BLOG ブログ

住宅ローンの金利が上がると不動産の売却や購入にどんな影響が出るのかを考えてみる

住宅ローン金利が上がってくると、「今は買うタイミングか」「売却は不利になるのでは」と不安を感じる人が増えてきます。金利は不動産の価格や成約までのスピード、買主や売主の心理に大きな影響を与える重要な要素です。今回は、金利の上昇が不動産の購入や売却、市場全体にどのような影響変を与えるのかを整理し考えていきます。

1. 金利上昇が与える基本的な影響

「金利が上がれば返済が増える」という単純な問題だけではなく、「買える金額」の減少や「買ってもいいのか?」という心理面。「もっと安い家の方がいいのでは?」といった購入判断の迷いなど、さまざまな行動や心理を変化させます。

まずは、住宅ローンの金利が上がることで、住宅の購入や売却にどのような変化が起きるのかを見ていきましょう。

1-1 金利が上がるとなぜ借入可能額が下がるのか

銀行から「借りられる金額」を決める最大の要因は「返済比率」です。

 返済比率 住宅ローンに限らず、自動車ローン(最近であれば残クレも)、カードローン、リボ払い、ボーナス2回払いを除くカードの分割払いetc、ご自身が借入をしている借金の年間の返済額が年収に占める割合。基本ラインとしては30%が目安です

最近は残クレを使って新車を購入(実際にはレンタルですけどね)している人が増えたので、返済比率をオーバーする人もチラホラと見かけます。

住宅ローンの審査金利が上がると今まで以上に返済比率をオーバーすることも増えるでしょうから、必然的に以前に比べると借入可能金額が少なくなり、今までよりも購入予算を引き下げる必要が出てくるようになります。

1-2『総返済額』を意識し始める

今までのような変動金利で0.5%前後で借入ができていれば、返済額に関しての意識は「月々の支払いはいくらなのか?」の人が大多数でした。

ですが、金利が上がってくると『金利が〇〇%上がると、総返済額では〇〇〇万円もアップしますっ!』と、当たり前のことを唱え始める人が出てきます。

低金利だろうが高金利だろうが、総額でいくら返済することになるのかを考えるのはローンを考える上では最初の一歩なのに、何を今さらですよね。『あんたはバカか』って感じです。

ただ、現実問題として『これだけの金利を払うことになるのかぁ」と意識をすることで、ローンを組むことが怖くなり、家を購入することを躊躇するようになるのは分かります。

ですが、賃貸の家賃を10年、20年と払い続けると総額でいくらの家賃をドブに捨てることになるのかを考えると、「ローンの金利がぁ」と騒いでもしょうがないかと思うんですけどね。

1-3 マーケットへの心理的な影響

金利が上昇することで、不動産の売買を考えている人の心理にも影響が出てきます。

「今後さらに上がるのでは」という不安や、「そろそろ止まるのでは」という勝手な解釈をしたり。そういった心理が購入の先送りや売却するタイミングの判断の迷いにつながることで、マーケット全体の動きが鈍くなる要因になり、全体の成約数が減少する結果につながっていきます。

2. 金利の上昇が購入検討者に与える変化

金利上昇の影響を最も受けるのは、やはり不動産の購入を検討している人でしょうね。

購入価格やエリアの選定、住宅ローンの組み方まで、判断基準が変わる場面が増えていきます。

2-1 購入条件の見直し

金利の上昇により毎月の返済額が増えてしまう事で、希望していた立地や土地・建物の広さ、築年数など、様々な条件を見直す必要が出てきます。

金利が低かろうが高かろうが、不動産のような高額商品を購入する際には優先順位をしっかりと付けることが必要です。

駅までの距離を妥協する、面積を抑える、中古を検討する際にも築年数に幅を持たせるなど、自分たちが家に求める条件をしっかりと見つめ直しての条件調整が必要となります。

2-2 購入を先送りする人も

特に不動産を初めて買う一次取得層の中には、「今は金利が高くなってきたから、しばらく様子を見てみよう」と、チキってくる人が出てきます。

金利が下がるという確証もなく、数年以内に劇的に収入が増えるという確証もない状態で「様子見」をしてみてもいい結果につながるとは思えないんですけどね。

こういう人に限って、「高い買い物だから慎重に」「今は買い時ではない」などと自分の考えを都合よく肯定しているのでしょうが、実際には単なるビビりで、結局はどんな状況になっても決めることができない「買えない人」の可能性が高いです。

2-3 やたらと住宅ローン選択に慎重になる

金利が低い時には「固定金利を選ぶなんてもったいない」なんて言っていた人たちも、いざ金利が高くなってくると「固定金利で将来の安心を」などと言い出します。

そういった風潮に流されやすい人たちが、異様に住宅ローンのことを調べだして自分勝手なロジックを組み立てるようになります。

住宅ローンの比較サイトも色々出てきていますので、そういったサイトを利用して将来の金利リスクをどう回避するかが検討するようですが、そういったサイトも広告を掲載している金融機関からの広告出稿料で成り立っていることを忘れずにいてほしいものです。

