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売却依頼をくれた顧客さんが引き渡し後に不満を抱えた内容について考えてみる

過去2回にわたって僕の顧客さんが一括査定サイトを使った話しを書きました。残念ながら他社さんでの契約となってしまいましたが、お陰様でなんとか無事に引き渡しも終わったとの連絡をいただきました。その際に「ホント、○○社の担当者にはムカついたわっ!」と怒っていたので話しを聞いてみたら、なかなか笑える内容でしたので、怒った理由を書くとともに、原因と対処方法を思いつくままに書いていきます。これから売却を考える際の参考になれば幸いです。

【参照】【体験談】売却依頼をくれた顧客さんが、うっかり一括査定をやってしまった実話【参照】【体験談】売却依頼をくれた顧客さんが、うっかり一括査定をやってしまった実話 の結末です

1. 顧客さんが怒っていた内容とは

かれこれ8年ぐらいの長いお付き合いのある顧客さんですが、僕としては初めてお会いした時からそんなに違和感やストレスを感じることなくお仕事をさせていただいてきました。

今回の件でも顧客さんから「ホント、林さんが売ってくれてたらよかったのに」と言っていただけ、嬉しい反面、売れなかった自分の力のなさを自覚しました。

まずは、そんな顧客さんが怒っていた内容をまとめていきます。

1-1 担当者のやる気のなさ

一括査定サイトですからね、ネットで問い合わせをすれば5社ぐらいからは速攻で連絡が入るようです。

今回も早々に3~4社程度の連絡が入り、2社が訪問査定を行ったようです。その片方が今回の業者さんです。

以前のブログにも書きましたが、その担当者のやる気のなさがなかなかのものだったようで、たくさん持ってきた査定のための資料や会社案内などの説明も一切なく、「これぐらいの価格でどうですか?」って感じだったようです。

顧客さんの性格上、そんなやる気のない担当者では納得するとは思わなかったのに、結局は一般媒介を結ぶことになりました。

理由を聞いてみたところ、「2社ともがダラダラとよく分からない話しを延々とするから、これ以上他の会社の話しを聞くのがめんどくさかった」とのことでした。

売却価格に関しては、最初に僕が「粘れるならこの金額。チャチャッと売りたいならこの金額。」といっていた金額の「粘る」方の価格になりました。

この価格に落ち着いたのにはもう一つ理由があって、査定にきたもう1社が「弊社に任せてもらえるならこの金額で売れますっ!」と、とんでも価格を提示したようです。

言ってみれば、「松・竹・梅」が上手に出そろった感じになり、間をとって「竹」にしたって面もあります。

2. レスポンスの悪さ

全てにおいてレスポンスが悪かったようです。

メールの返信もそうですし、案内が入った際の日時の連絡も結構ギリギリのタイミングだったり。

「ホント、わたしが聞かないと何も応えないんだよ。どう思う?」と聞かれたことも何度かありました。「出来の悪い担当者に当たっちゃたね~」と笑い飛ばしてはおきましたが、顧客さん本人としてはすごくストレスが溜まっていたようです。

買主さんは同じ会社の別の担当者のお客さんだったようで、内見と時には顧客さんの担当者と買主さんお担当者の2人が来たようです。

そして、買主さんの担当者はちゃんとした人だったようで、「この人が私の担当者だったらどんなに幸せだったか」と思ったようです。

内見自体はスムーズに進み、ほぼその場で購入の意思を示してくれたみたいです。

そのため顧客さんとしては、「この人が買ってくれるなら、私の担当もあなたになるんですか?」と、一縷の望みを持ちつつ素朴な質問をぶつけたようです。

ですが残念、返ってきた回答は「いえ、私はあくまでも買主さんの担当で、○○さんの担当は今まで通り弊社の△△です」と言われてショックを受けてしまいました。

実際、契約が終わってからも銀行への繰り上げ返済の手続きなどもあるため△△さんと連絡をとる必要がり、「憂鬱だわぁ。ちゃんと無事に終わるのかなぁ」と不安になっていました。

1-3 会社としてもどうなのよ

会社の上司の態度にも文句を言っていました。

△△さんに聞きたいことがあって連絡をしても連絡が取れなかった(休みだったのかな?)時に、「聞きたいことがあるので、だれか代わりの人はいませんか?」と会社に電話をしたそうです。

他の社員の方も、自分の担当ではないお客さんに迂闊な事も言えないので、店長さんに連絡を取ってくれ、折り返しの電話が入ったようです。

顧客さんが店長さんに「これこれを△△さんに聞いていたのに(聞きたかったのに)、連絡がとれないんですけど」と伝えたところ、店長さんが「わたしも今日は休みなので、今そんなことを言われても困ります。改めて△△と話しをしてください」と言われてしまったそうです。

