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人気のペット可マンションが売却では意外と苦戦する理由とは

「マンションを買ったらペットを飼いたい」「ペットを飼っているから「ペット可」のマンションを」など、ペット可のマンションを探している人は多数いるのですが、いざ売却をしようとすると意外に苦戦することもあります。人気があるはずなのに売れ残ってしまう、見落とされがちなデメリットと解決策について深掘りしていきます。

1. なぜペット可マンションは人気なのか

ポータルサイトや不動産チラシでも「ペット可」をキャッチコピーにしている事例は多数あります。

どうして「ペット可」が人気になるのでしょう。思いつく理由としては

・すでにペットを飼っているから
・ペットとの暮らしに憧れがあるから

この2点です。

1-1 すでにペットを飼っているから

最近はペットOKの賃貸も増えてきたようで、それに比例するように「ペットを飼っているからペット可のマンションを」の需要も増えてきてはいます。

たしかに、すでに飼っちゃているのなら、ペット可のマンションでなければ困るでしょうね。

一般的には小型犬、猫を「1匹」飼っているパターンが多いかと思いますが、ときどき「2匹」飼っている人がいるんですよね~。ハッキリ言って困ります。

中古マンションでは、まだまだ「ペット可マンション」は少数派です。そんな状態なのに、犬・猫2匹以上の「多頭飼いOK」のマンションなんて更にレアです。

ただ、そんな人って自分の置かれた状況をよく理解していて、「2匹はダメですよね?」って、なかば諦めの気持ちで問い合わせをしてくるので、こちらも「ダメですねぇ」って返せばいいだけなのでラクはラクです。

実家暮らしの時に、犬も猫も飼ったことはありますが、どうして賃貸暮らしでペットを飼っちゃうんですかね?

犬や猫のために自分の住みたいマンションに住めないなんて、どっちがご主人様なのか分からない、本末転倒の気がしてならないのですが。

1-2 ペットとの暮らしに憧れがあるから

気持ちはわかります。何となく「ペットと戯れる日々」に憧れたりするんでしょうね。

でも、たいてい子どもが言い出すんですよ。そして、自分が遊びたいときだけ遊んで、めんどくさい普段のお世話は親に任せるんです。過去の自分がそうだったのでよく分かります。無責任極まりないです。

「止めておいた方がいいのになぁ」と思いながら接客はしていますが、生き物を飼うのって大変なことなので、単なる憧れだけで飼うのはホントに止めておいて方がいいですよ。

2. 人気なのに苦戦する理由は

需要のあるペット可マンションですが、「現況渡し」での売却では意外と苦戦します。

実際によく聞かれる断り文句としては

・臭いが…
・汚れが…
・じつは動物キライなんです

この3つに集約されてます。

2-1 臭いが…

実際にペットを飼っている住人は気づかないかもしれませんが、犬や猫の臭いってかなりキツイです。ペットを飼っていない人であれば、玄関を開けた瞬間に「飼ってるな」って分かります。

極端な言い方をすれば、「ペット臭=タバコ臭」なみに臭います。住人がタバコを吸うのであれば「ペット臭+タバコ臭=最悪」です。

犬と猫って臭いの成分?が違うのか、犬を飼っている人は猫の臭いを、猫を飼っている人は犬の臭いをキライます。そもそもペットを飼っていない人は、ペット臭がした時点で「臭いっ!」で、却下です。