3. 金利の上昇が売却検討者に与える変化

売主にとっても金利の上昇は無関係ではありません。

金利の上昇によって買主の行動が変化すれば、それはそのまま成約までの期間や価格交渉にも影響してきます。

3-1 買主の数が減少する

借入可能額が減少することで、「買いたくても買えない人」たちが増えてきます。

素直に物件価格を下げて探してくれればいいのですが、なかなか最近の買主は我儘なひとが多く、一筋縄ではいきません。

「希望額を借りられる人」「借入可能額に応じて、検討物件を変更できる人」など、「買える人」が少なくなることで問い合わせ数や内見数が減少します。

特に高価格帯の物件ほど金利上昇の影響は大きくなります。

3-2 価格交渉が増えやすくなる

我儘な買主は、金利が上昇して返済額が増えた分を物件価格で調整しようとする傾向があるため、値下げ交渉や条件交渉が入りやすくなります。

売主には売主の都合があるので誠に勝手な屁理屈なのですが、買ってくれる人が現れない限り成約には至らないため、売主としても条件を吞まざるを得ない場面も出てきます。

かと言って値引き前提で高めの価格設定をしてしまうと、そもそもの問い合わせに結び付く可能性が引くなるので、今まで以上に売り出し価格の設定が重要になってきます。

3-3 物件力の差が大きくなる

立地や維持・メンテナンスの状態、ライバル物件と比較して価格設定が適正な物件は売れますが、粗が目立つような弱い物件は長期化しやすく、二極化が進みやすくなります。

4. 金利が上昇することで不動産マーケットはどう動くのか

金利が上昇する局面では、マーケットの価格や成約件数、物件の種類など、全体の動きにも変化が表れます。

4-1 成約件数は減少傾向に

金利が上昇することで「買える人」が減るのであれば、必然的に取引の成約件数は減少する傾向になります。

この場合の「減少」とは、バブル崩壊やリーマンショックの時のように、一瞬にして「ド~ン」と下がるようなことではなく、「じわじわ」といった感じです。

ふとした時に、「なんとなく今年って動きが鈍いな」と思うような感じです。

ただ、「なんとなく鈍いな」って感じは、ここ数年のあいだ業界人全員が感じていることなので、金利が上がったからといったものではないかもしれないです。

きっと、「失敗したくない」と考える買主が増えたんでしょうね。個人的には、何をもって「失敗」というのかが疑問でしょうがないのですが、だれか教えてください。

4-2 価格は横ばい。かな

「東京オリンピックが終われば、東京の不動産価格は暴落する」なんてデマを風潮していた評論家が山ほどいましたが、実際には右肩上がりで高くなりましたね。ホント、あいつらの言うことは信用ならんです。

ですが、金利が上がったからといって不動産の価格が急落するようなケースは少なく、実需エリアでは概ね横ばい、条件の弱い物件に対しては価格の調整は入ってくるのではと思われます。

4-3 中古やリノベの需要は高まりそう

戸建て・マンション問わず、新築物件の価格が高くなりすぎ、買える人がかなり限られてきました。

パワーカップルなんて言葉がもてはやされたかと思えば、ぺアローンは危険だと言い出したり。昔から言われているように、「買える金額と返せる金額は別物」が再認識されるようになるのではと思います。

当面の間は、「買いたいけど買えない」新築物件の需要は鈍くなり、程度のいい中古戸建てを購入し、必要に応じてリフォーム・リノベーションを行う選択肢が増えてくるのかと思います。

5. 後悔しない判断基準を

金利が上がっているからといって、「今は動かない方が良い」とは限りません。不動産の売買において大切なのは、状況に応じた正しい判断基準を持つことです。

5-1 金利だけで決めない

金利は確かに大切な要素ではありますが、ライフプランや資金計画、年齢や健康状態なども考慮する必要があります。

そして、なによりも「どうして家が欲しいのか」をしっかりと考える必要があります。

5-2 売却は初動の戦略が重要

売却においては、今までの低金利の局面以上に、売り出し価格の設定と販売戦略が大切になってきます。

「買える人」「買おうと思っている人」が今までよりも少なくなることを前提に、「どうやったら最初の選択肢に入ることができるのか」を考えた価格設定をしてください。「ちょっと強気」の価格設定ではなかなか厳しい状況にはなってきます。

5-3 事前準備ができている人にはチャンス

購入を考える人にとっては、ライバルの数が減ることになるので、売主との交渉がしやすくなる側面もあります。

一方で、売主にとっては、購入希望者の絶対数が少なくなってくる中で、値段交渉が入ったとしても契約に結び付ける必要性が高まります。

買主としては、いかに売主が吞むことができる条件を整えるか。売主としては、どこまで条件を譲歩することができるのかの判断をしっかりと行っていくことが必要です。

まとめ

金利が上がっている局面で、売り・買い、ともに予想される状況をつらつらと書き連ねてきました。

金利が上がったからというよりも、全体的に内覧から契約に至るまでの期間が長期化はしています。今まで以上に厳しい状況にはなってくるかと思いますが、売り買いともに、焦らずじっくりと構えることが大切だと思います。

購入も売却も自分自身が体験をしてきていますので、なにかありましたらお気軽にお問い合わせください。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

CONTACT
お問い合わせ

離婚時の不動産売却なら
エイチ・コーポレーションへ