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なぜあの古いマンションは売れるのか?売れないマンションとの違いを徹底比較!

「古いマンションは売れない」と思っていませんか?「売りづらい」のは事実ですが、築年数が経っていてもスムーズに売れるマンションも実際には存在します。今回は、古くても売れるマンションの特徴を徹底解説。売れないマンションとの比較を交えて、購入者が求めているポイントを理解し、スムーズな売却につなげましょう。

1. 売りづらいのは事実

人間だれしも、とくに日本人は新しいもの好きな人が多いので、古いマンションが売りづらいのは事実です。

では、どうして古いマンションは売りづらいのでしょう。今回は「築40年以上」の古いマンションを例にして考えていきます。

1-1 漠然とした不安感

古いマンションが売りづらい1番の理由は、この「漠然とした不安感」ではと思います。

最近では、衣類や電化製品、家具などで中古品を上手に利用する人も増えてはきましたが、そのあたりの商品は「失敗してもダメージが少ない」程度の金額です。

そういった商品と比べると、マンションは非常に高額で、失敗した時のダメージは比較にならないほど大きなものです。

身近なところでは「車」があるのですが、これも「中古車はイヤ!買うならぜったいに新車」って人もいますよね。

今どきの国産車だったら、よほどの粗悪品に手を出さなければ壊れることもそうそうないですし、コスパを考えれば中古車を買った方がいいとは思うのですが、ダメな人はダメなのでしょうがないです。高いお金を払って新車を買ってもらうしかありません。

マンションも同じような感覚で、築20年ぐらいまでであれば「大丈夫なんじゃないかなぁ」と、根拠のない安心感・納得感があるのに、築40年ぐらいになると「大丈夫なのかな?」という根拠のない不安感が勝ってしまって、なかなか購入に踏み切れなくなってしまうのかと思います。

1-2 見栄っ張り

この「見栄」も、大きな買い物をする際の大切なポイントです。

先ほどの「車」なんかはいい例で、自分の中では「中古車」でもいいのに、買ってから他人に「どうして中古にしたの?」と聞かれるのがイヤで新車にする人や、他人に対してマウントを取りたいがために新車にする人もいるみたいですね。

中古マンションも同じで、買ってから他人に色々と言われるのも癪に障るから、築浅のマンションを買っておこうかと考える人もいるでしょう。

案内をしている時に、「オートロックが」とか「宅配ボックスが」とかを条件に挙げる人なんかは見栄っ張りの人が多い気がします。

2. よく言われている売れない理由とは

感覚や心情的な部分とは別に、物件としての理由や法規制の部分でも売りづらい部分があるのも事実です。

一般的に言われている理由には次の5項目があります。

・旧耐震基準のマンションだから
・住宅ローン減税の対象外だから
・修繕積立金が高いから
・共用部の設備が整っていない
・管理組合の機能不全

順番に説明していきますね。

2-1 旧耐震基準のマンションだから

これは実際によく聞かれます。

ネットでもさんざん書かれているので、中古マンションを買おうと考える人の目にも留まりやすいんでしょうね。

「旧耐震基準」のマンションとは、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認が出されたマンションです。

建築確認とは、マンションデベロッパーが役所に「こんなマンションを建ててもいいですか」とお伺いをたてることで、役所からOKが出ないと建てることができません。

OKが出てから建設を始めるので、おおよそとして昭和58年築あたりのマンションからが「新耐震基準」のマンションになります。正確には建築確認を確認しないといけませんが、古いマンションになると紛失してしまって確認することができないケースも多々あるので注意してください。

旧耐震と新耐震の違いの概略は

 旧耐震 震度5強程度の地震で倒壊しない

 新耐震 震度5の地震ではほとんど損傷しない、震度6~7の地震が起きても倒壊しない

新旧を比べてしまえば「新」がいいのは当たり前ですが、地震なんて同じ震度でもピンポイントでは揺れ方も変わるので、新耐震なら安全かと言われれば怪しいものだとは個人的には思っています。

2-2 住宅ローン減税の対象外だから

以前の1%からは縮小されたとは言え、住宅ローンの年末借入残高の0.7%が所得税や住民税から減税される住宅ローン控除は、マンションを購入する際の大きなメリットになります。

この住宅ローン控除ですが、旧耐震のマンションは基本的には対象外。そのため、売りづらい理由の1つと言われてはいますが、住宅ローン減税のことを知らない購入者もいますので、そこまで売れない理由としては深刻ではないかと思います。

2-3 修繕積立金が高いから

新築や築浅のマンションと比べれば、どうしても修繕積立金が高くなっているマンションが多いのは事実です。
完成年次別m2当たり戸当たり
昭和49年以前214.4円14,271円
~昭和54年201.5円12,506円
~昭和59年179.8円12,264円
~平成元年216.1円13,409円
~平成6年193.8円13,028円
~平成11年176.2円13,263円
~平成16年201.6円15,505円
~平成21年191.5円15,007円
~平成26年164.9円12,313円
~令和元年146.7円10,726円
令和2年以降130.3円10,266円
参照:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」

ただ、戸当たりの平均単価が1番高くなっているのは平成12年~平成16年のグループの15,505円です。これは築20年~25年に該当するので、恐らく2回目の大規模修繕工事に向けて工事費用を確保する目的ではと予想します。

