡をし、販売状況を確認しなければならない場合も出てきます。

4. ここからがホンネの話し

いろいろなサイトに載っている一般媒介のメリット・デメリットを書いてきましたが、ハッキリ言って見飽きてますよね。

世間一般で言われている一般媒介のデメリットに関して、ホントのことを書いていきます。

4-1. 販売活動に違いはない

ネットでの広告が主流になった今の時代では、どの媒介契約を選択したとしても広告宣伝の方法はたいして変わりません。

20~30年前であれば新聞の折り込みチラシでの集客も効果がありましたが、新聞を取る人が激減した今の時代では効果のほどはしれています。

大手不動産会社が莫大な予算を使って折り込みチラシをやっていますが、果たして効果のほどはどうなんでしょうかね?

「一般媒介だと広告費をかけてもらえなくなる」心配は不要と考えてもらって大丈夫です。

4-2. 囲い込みも過去の話しです

両手仲介を狙っての物件の囲い込み。いろいろなサイトに載っていますが、これも過去の話しです。

不動産業界が活況を極めたバブル時代であればまだしも、不動産不況の今の時代に不動産会社が考えていることは「なにはなくとも成約を!」です。

捕らぬ狸の皮算用の両手仲介を目指すよりも、目の前の片手仲介での成約を考えるのが今の時代の不動産会社です。

ただし、結果として「囲い込んでしまった物件」は結構な数で存在しています。

それは、売主が相場を無視して高すぎる価格で売りに出した物件です。

こうした物件に関しては売主にも責任はありますし、媒介契約を取りたいがために相場を無視して高額査定をしてしまった不動産会社にも責任はあります。

一括査定サイトが増えてきたことも原因の一因ではありますけどね。
【参照】失敗せずに一括査定サイトを利用するための5つのポイント

4-3. 販売状況は分かるでしょ

たしかに、専属専任や専任媒介のように定期的な販売状況の報告義務はありません。

では、売主が知りたい販売状況の報告ってなんですか?

「問い合わせがありました」とか「案内が入りました」とか「前向きに検討すると言ってくれています」とかではないですか?

このような売主さんが聞きたい報告であれば、その都度連絡はありますよね。

報告の義務があるからと、「今週も問い合わせがありませんでした」「案内はゼロでした」とかの報告をもらい続けたら鬱になりかねないと思いますがどうですか?

そもそもひとつの会社にだけ依頼をしている以上、「問い合わせがありました」「ご紹介させていただきました」とかの報告をもらっても、ウソかホントかの判定はできないと思うのですが。

販売状況が聞きたいのであれば、電話やメール、LINEなどを使って担当者に連絡を取ればいいだけのこと。担当者も「そろそろ状況報告しないと心配になってるだろうな」と思うタイミングで報告はしてくると思います。

そのあたりの阿吽の呼吸が合わない担当者であれば、いっそのこと媒介契約を解除して他の不動産会社にお願いをした方がいいと思います。

5. 一般媒介がおススメのホントのわけ

では、不動産の売却をする際の媒介契約において、一般媒介が最適なホントのわけを書いていきます。

5-1. 他社の状況が気になる

専属専任や専任媒介の場合、販売の窓口が自社のみなので、販売状況は完全に把握できます。

問い合わせの有無や案内の有無も完璧に把握できます。その上での売主さんへの報告ですからね。

ですが、一般の場合、把握できるのは自社の状況のみ。他社への問い合わせや案内の有無などは分かりません。他社が報告するのは売主さんへだけですから。

そのため、問い合わせや案内が入らないと「他社はどうなんだろう」と心配・不安になってきます。

その心配や不安を解消するために、今までがネット掲載だけであればチラシを作ってみたり、自社HPでの扱いを大きくしたりとかを考えたりもします。

売主さんとして「競わせる」気がなくても、勝手に競い合ってくれる場合もあるので、意外と販売状況としてはいい結果に結び付く場合もありますよ。

5-2. 問い合わせに対してのレスポンス

居住中での売却は該当しませんが、空き家にして不動産会社にカギを預けている場合では、問い合わせに対してのレスポンスが良くなります。

専属専任や専任媒介の場合、カギを預けているのは1社だけ。他の不動産会社が案内をする場合には、その不動産会社にカギを借りに行かなければなりません。

このカギの手配がめんどくさいのが不動産屋のホンネです。

 専属専任や専任媒介の場合 「問い合わせ」⇒「不動産屋に電話」⇒「カギを借りに行く」⇒「案内」⇒「カギの返却」


 自社で一般媒介の場合 「問い合わせ」⇒「案内」

どうです?どう考えても自社で一般媒介を持っている物件の方が案内しやすいと思いませんか。

問い合わせをしてきたお客さんも「今から見たい」人が結構いますので、カギのやり取りで時間がかかり、「●●時ごろなら大丈夫です」ってなると「じゃあいいです」ってなるパターンもあります。

必要以上に多数の不動産会社と媒介を結ぶ必要はありませんが、3社程度と媒介を結びカギを渡しておくのが一番効率がいいと思います。

5-3. ついで案内の可能性が高くなる

問い合わせに対してのレスポンスと似ていますが、カギを持っていると他の物件の案内の「ついでに」案内することもできます。

別の物件に問い合わせがあり案内へ向かう際に、「近くだからとりあえずカギを持って行こうかな」が可能になります。

案内中に「他に近くで物件ないですか?」とか「もう少し●●なお部屋ってないですか?」と聞かれた時に見学してもらうことができ、成約になる場合も結構あります。

業者が売主の「業ブツ」物件の方が一般の方が売主の物件よりも成約しやすい理由の一つが、この「ついで案内」ができることです。

成約するためには、なにはなくとも見学をしてもらうこと。複数の不動産会社にカギを渡しておくことで、この「ついで案内」の可能性が高くなることも一般媒介のメリットです。

まとめ

いかがでしたか。不動産屋が考える、一般媒介が不動産売却に最適な理由を書いてきました。

一括査定サイトでの記事や、大手不動産会社のブログなどでは、専属専任や専任媒介を勧める記事がほとんどです。

ですが、不動産業界に長くいる人たちに聞くと「自分が売主になるなら、知り合いに勧めるなら、一般媒介の方がいいよね」って言う人が多数います。

全ての物件、全ての売主さんに一般媒介が向いているわけではないでしょうが、世間で言われているほど、専属専任や専任媒介に優位性があるわけではないです。

今回の記事を参考にしていただき、ご自身の売却に最適な媒介契約を選んでください。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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