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不動産の売却理由が「離婚」だと何が問題なのかを買主目線で考えてみる

不動産を売却する際に買主から売却理由を聞かれることがあります。買主の気持ちとしては「ハズレ」を引きたくない気持ちのもあるでしょうから、売却理由を聞くこと自体はごく自然なことですが、なかには「離婚ですか?」とストレートに聞く買主もいます。今回は、売却理由が「離婚」だと何が注目されるのかを買主の目線から考えてみましょう。

1. 離婚による売却理由がなぜ気になるのか

売却理由が「離婚」と聞くと、買主の中には「売り急いでいるのでは」とか、「縁起が悪いそうだ」とか、自分勝手な想像を膨らます人もいるようです。

ここでは、まず最初に「離婚」を理由とした売却が、買主の気持ちにたいしてどんな影響を与えるのかを考えてみましょう。

1-1 安くなるのでは?との思惑

「3組に1組が離婚する時代」になってきたとはいえ、やっぱり世間的には少数派ではあります。特に、これから家を買おうと思っている「幸せ家族」にとっては、縁が遠いものではあるのでしょう。

そのため、「早く売りたいのでは」とか、「安く買えるのでは」と、自分にとって都合の良いイメージを持っている買主がいることは否定できません。

実際問題として、財産分与を終わらせ、早く離婚をするために相場よりも安い価格で売却されるケースもあるので、こうした期待感が「安くなるのでは?」につながっているのかもしれません。

1-2 なんとなく不安

「安くなるかも」と思う人がいる一方で、「離婚」と聞いて不安になる人もいます。いわゆる「縁起が悪いかも」ってヤツです。

自分たちが幸せであるならば、できる限り「縁起が悪い」ものとの関わりを持ちたくないと思う気持ちは理解できます。

こういった人たちに「そんな心配はいらないですよ」と言ったところで受け入れられることはないでしょうから、気にせず次の買主が現れるのを待つように気持ちを切り替えていきましょう。

1-3 近所の目は

離婚する夫婦のすべてが「性格の不一致」での円満離婚とは限りません。DVや借金、家庭不和など、近所の人の耳に「悪い噂」が立ったうえでの離婚もあるでしょう。

購入して自分たちが住んでから、お節介なご近所さんからの噂話を聞かされるのもめんどくさいですし鬱陶しいので、避けられるのであれば避けておきたいとの気持ちもあるのかもしれないです。

2. 実際の「離婚がらみ」の売却物件の特徴とは

では、実際に離婚を理由として売却される不動産には、どんな特徴があるのでしょうか。

2-1 とにかく早く売りたいケース

実際問題として、離婚を成立させるための財産分与や、新生活のための資金を準備するためなどの理由で、「とにかく早く売りたい」と相場より安めに売り出されることはあります。

こんなケースでの売却物件であれば、買う側からしてみれば「ラッキーっ!」って感じで買いやすくなるのでは思います。

2-2 売却価格に関しては幅が広がりやすい

ただし、前述したような「とにかく早く離婚を」と考えて、すべての離婚物件が安くなるとはわけではありません。

当然ですが、「少しでも高く売りたい」と考える人もいれば、「ローンを完済するためにこれ以上に安くはできない」というケースもあります。

高額物件をぺアローンで購入した夫婦の場合などでは、「売る・売らない」での意見の食い違いや、完済できない場合の残債の処理方法などが纏まらない場合もあるかもしれません。
【参照】離婚時のペアローン問題:オーバーローンにどう対処する?

3. 買主としての不安要素は

「離婚物件って大丈夫なのかな?」と気になる人がいることは事実です。買主から見た「離婚物件」に対する不安要素の代表的なものを見ていきましょう。

3-1 「縁起が悪いかも」という思い込み

円満夫婦からしてみれば、自分たちの幸せな生活に「離婚」というネガティブな要素を自ら進んで近づけようとは思わないのでしょう。

離婚経験者から言わせれば、いわゆる「事故物件」のように“心理的瑕疵”扱いされるものでもないですし、単純に「1組の夫婦が事情があって他人にもどる」というだけの理由ですからね。

「1/3の確率で自分たちも仲間入りするかもしれないのに、なにを気にしているのか」との思いがあるのですが、まぁ、そこはそれ、人それぞれの考え方もあるので、「縁起が悪い」と言われてしまえばそれまでです。そんな人たちは相手にせず、次を探すように気持ちを切り替えていきましょう。

3-2 ドタキャンされない?

