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離婚をするときにマンションを売るのなら知っておきたい5つの注意点

離婚を考えたときにマンションの処分は避けて通れない問題です。住宅ローンが残っている、共有名義になっている、子どもの養育が絡むなど、状況によって判断はさまざま。離婚後に後悔しないためにも、マンション売却時に気を付けるべきポイントやトラブル、その対処法を5つの視点から詳しく解説していきます。

1. 住宅ローンが残ったマンションは財産分与するのか

住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、そのマンションが離婚の際の財産分与の対象になるのかは、住宅ローンの残債額によって異なります。

1-1 オーバーローンの場合は原則対象外

「住宅ローンの残債>売却価格」のようなオーバーローンの場合、基本的には財産分与の対象にはなりません。

マンションを売却してもローンを完済できないオーバーローンの場合、夫婦の共有財産としてのマンションの評価額がマイナスとなるため財産分与の対象外となります。

たとえば、マンションの売却額が1,500万円、住宅ローンの残債が2,000万円であれば、「マンションの売却額-住宅ローン残債額」がマイナス500万円となり、オーバーローンの状態になります。

オーバーローンの場合、マンションは財産分与の対象から外れるので、マンションの評価は無視して他の財産のみが財産分与の対象となります。

1-2 アンダーローンの場合は対象

住宅ローンの残債額がマンションの売却価格を下回る「アンダーローン」の場合、マンションは財産分与の対象となります。

たとえば、マンションの売却額が2,000万円、住宅ローンの残債額が1,000万円であれば、共有財産としてのマンションの価値は「2,000万円-1,000万円=1,000万円」となり、この1,000万円を夫婦で1/2ずつに分けることでマンションを財産分与することができます。

とっとと売って、とっとと離婚してしまいましょう。

2. 住宅ローンが残っていたら確認すること

マンションの住宅ローンが残っている場合、まず最初に確認しておきたいポイントをいくつか紹介します。

2-1 名義人は誰ですか?

住宅ローンを支払う義務はローンの名義人にあります。

そのため、マンションを売却しようと考えた時には、まず最初に住宅ローンの名義人が誰になっているかを確認するようにしてください。

2-2 ローンの残債はいくらある?

変動金利を利用している人であれば半年ごとに。固定期間で借りている人であれば、借入当初に固定期間分の返済予定表が金融機関から郵送されているはずです。

手元になければ、ネットバンクを使って調べる、もしくは金融機関に電話をして聞くか再発行してもらい、住宅ローンの残高を確認しましょう。

2-3 連帯保証人はいますか?

ぺアローンの場合はわかりやすく、本人としても覚えているとは思いますが、収入合算を使っている夫婦は気を付けてください。この場合も、連帯保証人になっています。

離婚して他人になったからといっても、離婚後に連帯保証人を外れることは基本的にはできません。

なぜなら、連帯保証人になったのは自分たちの都合であり、離婚するのも自分たちの都合。お金を貸した金融機関には全く関係のないことです。離婚して他人になったからといって連帯保証人を外してくれるほど金融機関は甘くはありません。

「元」夫婦として連帯保証人になっている間は、離婚したからと言っても「住宅ローン」という借金の足枷がついてまわる運命共同体です。

2-4 ローンは完済できますか?

ローンの残債額とマンションの査定額を調べ、オーバーローンなのかアンダーローンなのかを確認しましょう。

アンダーローンであれば特に問題はありません。粛々と離婚とマンション売却の段取りを進めましょう。

オーバーローンの場合だとちょっと厄介です。マンションを売却するため、住宅ローンを完済するために色々と考える必要がでてきます。

【参照】離婚時のマンション問題:オーバーローン対処法

3. ペアローンの人は問題多し

最近では利用者が増えてきているらしいぺアローンですが、離婚でマンションの売却をする場合にはより一層に大変になります。

3-1 高額物件が多くなる

夫婦2人がそれぞれに団信に加入できたり、住宅ローン控除を利用できたりとメリットのあるペアローンですが、夫婦2人の収入を合算して購入するマンションですから、結果として高額物件が多くなります。

そして、高額物件であればあるほど、買える人、買う人が少なくなってくるのも現実です。

「買える人」で考えると、自分たちと同じようにペアローンを利用して購入する人、もしくは1人の収入で買えるような高収入な人を探すのが難しいから。

「買う人」で考えると、高額物件を買える人であれば他の高額物件でも買うことができ、この物件にこだわる必要がなくなってくるからです。

ぺアローンを利用してまで買うようなマンションはステキではあるのでしょうが、売りやすい・買いやすいの「ボリュームゾーン」から外れていることが多々あります。

3-2 オーバーローン状態が多い

ぺアローンが一般に広まってきたのが割と最近のため、ぺアローンを利用してマンションを購入している場合には、購入から年数が経っていないためにオーバーローン状態になっているケースが多くなります。

