離婚する時の財産分与に限らず、不動産を売却する際に仲介と買取のどちらを選ぶか悩む方も多いでしょう。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、自分が望む状況に応じての選択が大切です。今回は、不動産における仲介と買取の基本的な違いから、それぞれの利点と注意点、ケース別の選び方を解説していきます。
2025年7月11日 追記更新

1. 不動産仲介の基礎知識
日常的にお買い物をする食料品や日用品と違って、一生の間に何回も経験することのない不動産の売買。
そのため、不動産会社の仕事内容に関しても、「分かっているような、分かっていないような」微妙な感じになってはいませんか?
まずは、不動産の売買においてメインとなる「仲介」に関しての基礎知識を書いていきます。
そのため、不動産会社の仕事内容に関しても、「分かっているような、分かっていないような」微妙な感じになってはいませんか?
まずは、不動産の売買においてメインとなる「仲介」に関しての基礎知識を書いていきます。
1-1. 不動産仲介とは?
不動産仲介とは、不動産を売りたい「売主」と、不動産を買いたい「買主」の双方の間に立って、それらの手続や契約を成立させることです。
「契約を成立させる」ための仕事は、「不動産を売りたい人」や「不動産を買いたい人」を探すところから始まり、「契約前の物件の確認や調査」「売却物件の宣伝広告」「契約に必要な書類をつくる」など、さまざまな業務が含まれています。
「契約を成立させる」ための仕事は、「不動産を売りたい人」や「不動産を買いたい人」を探すところから始まり、「契約前の物件の確認や調査」「売却物件の宣伝広告」「契約に必要な書類をつくる」など、さまざまな業務が含まれています。
1-2. 不動産仲介業の主な仕事
「家を売りたい」「買いたい」と考えた時に、大部分の人が思い浮かべるのが不動産会社です。不動産仲介の仕事がどのように行われるのかを大まかに見ていきましょう。
1-3. 不動産売買って自分でもできるの?
ごく稀に、「不動産会社に頼むと仲介手数料を取られるから、自分で買主を探すことはできないのかな?」と思う人もいるようです。
実際のところ、不動産会社に頼まずに不動産の売買を友人知人や親子の間で取引することには、法律上何の問題もありません。
ただし、買主が住宅ローンを使っての購入を考えている場合には、ほぼ不可能です。
銀行が住宅ローンでの融資を承認するには、宅建業者が作った「重要事項説明書」と「契約書」が必要になります。
この書類に宅建業者の免許番号の記載と社印が押してあることで、「この取引は正当な取引ですよ」と担保されることになります。ちなみに、重要事項説明書は宅建業者しか作成できません。
実際のところ、不動産会社に頼まずに不動産の売買を友人知人や親子の間で取引することには、法律上何の問題もありません。
ただし、買主が住宅ローンを使っての購入を考えている場合には、ほぼ不可能です。
銀行が住宅ローンでの融資を承認するには、宅建業者が作った「重要事項説明書」と「契約書」が必要になります。
この書類に宅建業者の免許番号の記載と社印が押してあることで、「この取引は正当な取引ですよ」と担保されることになります。ちなみに、重要事項説明書は宅建業者しか作成できません。
1-4. 仲介のメリットとデメリット
2. 不動産買取の基礎知識
不動産の売買において仲介と双璧をなすのが「買取」です。仲介との違いは何なのでしょうか。
2-1. 不動産買取とは?