この心配はちょっと理解できます。

「離婚することをヤメル」ことはないでしょうが、「ローンが完済できないから住み続けることにした」とか、共有名義の場合であれば、夫婦どちらかが売却に反対をし始めたとか。

「住み替え」や「資産処分」のような売却では想定することが無い理由での「売却キャンセル」が発生する可能性はゼロではないですね。

4. 離婚物件を買うメリットとデメリット

離婚が売却の理由で売られている家には、買う人にとってプラスになる点と注意したい点があります。

4-1 割安で買えるかも

「早く売りたい」という売主の事情から、相場より安く買えるケースがあります。

ローンの返済が進んでいて、売却価格に余裕があるような場合では価格交渉もまとまるかもしれません。条件が合えばお得に購入できるチャンスです。

4-2 契約がまとまらない可能性も

その一方で、ぺアローンでの共有名義や、購入して間もないような物件であれば、ローンの完済の問題などで契約が纏まらない可能性もあります。

共有名義では、全ての名義人が売却に同意しなければなりません。

早く離婚したい側が相手に無断で売却を進めていたような場合、家に対して思い入れのある側が売却に同意しない場合もあります。

売却価格でローンが完済できないような場合では、残る残債の返済割合で意見が纏まらない場合も考えられます。

買主側としては、売主側の都合で振り回されるような事態に巻き込まれないよう、話しを進める前にちゃんと事情を確認することが必要です。

5. 離婚物件に関して思うこと

不動産屋でもあり、離婚経験者でもある身として、離婚物件に対して思うことを書いていきます。

5-1 売却理由として「離婚」が表に出ることは少ない

離婚物件には、事故物件のように「告知の義務」はありません。

あくまでも僕の場合ですが、人の足元を見るような買主や、無神経に事情を聞いてくるような「ちょっと頭の悪い」不動産屋を相手にするのはイヤなので、離婚を原因としての売却で預かった物件の売却理由は「家庭の事情で」とか「仕事の都合で」と伝えるようにしています。

実際に他社の担当者と話しをしてみても、表立って「離婚」と言う人は少ないですね。

なので、ネットの広告などを見て、「かな?」と思うような物件はありますが、「だな」と断言できるような物件は少ないのが実情です。

5-2 物件数は増えていくような

客観的なデータに基づくものではないです。あくまでも主観です。変動金利も上がっていく傾向です。恐らくあと2回は上がると思います。

変動金利の「5年ルール」や「125%ルール」のおかげで、いきなり毎月の返済額が上がることはありませんが、時期が来れば返済額は上がっていきます。

「金の切れ目が縁の切れ目」ではないですが、今までの低金利を前提としてギリギリの計算で家を購入したご家庭では、家計が回らなくなり、いろいろと問題が出てくるのではないでしょうか。

日本人は家に対しての思いが強すぎるので、家計がパンクするギリギリまで返済を続けようと頑張ってしまう人が多いです。

家のために家庭が不和になるのは本末転倒です。早めに見切りをつけて売却を考えていただければと思います。

5-3 「離婚=割安」になることもないのでは

離婚を回避するためでも、離婚をすることになったからでも、売却してローンを完済しようと思うところは同じです。

そして、少しでも高く売って、新生活への資金に充当したいと思う気持ちも同じです。

「安く買えるから離婚物件を探す」という下衆な考えの人は嫌いですし、そんな人は実際に割安な離婚物件に巡り合ったとしても、土壇場ではビビッて御託を並べるだけで、結局は買えないんですよ。

結局のところ、「安くてもいいから、離婚の為に早く売りたい」というお買い得物件を買うのは買取業者さんになっちゃんですよね。(笑)

そして、そんな割安物件を仕入れた買取業者さんが、適正価格で再販売をすることになるため、「離婚がらみで割安な物件」は世間一般には流通しないと思います。

まとめ

「売却理由=離婚」の物件に関して、思うことをツラツラと書き連ねてきました。

買主としては気になる理由かもしれませんが、物件自体に問題があるわけでもなく、条件が合えばお得に買えるチャンスにはなります。あとは、いざという時に決断できるかだけです。

売主としては、「離婚」という言葉の響きにナーバスになる必要もなく、粛々と売却を進めていけばいいだけの事です。

売主、買主ともに、なにか不安に思うようなことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。自分自身の経験・体験をもとに、できる限りのお手伝いをさせていただきます。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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