実際の売却のご相談をいただいたケースでも、買い手が少ない高額物件をオーバーローン状態で売却をしようとするため、正直言ってキビシイのが現実です。

3-3 売却に対しての同意

アンダーローンで「売ってお終い」になるケースであれば大丈夫なのですが、オーバーローンの場合では2人の売却に対しての考え方の違いがあるケースも多々あります。

足りない分は他の手段で補填をして終わらせたい人(おおむねご主人)と、このまま住み続けたいとか、ムリして買ったのはあなたの責任と責任転嫁する人(おおむね奥さん)とで、売却に対しての同意が取り付けられないこともあります。

ぺアローンで買ったマンションは共有名義なので、所有者である夫婦2人の意志が売却で固まらないことには不動産屋さんとしては何ともし難いです。

住み続けたい気持ちや、責任転嫁したい気持ちも分かりますが、離婚話がもとさやに納まることもないでしょうし、「早く結論出してくれないかなぁ」と思いながら話しを聞いているのもなかなかツライものがありますね。

4. オーバーローンの場合の対処法

世間一般のブログで書かれている内容に対して、もう少し現実的なアドバイスも書いておきます。

4-1 とりあえず住み続ける

オーバーローンが解消されるまで離婚を先送りする感じです。

1年、2年で解消できるようでしたら検討の余地はあるかと思いますが、それ以上の期間が必要でしたら非現実的かなと。

離婚を決めた相手と仮面夫婦状態での同居は精神を蝕まれることにもつながりますので、できる限り避けた方が無難です。

4-2 名義人が住み続けて支払う

仮面夫婦として住み続けるよりは現実的です。

ただ、売った時の財産分与の方法や、連帯保証人が入っている場合には、返済が滞った時には相手に請求がいってしまうことを理解しておかないと問題が悪化してしまいますので注意してください。

4-3 被名義人が住み続ける

いわゆる、夫が出て行って妻と子どもが住み続けるパターンです。

夫が責任感のある人で、ローンを滞納することなく払い続けることができるのであれば問題はなさそうですが、実際問題としては難しいのではないかと。

ローンを払いながら自分が住む部屋の家賃を払うことになるので、毎月の支払いはかなりキツくなりますよね。

自分(妻)の生活が落ち着くまでの数年の予定だったらまだしも、長い期間住み続けられると考えるのは危ないと思います。

【参照】住宅ローンが残った家に離婚後も妻が住むための方法は

4-4 賃貸として貸し出す

この方法もよく書かれています。

一見良さそうに思えるのですが、

・常に満室御礼となるとは限らない
・入退去の際の修繕費も負担に
・銀行にバレると一括返済を迫られるリスクも

などの理由から、積極的にオススメすることはできません。

5. 売るための費用と税金の把握

マンション売却にかかる税金や諸費用を把握しておかないと、手元に残るお金が想定より少なくなることも。あらかじめ必要経費を計算しておくことも大切です。

5-1 必要な費用とは

仲介手数料や登記費用、銀行への事務手数料などです。

仲介手数料に関しては各社の規定の料金((売却価格×3%+6万円)×消費税が上限です)。

司法書士への登記費用の相場は

・売り渡し費用:1万円
・住民票を異動していれば住所変更費用:1万円
・住宅ローンの抹消費用:1万円
・登録免許税:不動産1件に付き1,000円(マンションの場合、建物と土地で2件が多いです)

だいたいこれぐらいです。

銀行の事務手数料は住宅ローンの「全部繰り上げ返済」の手数料になります。銀行により異なりますが、5~10万円ぐらいで納まるのではないかと

5-2 売ってからの税金の話し

マンションを売った値段が、マンションを買った時よりも高かった場合には「譲渡所得税」が課税されます。

とは言うものの、今のご時世に買った値段よりも高く売れることはまずありえず、仮に高く売れたとしても、この譲渡所得には各種の控除制度が設けられていて、一般的なマンション売買ではほとんど非課税になると思います。

ただし、控除を受けるためには確定申告をする必要があるので、マンションを売って利益がでた場合、翌年には忘れずに確定申告をするようにしてください。

【参照】居住用財産の3,000万円特別控除 大部分の人はこの特例でカバーできます
【参照】10年超所有軽減税率の特例
【参照】特定の居住用財産の買換えの特例

5-3 売却で損失がでた場合

マンションの売却価格が購入価格よりも安かった場合(こちらの方が一般的ですね)にも「損失控除の特例」があります。

【参照】マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 住み替えの人はこちらです
【参照】特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 オーバーローンで売却「のみ」した人はこちらです

まとめ

離婚をする際にマンションを売却する前に知っておいてほしいことをまとめました。

離婚の話しとマンションの売却を同時進行させるのは大変ですが、事前に知っておくことで役に立つこともたくさんあります。

離婚のこと、マンションの売却のこと、なにかお困り事があった際にはお気軽にお問い合わせください。実体験を交えてのお手伝いをさせていただきます。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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