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【体験談】売却依頼をくれた顧客さんが、うっかり一括査定をやってしまった実話 の結末です

以前に、「【体験談】売却依頼をくれた顧客さんが、うっかり一括査定をやってしまった実話」を書きました。無事に売却が終わったので、一括査定から実際の販売活動、そして成約までの間に顧客さんの身に起きたことをお話ししていきます。一括査定を利用する・しないに関わらず、不動産を売却する際にありがちな「不動産あるある」の内容です。何かの際に参考にしてください。

1. まずはざっくりと前回の振り返りを

前回の記事を読み返していただいてもいいのですが、「めんどくさい」と思われる人も多数いるかと思いますので、まずはざっくりと前回のブログの内容を振り返ってみます。

1-1 顧客さんとの関係は

数年前にリノベ済みのマンションを購入していただいたお客さんです。

買取業者さんの物件なので、引き渡しが終わってしまえば「契約不適合(以前は「瑕疵担保責任」」の特約があるため、僕ら仲介業者が関わることはほとんどありません。

ですが、今回のお客さんは数年に一度ぐらいの割合で、買っていただいたお部屋に関すること以外でも聞きたいことがあると連絡をくれる人でした。

お話しをしても面白い人ですし、連絡をもらってもぜんぜん迷惑に思うこともなく、「不動産屋と顧客」の関係としては珍しい感じでのお付き合いをさせていただいていると思います。

そして、買っていただいてから10年もしないうちに、「仕事の都合」でまたマンションを買っていただくことになりました。

今回のお話しは、この「新たに買っていただいたマンション」を売却することになってところからのお話しです。

1-2 住み替えの理由

お仕事が専門職で、業界として転職も日常茶飯事にあるようなので、今回の売却も仕事の都合かと思ったら「お父さんの体調」の関係でした。

「今すぐに緊急で」という訳ではないようですが、やれる準備を進めていきたいとのご意向です。

1-3 査定をしてみると

不動産を売却するとなると、まずは査定です。(金額に関してはプライバシーの問題もあるのでフィクションです

お客さんの意向で、今回は一括査定サイトも利用しました。

・僕の査定は1,700万
・A社さんは1,900万
・B社さんは1,800万

まぁ、各社キレイに100万違いの査定金額になりました。

1,900万で売れたとしてもローンを完済することはできませんが、お客さん自身が「1,900万では絶対に売れんでしょ」との判断で、「売れたらラッキー」の感覚で1,800万での売却スタートとなりました。


と、ここまでが前回のブログをざっくりとまとめた内容です。

2. 売却がスタートしてみたら

仲のいいお客さんなので、実際に売却がスタートしてからも他社さんの動向を教えてくれるので楽しかったです。そんな内情も書いていきますね。

2-1 なぜC社がいるの?

一括査定を使ってしまったので、応札をした不動産会社からの営業電話がしつこいと困っていました。

レスポンスが早かったA社・B社の対応だけで「疲れるわぁ」とウンザリしていたので、「他の会社は全部断る。話しも聞かない。アポも取らない。」と言っていました。

ですが、売却がスタートしてから何気にレンズを見てみたら「C社」とも媒介をまいてるんですね。今回は一般媒介での売却なので何社と媒介をまいてもらっても構わないんですが、「あれだけ嫌がっていたのにどうしてかな?」と不思議に思い聞いてみました。

そしたら、「だって、C社ってメチャクチャしつこく電話してきて、断る事の方がめんどくさくなってきた」との笑えるような回答でした。

このお客さん、いざとなったら結構アタリがキツイ人で、なかなか手厳しいのですが、このお客さんを根負けさせるような営業電話をかけてくるC社ってスゲーなって思いました。