ペット可マンションの売却においては、臭い対策が必須と思っていただいても間違いではないです。

2-2 汚れが…

汚れだけでなく、室内の「キズ」も含めての反応です。

「ペットが飼えるマンションで、ペットを飼っている部屋」と分かった段階で、買主としてはある程度の「アタリ」を付けてはいます。

その「アタリ」を超えた状態での汚れやキズがあると、「ん~~」の反応になってしまいます。

とくに猫を飼っている場合の「爪とぎ」を気にされるケースが多いです。

住人としては可愛がっている猫のことなので多めに見てきたのかもしれませんが、内覧に来た買主にしてみれば関係ないことです。ただの「キズ」です。

「これ直すのにいくらかかるんだろう?」の疑問符がいっぱい出てくるのも致し方ないですし、結果として「お断り」になるのも当然です。

2-3 じつは動物キライなんです

ペットが飼いたいからペット可マンションを買う人ばかりではありません。単に立地や価格で選ぶ人も当然ですがいます。

そんな人も、ペット可のマンションであれば、当然ペットを飼っている人がいることも理解はしています。

この場合の「動物キライ」は、ペットそのものの問題よりも、飼っている住人のマナーの問題ですね。

猫を外に連れ出す人はよっぽどいないでしょうから、問題になるとしたら犬です。

共用部でも抱きかかえずに連れているとか、室外までキャンキャンと聞こえる鳴き声とか、共用部・敷地内にオシッコやウンチの跡があるとか。

エントランスの掲示板やエレベーター内に注意書きを張り出しているマンションもありますよね。

そんなマナーの悪い人が住んでいるマンションであるならば、購入するのを躊躇するのもやむを得ないのではないでしょうか。

3. 対策方法を考えてみる

「現況渡し」で売れるに越したことはないのですが、諸々の事情により売れないのであれば、売るための対策が必要です。

とりあえず、断り文句としての3つに対しての対策を書いていきます。

3-1 臭い対策としては

ペットを飼っている以上、臭いの元を絶つことはできないので、対策としては対処療法にはなってしまいます。

室内が臭う原因としては、布と壁・天井・床になってきます。

 布の対策 ・カーテン
とりあえず洗濯しましょう。天気のいい日に漂白剤と柔軟剤も一緒に入れて洗濯すれば、なんとか誤魔化すことはできるのでは。
お金に余裕があれば買い替えてもいいですが、オススメはしないです。

・ソファ
本革・合皮であれば、中性洗剤を薄めての拭き掃除。布製でフルカバータイプであれば、カーテンと同じく洗濯してしまいましょう。フルカバータイプでないのでしたら、ファブリーズをかけまくって誤魔化すしかないですね。

・その他
クッションカバーやダイニングチェア、その他の布製品も、洗濯できるものはとにかく洗濯。できないものはファブリーズで。とにかく少しでもペット臭が弱くなるような努力をしてください。


 壁・天井・床 ・壁(天井)
薄めた中性洗剤でこすってもいいのですが、ゴシゴシ擦りすぎると毛羽立ってしまいますし、効果としてはちょっと弱いかな。天井は拭くこと自体が難しいですし…。

クロスの張替えが一番効果的ではありますが、最近はクロスの張替えも高くなりましたからね。いくらぐらいでしょう。

75㎡の部屋の壁・天井の張替え費用をざっくりと計算すると

75×3.5×1.2×1,500円=472,500円+諸費用10%+消費税=約57万円

どこの会社に頼むかでも変わってきますが、だいたいこれぐらいの予算は必要になってくると思います。

・床
畳であれば表替えです。売るための美装なので一番安いグレードの畳表でいいのですが、どれぐらいでしょうね。8,000円/畳でできるのかな?

カーペットの場合は張替えです。商品もピンキリですが、どれぐらいでしょう。安いカットカーペットだと6,000円~7,000円/㎡ぐらいでやってくれるのかな?16帖ぐらいのリビングだと20万前後の予算かと。

3-2 キズ対策としては

扉なのか、和室の敷居なのか。場所にもよってしまいますが、

 扉 扉であっても、扉を取り付けている「扉枠」であっても、単体での取り替えはできないのでセットでの取り替えになります。

一般の方って「パコって取り替えるだけでしょ?」と思うようですが、そんな簡単なものではないです。周りの壁も少なからず壊す必要もあり、その後の補修やクロス張りも必要です。

なんだかんだで、1ヶ所15万~20万ぐらいの予算は見ておいた方がいいと思います。


 和室 けっこう厄介です。敷居を取り換えると畳が上手く納まらないことがあるので、基本的に、取り換える場合には畳の新調とセットになっちゃいます。

表替えよりも高額(15,000円/畳ぐらいかな)になりますし、敷居の大工工事も必要なので、6帖間で20万前後にはなってしまうかと。

想像以上に予算がかかってしまうので、自宅のリフォームの場合でも、買取屋さんの再販物件でも、和室の敷居ってあんまり直さないんです。

3-3 じつは動物キライなんですには

自力での対策は無いです。マナーの悪い近隣住人を恨んでください。

もしくは、問題を把握しながらも対処してこなかった、自分を含めての管理組合の責任です。

4. 対策方法のコスパを考えてみる

定番の断り文句への対策は分かりましたが、コスパとしてはどうなのかを考えてみましょう。

4-1 査定価格は恐らく高め

室内の状態にもよりますが、ペット可マンションの売却査定を依頼した場合には、「高め査定」になりがちです。

最近はどこの不動産会社もより一層に売却物件を求めていますので、ほっといても高め査定にはなりがちです。【参照】失敗せずに一括査定サイトを利用するための5つのポイント