挙句の果てには「今の時代、休みは休みでチャンと取るんですから、△△の都合も考えてください」とまで言われたようです。

たしかに今の時代、休みは休みでしっかりと休むことは必要とは思いますが、初めての不動産売却で不安を抱えているお客さんにそんな言い方をするものいかがなものかとも思います。

「今のサラリーマンはそんなもんですよ」と言ってはみたものですが、「私の中での不動産屋さんは林さんが基準だから、林さんがいつでも連絡とれるからそんなもんだと思うじゃないですか」と言われてしまいました。

大手不動産会社の中には業務用の携帯を自宅へ持ち帰るのを禁止にしている会社もあるようですし、そうなってしまうと、担当者が好むと好まざるとに関わらず休日に連絡をとることは不可能になってしまいますよね。

物件の販売力に期待をするのであれば大手さんに分があるでしょうし、きめ細やかなフォローを望むのであれば僕のような形態の不動産会社になるのではと思います。

皆さんはどうお考えになりますか?

2. 売主が抱えがちな不安や不満とは

僕の顧客さんのような特定の個人ではなく、一般的に言われている、不動産の売却において売主が抱えがちな不安や不満とはなんなのでしょうか。

2-1 不動産会社・担当者の「動き/報告」が見えづらい

自分の大切な資産である不動産の売却を依頼した会社・担当者がどうやって売却活動を行っているのかが「分からない」「報告がない」のは、売主さんにとっては大きなストレスになるでしょうね。

例えば、専属専任や専任媒介契約を結んだ場合には、売主に対して一定の頻度で「営業活動報告書」を出す義務があるのですが、その実施状況にバラつきがあるとともに、内容に関しても各社様々です。

毎週のように問い合わせや内見が入れば報告書の提出にも力が入りますが、問い合わせや内見あったからといって必ずしも売れるとは限りません。

逆に、1ヶ月・2ヶ月と問い合わせが無かったのに、久しぶりの問い合わせで契約に至ることもあり得ます。

どの不動産会社も預かった物件を売るための努力をし続けてはいるのですが、その努力が売主の立場からでは見えづらいのが不安や不満につながってしまうのでしょうね。

2-2 査定価格と売却価格、そして成約価格とのギャップ

大切な財産である不動産を売却するのであれば少しでも高く売りたいと思うのは人情です。

そのために不動産会社に査定を依頼し売却価格を決めるのですが、「思っていたよりも査定額が安かった」とか、「希望した売却価格では売れなかった」などの不満は必ずついて回ります。

「もっと高く売れるはず」と根拠のない高値での売却を依頼されても、売れないものは売れないですし、かといって査定価格通りの価格で売れるとも限りません。

過去の成約価格を参考にするのが1番手堅いのではありますが、売れる価格は実際に販売活動をスタートした時点での需要と供給で決まります。

景気や金利の動向、近隣の競合物件の有無などの様々な条件によって、数カ月違いで成約価格は変動していきます。

そのため、成約価格に関してはある程度の余裕を見込んで考える必要があり、「最低でもこの金額よりは安く売らない」との考えも必要にはなってきます。

2-3 媒介契約や手数料等のトラブル

しっかりと説明をしない不動産会社も悪いのですが、3種類ある媒介契約の違いを理解せずに媒介契約を結んでトラブルに発展することもあります。

そして、仲介手数料の割引を謳っている不動産会社の中には、仲介手数料以外での不明瞭な謎の手数料を請求する不動産会社もあるそうです。

手数料に関していえば、よほどのことが無い限り不動産会社は仲介手数料以外の手数料を請求できることはないです。

もし「○○あっせん料」「○○取り組み費」「○○紹介料」などの手数料を請求された場合には、請求の根拠をしっかりと問いただして、納得できない場合には拒否するように気をつけてください。

3. 担当者との相性を判断する5つのポイント

慣れない不動産の売却において、少しでも不安や不満を和らげるためには担当者との相性が大切です。

担当者との相性を判断するためのポイントを見ていきましょう。

3-1 説明・対応のわかりやすさ

恐らく、不動産の売却に手慣れている個人の売主さんは皆無でしょう。

「まずは何をしたらいいのか」「不動産用語の意味は」などの不安を抱えた状態で、分かりやすく説明をしてくれるかどうかは、担当者との相性を判断するうえで1番大切な要素になってきます。

・難しい不動産の専門用語を、身近な例に置き換えて分かりやすく説明してくれる経験や知識。
・こちらの質問に対して「的確に」「素早く」答えてくれるかどうか。
・売却活動や問い合わせの数、内見後の結果報告など、売却活動に関しての状況報告をタイムリーにしてくれるか。