不動産買取は、不動産会社が買主となって売主から直接不動産を買い取る方法です。
仲介と同じように、「販売前の物件の確認や調査」や「契約に必要な書類をつくる」などの作業は必要ですが、そこはその道のプロの不動産会社です。マンション名と部屋番号、間取りが分かれば、おおよその金額の見当は付きます。
「物件情報を公開して不動産を買いたい人を探す」という、仲介において1番時間のかかる作業が不要になるため、引き渡しまでの期間を大幅に短縮できることが買取の大きな特徴です。
仲介と同じように、「販売前の物件の確認や調査」や「契約に必要な書類をつくる」などの作業は必要ですが、そこはその道のプロの不動産会社です。マンション名と部屋番号、間取りが分かれば、おおよその金額の見当は付きます。
「物件情報を公開して不動産を買いたい人を探す」という、仲介において1番時間のかかる作業が不要になるため、引き渡しまでの期間を大幅に短縮できることが買取の大きな特徴です。
2-2. 買取った不動産はどうなるのか
不動産を買い取った不動産会社さんは、お部屋をリフォーム・リノベーションして商品化した後に「再販売」を行います。
「このマンションなら、これぐらいの工事をすれば、これぐらいの値段で売れるだろう」と算盤を弾くわけです。
そのため、「(売却想定価格)-(工事費)-(諸経費)-(利益)=(買取価格)」の図式が完成します。
「このマンションなら、これぐらいの工事をすれば、これぐらいの値段で売れるだろう」と算盤を弾くわけです。
そのため、「(売却想定価格)-(工事費)-(諸経費)-(利益)=(買取価格)」の図式が完成します。
2-3. 買取のメリットとデメリット
3. 仲介・買取それぞれの注意点
仲介と買取の簡単な説明と、メリット・デメリットを書いてきました。それ以外にも選択する際に注意していただきたいポイントがあります。
3-1. 仲介では「出来上がり」を意識する
「○○○○万円ぐらいで…」と、ざっくりの予算で探している買主さんが多数います。注意していただきたいのが、この「○○○○万円ぐらい」の内容です。
この「○○○○万円ぐらい」が物件価格のみなのか、諸費用も含んでなのか。それともリフォーム代も含んでなのかで、値段交渉の行方が大きく変わってきます。
僕の経験上、「○○○○万円ぐらい」が物件価格のみの買主さんは皆無です。まず間違いなく「諸費用も含んで○○○○万円ぐらい」です。
おおよそ、購入時の諸費用(仲介手数料、登記費用、銀行保証料、その他)は物件価格の10%程度です。
そのため、「2,000万円ぐらい」で探している買主さんでしたら、物件価格としては「1,800万円」程度がリミットになり、販売価格としては「1,880万円」もしくは「1,780万円」のあたりですかね。
築年数が経っていて室内のコンディションが悪く、リフォームが前提になるようなお部屋の場合はさらに難しくなります。
「○○○○万円ぐらい」のなかに、「物件価格+諸費用+リフォーム代」が含まれてくるので計算がややこしくなります。
どれくらいのランクの商材を使って、どれくらいのリフォームを考えているのかで予算が全然変わってきますが、ざっくりの予算の目安としては
さらに、大抵の場合で諸経費として工事総額の10%程度。さらに消費税が加算されてきます。
この計算に当てはめると、築40年前後でフルリノベが必要になるであろうお部屋を、2,000万円ぐらいの予算で探している買主さんの場合、物件価格としては1,000万円ぐらいがボーダーラインです。
ですが、売主さんとしては結構な割合で1,300万~1,500万ぐらいで出されているケースが多いです。結果として「いつまでも売れない」物件となってしまうわけです。
この「○○○○万円ぐらい」が物件価格のみなのか、諸費用も含んでなのか。それともリフォーム代も含んでなのかで、値段交渉の行方が大きく変わってきます。
僕の経験上、「○○○○万円ぐらい」が物件価格のみの買主さんは皆無です。まず間違いなく「諸費用も含んで○○○○万円ぐらい」です。
おおよそ、購入時の諸費用(仲介手数料、登記費用、銀行保証料、その他)は物件価格の10%程度です。
そのため、「2,000万円ぐらい」で探している買主さんでしたら、物件価格としては「1,800万円」程度がリミットになり、販売価格としては「1,880万円」もしくは「1,780万円」のあたりですかね。
築年数が経っていて室内のコンディションが悪く、リフォームが前提になるようなお部屋の場合はさらに難しくなります。
「○○○○万円ぐらい」のなかに、「物件価格+諸費用+リフォーム代」が含まれてくるので計算がややこしくなります。
どれくらいのランクの商材を使って、どれくらいのリフォームを考えているのかで予算が全然変わってきますが、ざっくりの予算の目安としては
・75㎡程度のフルリノベ:800万円~
・ユニットバス、キッチン取替え:各100万~
・洗面、トイレ:各15万~
・クロス張り替え:50万~
・ユニットバス、キッチン取替え:各100万~
・洗面、トイレ:各15万~
・クロス張り替え:50万~
さらに、大抵の場合で諸経費として工事総額の10%程度。さらに消費税が加算されてきます。
この計算に当てはめると、築40年前後でフルリノベが必要になるであろうお部屋を、2,000万円ぐらいの予算で探している買主さんの場合、物件価格としては1,000万円ぐらいがボーダーラインです。
ですが、売主さんとしては結構な割合で1,300万~1,500万ぐらいで出されているケースが多いです。結果として「いつまでも売れない」物件となってしまうわけです。
3-2. 買取でも相場観は大切です
4. ケース別の選び方
仲介と買取の違いが分かったところで、不動産の売却ではどちらを選ぶのがいいのでしょう。
4-1. 早く売却したい場合
財産分与を行い、一刻も早く離婚を成立させたいのであれば、迷わず「買取」を選びましょう。