そして、ペット可マンションが人気なのも間違いはないので、査定に来た不動産会社の担当者は口々に誉め言葉を並べ立ててくれるはずです。

「こんな査定が出るのなら、わざわざ対策せずとも売れるんじゃない?」と思ってしまうのも致し方ありません。

4-2 実際の反響はどうなのか

これも恐らく、売り出し当初はけっこういい感じで反響は入ると思います。

あとは、室内の状況と、内覧に来た人の受け止め方しだいです。

2~3組の内覧が入っても成約に至らないようでしたら要注意です。値段と部屋の状況のバランスが取れていないです。言ってみれば、高め査定に騙された状態です。

1~2ヶ月経った時点、もしくは媒介の更新時期に、「値下げしませんか?」の打診が入るでしょう。

そうなると、対策を施すためのコストと、どこまで値下げをすれば売れるのかとの葛藤が生まれてきます。

4-3 対策はしないほうがオススメ

元も子もない話になってしまいますが、個人の方が売主になる場合には、売るための対策・コストは施さない方がいいです。

理由としては、対策を施したからといって、かけたコストを回収できるだけの価格で売れる保証がないからです。

「100万、200万値下げするのなら、60万でクロス張り替えたら今の価格で売れるのでは」とかは幻想です。売れる保証はまったくないです。(ひょっとしたら売れるかもですが…。まぁ、限りなく可能性はゼロです)

それよりも、「ペット可だから高く売れるかも」の幻想を捨て、さらに、室内の状態の悪さを加味して価格を低めに設定して、内覧に来た人に「この値段だったら…」と諦め・納得してもらうことを考えた方が建設的です。

5. でも、やっぱり世間ではペット可マンションが人気

「対策はこうですよ~」「でも、対策はしない方がいいですよ~」と、いろいろ矛盾したことを書いてきましたが、世間ではペット可のマンションが人気なのは間違いないです。

では、どんなペット可マンションなら売却で苦戦しないのでしょうか。

5-1 ペット飼育歴の短い部屋

臭いやキズ、汚れが目立たない、ペットを飼ってからの日が浅いマンションでしたら現況渡しでも人気になります。

ペット可であろうがペット不可であろうが、結局は第一印象が良くない事には売れないです。

どんなにしっかりと躾けをしたとしても、飼った日数が長くなれば臭いは染みついてしまいます。当然、床や壁にもキズが付くことでしょう。

ペット可のマンションが現況渡しで売れるのは、「室内の状態がいい」ペット可マンションだからです。

老犬、老猫を飼っている方には、「この子が生きてる間は…」と言われる方も多いのですが、歳を取れば粗相をすることも増え、より一層にお部屋の状態も悪くなります。

そのような状況であれば、申し訳ない言い方にはなりますが、楽しい時間を長く過ごさせてもらったと考えて、売却価格には目をつぶっていただくしかないのかと思います。

5-2 再販物件では人気です

買取屋さんが売主になる、臭いやキズ、汚れがなくなったペット可マンションの再販物件あれば、やっぱりペット可マンションは人気です。

ネガティブ要素としては「じつは動物キライなんです」だけですからね。

少しでも高く売りたい気持ちは重々承知ですが、売れないストレスや悩みをスッキリと早々に解消できるのであれば、多少の安値での売却でもと割り切るのも一考ではないでしょうか。

相続や状態の悪いお部屋を売却するには、買取は最適だと思いますよ。

【参照】売却での仲介と買取の選び方のポイント

まとめ

絶対的な人気はあれども、室内の状態しだいでは意外と売却に苦戦するのがペット可マンションです。

現況渡しで攻めるのか、いっそ買取でスッキリと処分してしまうのかを迷った際にはお気軽にお問い合わせください。

リフォーム会社での経験も踏まえて、最適な売却方法をご提案させていただきます。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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