「こう思っているかもしれない」「こうしたら安心してもらえるかもしれない」と売主の気持ちに寄り添った対応がとれるかどうかが大切です。

そして、休みは休みで取るのはかまいませんが、売主が思い立った時に連絡を取れるような手段(メールやLINEなど)を確保してくれるのかも大切です。

3-2 「プレッシャー」をかけてこないかどうか

不動産に限らず、営業職では「今決めて欲しい」と思う気持ちは持ち合わせています。ですが、お客さんとしては「もう少し考えさせてほしい」と思う気持ちを持つものです。

一方で、なかなか自分では決断できないお客さんがいることも事実です。そんなお客さんは、ここぞっという時点で「ポン」っと背中を押してくれる担当者を望んでいる気持ちも持ち合わせてはいます。

「今決めないと…」とムリに急がせるのではなく、こちらの希望条件をしっかりと聞き、質問したことにもしっかりと回答をしてくれて、「最後に決めるのはお客さんですよ」と言いつつも、絶妙なタイミングで背中を押してくれるような担当者かどうかを見定めてください。

3-3 誠実さ(メリットとデメリットの説明)

物事には表もあれば裏もあり、メリットがあればデメリットもあるのが常であり、信頼できる担当者は、良いことだけでなく悪いことも伝えてくれます。

「この物件は価格は良いけど管理状況がイマイチです」「言葉では良さそうなことを言っていましたが、内見の反応ではこう感じました」など、メリットだけを語るのではなく、デメリットに関しても正直に報告してくれるかどうかも大切なポイントです。

3-4 専門知識のレベル

相性=感覚の問題と思われがちですが、実は「担当者のスキルが自分の目的と合うか」も大切になってきます。

不動産の売却であれば、類似物件の過去の成約データに関しての知識に対して根拠を示すことができるのか。物件の状態によっては、リフォームの必要性などを含めた売却戦略などを複数提示できるのかなどです。

質問に対してその場でスピーディーに回答してくれることで安心感も増しますが、急ぐあまりに間違った回答をされても困ります。

質問の内容によっては「確認してから後日ご報告します」もアリですが、あまりにもそれが続くようでしたら「知識不足」を疑ってみることも必要です。

3-5 信頼関係を築けるか

不動産の売却は想像以上に時間がかかり、順調に進んだとしても半年程度。場合によっては1年以上かかる場合もあります。

そんな長期間にわたって色々とやり取りを行う担当者であれば、「人としての感性があうかどうか」は非常に重要になってきます。

質問に対してしっかりと聞いてくれ、適切な回答をしてくれるかどうか。約束や時間を守るなどの基本的な人柄を見極める必要があります。

査定の段階で「ん~~」と思うようなところがある担当者は避けておいた方が、後々のストレス軽減のためには無難です。

4. 相性見極めの実践的なチェック方法

相性の見極めには人それぞれの感性があるかと思いますが、無難にチェックするのであれば以下の方法を試してみてください。

4-1 査定を複数社に依頼する

いくつかの会社に査定を依頼することで、必然的に何人かの担当者と面談することができます。

一括査定サイトを利用すれば簡単に問い合わせをすることができますので、まずは売却への第一歩として試してみるのがいいともいます。

ただ、一括査定サイトの仕組みには注意をするようにしてください。

【参照】失敗せずに一括査定サイトを利用するための5つのポイント

4-2 初回の面談で色々と質問してみる

ほとんどの方が不動産の売却に関しては分からないことだらけだと思います。

訪問査定の時には、ちょっとした疑問点なども遠慮なく担当者に聞いてみてください。

その時の担当者の態度や説明のわかりやすさ、話しをするテンポなどで相性が分かるものです。

この時点で「ん~~~」な担当者には、速やかにお引き取り願うのがおススメです。

4-3 過去の成約事例や今の販売状況を聞く

知識や経験の確認です。

査定に来る際にこれらを調べずに来るような担当者であれば、媒介契約を結んだとしても大した成果は上げられないと思います。

まとめ

不動産の売却で不安や不満を抱えないためには、担当者との相性が大切です。

相性は「感覚+スキル+誠実さ」の3点で判断するのが手っ取り早く、

1. 会話や説明のわかりやすさ(感覚)
2. 売却市場の現状理解とデータの説明(スキル)
3. 売り圧をかけずに情報を正直に伝える(誠実さ)

この3点を備えた担当者であれば、売却活動においてストレスを感じることも少なく、安心して任せられると思いますので参考にしてください。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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