スピード以外のもう一つの理由として内覧対応もあります。
購入希望者、内覧者からは、結構な割合で「売却理由」を聞かれます。離婚が理由であっても、「資産処分」や「住み替え」などの理由でかわすようにはするのですが、カンのいい人は感ずきます。
週末に顔を合わせていたくないと、夫婦どちらかが内覧時に不在にしていると、「大切な家の売却なのに、出掛けるなんて…?」と不審がられてしまいます。自分には関係ないのに、「離婚が原因で売る家を買うなんて縁起が悪い」と、避けてしまう迷惑な人も中にはいます。
内覧時だけでも仲のいい夫婦を演じられるのであればいいのですが、内覧が何度もあるとお互いに疲れてきてしまいます。
離婚の話しに集中するために、他のことで神経をすり減らさずに済ませられるのも買取のメリットです。
スピード以外のもう一つの理由として内覧対応もあります。
購入希望者、内覧者からは、結構な割合で「売却理由」を聞かれます。離婚が理由であっても、「資産処分」や「住み替え」などの理由でかわすようにはするのですが、カンのいい人は感ずきます。
週末に顔を合わせていたくないと、夫婦どちらかが内覧時に不在にしていると、「大切な家の売却なのに、出掛けるなんて…?」と不審がられてしまいます。自分には関係ないのに、「離婚が原因で売る家を買うなんて縁起が悪い」と、避けてしまう迷惑な人も中にはいます。
内覧時だけでも仲のいい夫婦を演じられるのであればいいのですが、内覧が何度もあるとお互いに疲れてきてしまいます。
離婚の話しに集中するために、他のことで神経をすり減らさずに済ませられるのも買取のメリットです。
4-2. 少しでも高く売却したい場合
5. 離婚経験者が考える最適の方法
少しでも高く、そして少しでも早く売却をしたい。離婚に伴っての不動産売却であれば、誰しもが抱くことでしょう。
買取での価格で住宅ローンが完済出来て、財産分与も滞りなく終わるのであればベストですが、「少しでも高く」の希望が捨てきれない場合には、不動産会社に「買取保証」の相談をしてみましょう。
買取保証とは、仲介での査定と買取での査定の2種類の査定価格を出してもらい、一定期間は仲介での販売を。その期間で売れなかった場合には買取での価格での売却を行う方法です。
どんなに安くても買取での価格では売却できるので、住宅ローンの完済に向けての資金計画も進めることができ、財産分与の話しも進めることができます。
「売れる金額」が見えることで、離婚に向けて不安な気持ちを少しでも減らすことができると思います。
口の悪い人や、時代遅れの考えの人の中には、「買取で売却するために、仲介の間は本気で販売活動をしないんじゃないか」と疑う人もいると思うのですが、今の時代にそんなことをする不動産会社はごく少数です(ゼロとは言えないのが、不動産業界の残念なところなのですが…)
売却に向けて話しをしていく中で、不動産会社の営業方針や担当者の人柄を見極めていけば大丈夫ではないかと思います。
買取での価格で住宅ローンが完済出来て、財産分与も滞りなく終わるのであればベストですが、「少しでも高く」の希望が捨てきれない場合には、不動産会社に「買取保証」の相談をしてみましょう。
買取保証とは、仲介での査定と買取での査定の2種類の査定価格を出してもらい、一定期間は仲介での販売を。その期間で売れなかった場合には買取での価格での売却を行う方法です。
どんなに安くても買取での価格では売却できるので、住宅ローンの完済に向けての資金計画も進めることができ、財産分与の話しも進めることができます。
「売れる金額」が見えることで、離婚に向けて不安な気持ちを少しでも減らすことができると思います。
口の悪い人や、時代遅れの考えの人の中には、「買取で売却するために、仲介の間は本気で販売活動をしないんじゃないか」と疑う人もいると思うのですが、今の時代にそんなことをする不動産会社はごく少数です(ゼロとは言えないのが、不動産業界の残念なところなのですが…)
売却に向けて話しをしていく中で、不動産会社の営業方針や担当者の人柄を見極めていけば大丈夫ではないかと思います。

まとめ
仲介での売却と比べると売却価格が安くなってしまうため、買取での売却は悪く言われがちです。
ですが、仲介よりも優れたメリットもたくさんあり、特に離婚での売却では使い勝手も優れていると思います。
離婚に限らす、不動産の売却をスムーズに進めるためであれば、買取も一考に値すると思います。
悩んだ時にはお気軽にお問い合わせください。仲介、買取を問わず、最適な方法での売却をご提案・お手伝いさせていただきます。
この記事を書いた人

エイチ・コーポレーション 代表:林 裕 地
【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。
結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。
保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など
ですが、仲介よりも優れたメリットもたくさんあり、特に離婚での売却では使い勝手も優れていると思います。
離婚に限らす、不動産の売却をスムーズに進めるためであれば、買取も一考に値すると思います。
悩んだ時にはお気軽にお問い合わせください。仲介、買取を問わず、最適な方法での売却をご提案・お手伝いさせていただきます。
この記事を書いた人

エイチ・コーポレーション 代表:林 裕 地
【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。
結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。
保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など