2-2 僕の販売状況は

ポータルサイトからの直接の問い合わせはゼロでした。

他社さんから「案内できますか?」の問い合わせをいただいたので、1組の案内です。

このお客さんは「属性」が悪かったのでローンを付けることができなかったようです。

2-3 A社さんは

「1,800万なんてもったいない!弊社に任せていただければ1,900万でお客さんを見つけられます!」と豪語したようですが、こちらも案内ゼロ。

週に1回の「販売状況報告書」っぽいメールは送られてきていたようですが、「今週は問い合わせはありませんでした」の内容が続いたようです。

お客さんは、「案内がゼロなんだから、問い合わせが無いことぐらい分かるわっ!」「毎週毎週「ゼロでした」の報告なんてされたら、こっちの気持ちが鬱になる。」とキレてましたね。おっしゃる通りです。

せっかく報告をするのなら、もうちょっと相手の気持ちを考えての報告をしないとね。テンプレを使って機械的にメールを送るからそうなるんだよ。

2-4 B社さんは

こちらは、他社からの案内依頼が1組。自社への問い合わせが1組。

結果として、この自社への問い合わせがあったお客さんで成約に至るのですが、どちらの案内でも売主さんの「気に障ること」があったようです。内容は後述しますね。

2-5 C社さんは

こちらは案内ゼロです。

A社さんが送ってきていた「販売状況報告書」っぽいメールなども無かったようです。

「あのしつこい営業電話は何だったんだ」と、お客さんもあきれてました。

ホントに「媒介をまく」ことが目的だったのかもしれないですね。

3. お客さんがご立腹した理由とは

さてさて、最終的にはB社の案内で契約に至るわけですが、そこに至るまでにお客さんがご立腹した理由とはなんだったのでしょう。

3-1 聞かれたら報告するってどうなのよ

2組の案内のうち、他社さんからの案内が先客でした。

お客さんからも「〇日にB社さんからの案内入ったよ~」と教えてもらってはいたので、「どんな感じでした?」と聞いてみました。

そしたら、「あのさぁ、林さん。林さん以外の不動産屋さんって知らないから教えてほしいんだけど、不動産屋さんって内覧が終わってからの状況報告って、こっちから聞かないと教えてくれないの?」って質問されちゃいました。

どうやら、案内が終わってからもB社の担当者(D氏)から連絡がなく、どうなったのかと思って連絡をしてみたら、「あぁ、そうでしたね。先方に確認してみます」って言われたようです。

なかなかパンチのある対応ですよね。そりゃ、お客さんキレるわ(笑)

3-2 やっぱり催促しないとダメらしい

その後のD氏ですが、他社へ確認してから「ローンの申し込みをするみたいです。ちょっと難しいお客さんなので時間がかかるかもと言っていました。」との連絡があったようです。

実はここでちょっとした裏話があって、この案内をした他社の担当者は、僕の知り合いのH氏と仲のいい人で、別件でH氏と話しをした時に、このお部屋を案内したことを話したそうです。

そのルートからの情報で、このお客さんにローンを付けるのはほぼ不可能だろうとの判断はついていました。

「そっかぁ~、それは残念だね」とは思ったのですが、部外者である僕がお客さんに教えることは筋違いなので放置しておきました。

その後、1ヶ月ぐらいした頃にお客さんから「林さん。この間B社が案内したお客さんなんだけど、まだローンの結果がでないって言ってるんだけど、どう思う?ホントかな?」と聞かれました。

どんなにローンを付けるのが難しい人でも審査に1ヵ月かかることはないですし、H氏からの情報も知っているので、「否決されてんじゃないかな」とは思いつつも、「D氏は何て言ってるんです?」と聞いてみたところ、「2週間ぐらい前にも電話して聞いてみたんだけど、さっきも電話してみたら「まだ結果が出てないみたいです」って言われたんだよね」との回答でした。

ん?「電話して聞いてみた」「さっきも電話してみた」って、どういうこと?〇〇さんから電話したの?本来ならD氏から連絡が入るものじゃないの?