2-4 共用部の設備が整っていない

古い時代に建てられたマンションですから、築浅のマンションと比べて設備が劣るのは致し方ないでしょう。

オートロックや宅配ボックス、ペットの足洗い場などの、「あったら便利、嬉しい」設備は無くても大丈夫な気がしますが、エレベーターがないのはツライですね。

昔ながらの団地タイプの5階建てまでのマンションで、エレベーターが無い4階・5階のお部屋は苦戦するのは必至です。

2-5 管理組合の機能不全

築年数が経ってくると、それに比例して所有者の年齢層も高くなってきます。

そのため、体調面から管理組合の運営に携わることが難しくなってくる人が出てきてしまったり、自分のこと以外には無関心になってきたりもします。

管理会社が入っていれば安心もできますが、いかんせん管理会社も営利企業ですし、ラクができるのであればラクをしたいと思うのが人情です。

管理組合からの申し入れがなければ最低限のサポートしかしてくれませんし、結果としてマンションの管理が行き届かないことにもつながってしまいます。

3. では、古くても売れるマンションとは

古いマンションが売りづらい理由を見てきましたが、古くても売れるマンションは何が違うのでしょう。

3-1 何はともあれ管理体制

古くても売れるマンションの特徴として1番に考えられるのは「管理がしっかりとできている」だと思います。

「古くて汚い、みすぼらしい」ではなく、「古いけどしっかりしている」と思えるようなマンションであれば、なんだかんだと言っても売れてはいきます。

そして、この管理体制は、「管理会社がしっかりとしている」だけでなく、住人である所有者の意識の問題が非常に大きなウェイトを占めています。

僕自身が中古マンションを買った時や、お客さんを案内した時に、「このマンション、古いけどイイ感じだな」と思うマンションの特徴が

・自転車置場が整頓されている(放置自転車がない)
・集合ポストにチラシが詰まった部屋がない
・集合ポストの周りにポスティングのチラシが捨てられていない
・エントランスや廊下・階段にゴミが落ちていない

文字にしてみるとすべて当たり前のことなのですが、新旧問わず当てはまらないマンションは結構あります。

自分1人でできることではないので、毎年の管理組合の総会での話し合いや問題意識の共有が大切になってきます。

通りすがりの人、マンションへ訪ねてきた人に「キレイにしているマンションだな」と思ってもらえるような環境を作っていくことが、古くなっても売れるマンションへの第一歩です。

3-2 修繕積立金が貯まっている

「売れない」と言われている理由と矛盾しますが、修繕積立金や管理費が必要に応じて値上げされ、しっかりと貯まっていることも大切です。

外壁塗装や屋上の防水工事などを行う大規模修繕工事のためだけではなく、30年、40年経った時に玄関ドアや窓サッシを取替えできるぐらいの修繕積立金が貯まっていると売りやすくなると思います。

築40年前後の古いマンションで玄関ドアが取り換えられていると、部屋へたどり着くまでにお客さんの反応が違い、ほとんどのお客さんが好印象を持ってくれます。

その上さらに窓サッシが取り換えられていると、修繕積立金が高いことも「これだけの金額で集めていたから、ここまで直せてるんですね」と、プラスに受け取ってもらえます。

マンションの総戸数にも左右されますが、個人的には、修繕積立金が12,000円~15,000円、管理費が8,000円~10,000円。合計で25,000円前後に設定されているマンションは管理がしっかりと行き届いているイメージです。

3-3 マンションの規模感

マンションの規模感もポイントになります。

古いマンションは15戸~20戸の比較的小規模なものが多い傾向です。エレベーター無しの5階建てのマンションなんかは典型的ですね。

新築時から住んでいる住人としては住人全員が顔見知りと言っても過言ではない状態でしょうが、中古で買う人間からしてみれば、人間関係がめんどくさそうなイメージも付いて回ります。

100戸を超えるような大規模マンションであれば、それはそれでめんどうな部分もあるのでしょうが、イメージとしては50戸前後の中規模マンションが1番いいような気がします。

3-4 やっぱり立地は大切

耳にタコですが、やっぱりマンションでの立地は大切です。

傾向としては、3LDK以上のファミリー層向けであれば、スーパーやドラッグストアなどの買い物施設や小中学校までの距離。

1R~2LDKまでの単身者向けであれば、駅5分圏内が人気になってきます。

この立地面に関しては、古いマンションは比較的良い立地に建っているものが多い印象です。

4. ターゲット層は

築40年を超えるような古いマンションを売却する時には、どのような顧客層がターゲットになるのでしょう。

4-1 子ども無しの夫婦・単身

50歳前後で、子どもがいない、もしくは独立して夫婦2人であったり、単身の人がターゲットになりやすいです。

住宅ローンを組むにも最後のチャンスの年齢ですし、残りの30年前後を過ごせる手ごろな価格のマンションを探している人が結構います。

駅近の2LDKマンションでしたら、古めの物件でも案外苦戦せずに売れることが多々あります。

4-2 計算の経つ40歳前後のファミリー層

なぜか日本人は「家は一生に一度の買い物」と考える人が大多数です。

一生に一度と考えると、35歳~45歳ぐらいの年齢層は非常に中古マンションを購入しづらくなります。

どうしても「あと50年」は住めるようなマンションを買う必要がありますからね。そうなると必然的に新築~築10年程度の新しいマンションになってしまいます。

ですが、「20年住んでから住み替える」と考えると、築40年ぐらいのマンションも検討できるようになります。

新しいマンションを買っても、20年も住んだらリフォームが必要になる。だったら、古くて安いマンションを買ってリフォームをして、20年経ったら住み替える方が合理的じゃないかと考える人もチラホラと見受けられます。

予算と間取りがマッチする可能性は高くはありませんが、駅からちょっと距離があるようなファミリー向けのマンションであれば、このような購入層を狙ってみてもいいかもしれません。

まとめ

古くても売れるマンションと、古くて売れないマンションの比較をお話ししてきました。

古くなれば売りづらくなるのは避けられず、また、自分1人でできることも限られます。

「古いから売れないかなぁ」とお悩みの際にはお気軽にお問い合わせください。できる限りのアドバイスとお手伝いさせていただきます。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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