内情を教えるわけにはいかないので、「一般論として、ローンの審査に1ヶ月もかかることはないよ。もしかかっているとしたら途中経過があってしかるべきだし、自分の直接のお客さんじゃなくても、他社の担当者に聞くはずでしょ。十中八九そのお客さんはローン付かないと思うから、見切っちゃったほうがいいと思いますよ。」と教えてあげました。

ただ、お客さんの気持ちとしてはスッキリとしないようで、「また来週にでも電話してみる」と言っていました。

その後、「電話してみたら審査に通らなかったって言われた」と連絡があり、その際の会話で「結局こっちから電話しないと報告なかったの?」「そうなの、やっぱりコイツはダメだよね~。担当者変えてくれんかな」と嘆いていました。

ダメな担当者にあたると売主である自分が苦労することになるっていう笑い話です。

4. 無事に成約にはなったけど

なんとか成約にはなったのですが、そこに至るまでにも色々と…

4-1 社内分かれかな?

B社へ問い合わせをしたお客さん(K氏)との契約になったのですが、どうやらこのK氏の担当が別の方(Y氏)だったようです。

内覧の時にはK氏の担当としてY氏が同行です。このY氏、ごくごく普通のちゃんとした方だったようです。

K氏も、内覧をしてみて特に問題が無ければ買う予定だったようで、「ローンが付けば買いたい」とのお話しになったようです。

D氏の連絡の遅さなどに嫌気がさしていたお客さんとしては、このままY氏が契約から引き渡しまでを担当してくれるのかと期待をして聞いてみたところ、「いえ、違います。私はあくまでもK氏の担当です」と言い切られてしまい、「私の担当はやっぱりD氏なのか」と、ショックを受けたみたいです。

さらにお客さんとしてD氏に対しての不信感が増す理由として、契約が決まったにしてはD氏の態度があまり前向きな感じではないようなのです。

お客さんから、「なんかあんまり気乗りしてない感じなんだよね、なんでだろ?」と聞かれたので、「買い客を自分でつけられなかったから、社内分かれで歩合が半分になっちゃうからじゃない?」と言ったところ、「そっかぁ、私が払う仲介手数料からアイツの歩合が出るのか。なんかムカつくな」ですって。

自業自得とは言え、ここまでハッキリと言われるD氏に一度会ってみたいものです。

4-2 引き渡しまでが憂鬱だわ。林さんやって

「契約が決まったら私はどうすればいいの?」と聞かれたので、当たり障りない範囲で教えてあげました。

ローンが残っているので繰り上げ返済の手続きや、引き渡しの日時の決め方とか、今までのように単純に「自分が買う」だけの場合と比べれば段取りを取る手間は増え、担当のD氏とのやり取りも必要です。

当然ですが、売り担当のD氏と、買い担当のY氏の間でも確認することが色々と出てきます。

今までの報告の遅さなどを考えてお客さんとしては不安が募り、「アイツに任せて大丈夫なのかな?なんなら林さんが担当になってやってくれない?」なんて無茶を言い出す始末です。

お客さんから「あなたに任せたい」なんて言ってもらえるのはうれしい限りなんですが、ムリなものはムリなので、「ちゃんとやらんかったら手数料払わんでねっ!って脅すだわ(笑)」と言っておきました。

なんとか無事に引き渡しが終わってくれるのは願うだけです。

5. 売却におけるホントの意味での注意点

今回のお客さんを一例に、不動産を売却する際の注意点を書いていきます。

5-1 一括査定の使いかた

不動産の売却だけではなく、車の買取や引っ越し代の見積もりなど、諸々の一括査定サイトを使う人が増えてきました。

ここまで普及してくると「使っちゃダメだよ~」と言ってもムダでしょうから、気を付けていただきたい使い方をまとめます。

 社名だけで選ばない 自分が使ったことがないので、実際にどうやって不動産会社を選ぶのかがわからないのですが、「TVCMで見たことがある」「ネットに広告を出してる」などの理由で、社名だけを根拠に選ぶのはヤメてください。

今回のお客さんでも、恐らく誰でも知っているFCに加盟しているA社さんや、関西の大手電鉄系の不動産会社のD社さんは案内がゼロでした。

A社さんやD社さんがダメという訳ではなく、不動産が売れるかどうかは「運」や「縁」がかなりのウェイトを占めるのが実情です。

せっかく一括査定サイトを使うのでしたら、多少の手間はかかっても、できるだけ多くの不動産会社の話しを聞いてみてください。

どこかで「あっ」って思うような不動産会社に会えると思います。


 最高値は避けましょう これもあくまでも今回の例にならってのことですが、「弊社に任せてもらえれば」とか「もっと高く売れます」なんてセリフには騙されないようにしてください。

売却には「運」や「縁」のウェイトが大きいので、今回の例でも1,900万で売れる可能性はゼロではありません。ただ、可能性はかなり低くはなったと思います。

「ワンチャンあるかも」ぐらいの値段が限界と心得てください。


 やっぱり一般媒介ですよ 「弊社に任せてもらえれば」とか「もっと高く売れます」などと御託をならべる会社に限って「専属専任」や「専任」での媒介をまきたがります。

別に専属専任や専任で媒介をまいてもらっても構わないのですが、どうします?担当者が今回のB社のD氏みたいな人だったら。かなりヤバいと思いません?

大手さんであろうが、僕のような町の不動産屋であろうが、売却に使うためのツールなんてみんな一緒です。ポータルに載せるかチラシを撒くか。はたまたオープンハウスをやるかぐらいのものです。

専属専任や専任にこだわる会社には「どうやって広告してくれるの?」と聞いてみてください。ほぼ間違いなく同じ回答ですよ。


 ツールにダマされない ツールを使って熱弁をふるったA社、持ってきたツールを使うことなく帰っていったB社。ステキなDMを郵送してきた会社など、各社様々なツールを使って「ぜひ弊社にお任せを!」とプレゼンを行うようです。

ですが、そんなツールって必要ですかね?そのツールの根拠ってどこにあるんでしょう。

結局のところ、頼りになるのは過去の成約事例であり、参考にするのは現在販売中の物件の価格ぐらいではないですか?

であるならば、置いて帰られたら荷物やゴミになるような各種ツールではなく、スマホやタブレットでネットを見ながら話しをすればいいだけだと思うのですが。


よろしければこちらも参照してください。
失敗せずに一括査定サイトを利用するための5つのポイント

5-2 担当者の見極め

吐いて捨てるほどある不動産会社ですから、中にはD氏のような人も当然ですがいます。

査定の短時間で人柄を見極めるのも難しいですが、どうやって見極めるのがいいんでしょうね。

思うに

・やたらと当日に媒介をまきたがる人
・難しい業界言葉を使って話しをする人
・難しい事に対して例え話を使って説明ができない人
・自分自身が不動産の「売り」「買い」を体験している人
・最低限「買い」は体験している人
・賃貸や実家暮らしは問題外

こんな感じかと思います。

売却や不動産の話しばかりではなく、どんな人生を送ってきて、どんな生活を送っているのかなど、仕事以外の話しをしてみるのがいいかもしれませんね。

5-3 「売りの相場」と「買いの相場」

売主の立場としては「少しでも高く」「少しでも早く」売りたいのがホンネでしょう。

でも、買主と立場としては「少しでも安く」「ゆっくり、慎重に」買いたいのがホンネです。

売却査定の時には、どうしても売主としての気持ちが強くはなってしまいますが、「売りたい値段」と「買いたい値段」は必ずしも一致するものではありません。

媒介をとりたいがために「今の相場はこれぐらいですよ」と、高い査定価格を提示する不動産会社もたくさんあります。

そんな時に「えっ!こんなに高く売れるの!」と舞い上がるのではなく、「自分だったらその値段で買うのか」と冷静になってください。

売主が思う「売りの相場」と、買主が実際に買える「買いの相場」は、皆さんが思う以上に乖離していますよ。

まとめ

つらつらと、実際に一括査定サイトを使った顧客さんの例を書き連ねてきました。

全部が全部当てはまることはないでしょうが、一つの事例として役に立てばと思います。

不動産の売却をお考えの際にはお気軽にお問い合わせください。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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