BLOG ブログ

どうして築40年のマンションを売りたくなるの?よくある理由を紹介

マンションも築40年を過ぎると「そろそろ売ったほうがいいのかな?」と悩む人も出てきます。実際にこの時期は、建物の老朽化や修繕費の負担増、生活スタイルの変化など、売却を検討する理由がいくつも出てきます。今回は、築40年マンションを売却したくなる代表的な理由と、売却の際に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

1. 築40年のマンションの所有者はどんな人なのか

売却の理由を考える前に、実際に築40年のマンションにはどんな人が住んでいるのかを考えてみましょう。

1-1 新築で買って住み続けている人

1番多い割合は、新築時に購入してそのまま住み続けている人です。年齢層としては70代半ばから80代ぐらいの人ですね。

「隣近所に住んでる人ってどんな感じの人か分かりますか?」と質問をされた時にも、このような年代の人が多いですよと答えると「やっぱりそうですよね」の反応が返ってきます。

ある意味、マンションの外観・雰囲気とマッチするような方々ですね。

1-2 相続もしくは親の住み替え時に譲り受けた人

親がお亡くなりになっての相続や、施設に入る、住み替えなどの理由で子ども世代が譲り受けて住んでいるケースもあります。

子どもが自分の家を買うまでの「つなぎ」として、「賃貸の家賃を払うぐらいなら、ここに住んでお金貯めればいいだろ」と言ってくれる優しい親御さんもいるようで、羨ましい限りです。

子どもにしてみても「住み慣れた実家」なので、周囲の環境も分かっていて暮らしやすいでしょうね。

1-3 中古で購入した人

当然ですが、フツーに中古で購入した人も住んでいます。

後述しますが、この「中古で買った人」の場合、築何年の時に買ったのかで「築40年」を迎えた時の判断が変わってきます。ある意味、1番難しい選択を迫られる人たちかもしれないです。

2. どんな人が売却を悩むのか

今までの経験や、独断と偏見で、「築40年」を迎えたマンションの売却を悩む人の特徴を書いていきます。

2-1 築浅で買った人

築10年ぐらいまでの「築浅」で購入した人たちは悩みどころです。

なんとなくの感覚ですが、これぐらいの築浅マンションを買われた人の年齢層が「そろそろ定年を迎える人」の割合が多い気がします。

35~40歳ぐらいの時に築10年前後のマンションを購入したとすると、ちょうど定年を迎える65歳前後になる計算です。

住み続けるにしても、それなりの規模でのリフォーム・リノベーションをする必要があるし、これから先も夫婦2人で暮らすには、家族3人・4人で暮らす前提で購入したマンションではちょっと広すぎる感じもするので、もう少しコンパクトなマンションに住み替えた方がいいのかもと考えてみたり。

築40年のマンションに住んでいる人の中で、売るかどうかを一番悩むグループではないかと思います。

2-2 親から譲り受けた人

恐らく、この人たちは2つのグループに分かれると思います。

「いつかは自分で家を買う」と考えてきた人たちと、「家賃の負担もなくてラク」と考えてきた人たちです。

「家を買う」と考えて着々とお金を貯めてきた人は、家を買ってからは「売れる値段で売る」と、とっとと処分をしているようです。

「家賃の負担がなくてラク」と考えてきた人は、これからアタフタと考えだすのでしょう。ただ、苦労はすると思いますよ。きっとお金も貯めずに車や趣味に好き放題に使ってきたでしょうし。

こんなタイプの人に何人かには会ってきましたが、なかなか世の中を舐めた考えの方が多かったですね。親の躾けもありますが、はっきり言ってしまえば自業自得です。頑張ってください。

3. 修繕費や老朽化による負担増の悩み

マンションも築40年を迎えると、どうしても建物の老朽化は避けられません。その結果、修繕費や管理費の値上げなどが大きな負担となり、売却を考えるきっかけになります。ここでは、どんな負担が増えるのかを具体的に見ていきましょう。

3-1 修繕積立金の値上げ

マンションの維持・管理のために定期的に行う大規模修繕工事ですが、築30年~35年を過ぎるとエレベーターの更新時期も迫ってきて、修繕積立金が足りなくなるマンションも出てきます。

さらに、最近の物価高の影響で人件費や施工部材の値上げも重なり、今後はさらなる修繕積立金の値上げも予想されます。

感覚的には15,000円~18,000円ぐらいまでが許容範囲。20,000円を超えてくると「ちょっとしんどいな」と思う人が増えてきます。

修繕積立金だけでなく管理費も値上がりする傾向なので、ローンを払い終わっている家計にとっても大きな出費となり、「このまま払い続けるのは大変」と売却を考えるケースも増えてきそうです。

3-2 共用部分の老朽化による不安

築40年を経過すると、エレベーターだけではなく、給排水管やオートロックなどといった共用設備でも故障のリスクは高くなります。

「家の中は自力で直せるけど、共用部はねぇ…」とマンションの将来性に不安を感じ、老後の安心感を考えての住み替えを検討する人も増えてきます。

3-3 管理組合、他の所有者とのトラブル

マンションは多数の所有者が共同で住む「区分所有」の建物です。

築40年を過ぎ、「売却して住み替え」を考える人と、「このまま永住しよう」と考える人が入り混じってくると、いろいろと物事に関しての考え方も違ってきます。

そのため、外壁塗装やエレベータの修繕の必要性に関しても、「今のうちにメンテをした方が」と考える人と、「まだ大丈夫」と考える人との間での合意形成も難しくなります。

また、住人の高齢化が進むと、それに比例して「滞納」の問題も出てきます。「払わなければいけない」と分かってはいても「ない袖は振れぬ」で、滞納をしてしまうケースもあります。

滞納額が高額になってくれば、当然ですが管理や修繕に影響も出てきます。そうなってくると住民同士のいがみ合いにも発展し、管理組合としての雰囲気も悪くなってきます。

そういったトラブルが表面化してくると、「めんどくさいな」と考える人も出てきて、「今のうちに売却してしまおうか」と考える人も多くなります。

3-4 耐震性や安全性への不安

築40年を過ぎたマンションには、現在の「新」耐震基準を満たしていない建物もあり、「このまま住み続けても大丈夫だろうか」と不安を感じる人もいるようです。

ただ、「旧」耐震基準だからといって一概に安全面に不安があるわけでもなく、個々の建物の形状や修繕状況によっては、巷の「新」耐震基準のマンションよりも安全なのではと思うようなマンションもあり、誰が書いたのかも分からないような無責任な情報に惑わされないようにすることも必要です。

4. 家族構成やライフスタイルの変化

築40年が経つマンションに新築や築浅時代から住み続けている所有者には、家族のライフステージが変化している人も多くいるはずです。

子どもの独立や自身の高齢化による住み替えの必要などが、売却を考える理由になるケースも少なくありません。

4-1 子どもの独立で広さが不要に

子どもが独立してしまうと、今までのような3LDKや4LDKでは部屋数が余り、居室ではなく「荷物部屋」になっている部屋も見受けられます。

荷物を整理して、ごみを処分して室内をスッキリとさせるだけではなく、「そもそも、今となってはこんなに広くなくてもいいのでは?」と考える人もいます。

その結果、今のマンションを売却して、もう少しコンパクトなマンションに住み替えることを考える人が増えてきます。

4-2 高齢化と生活動線の問題

歳を取ることで足腰が弱くなり、エレベーターがないマンションなどでは移動が負担になってくることもあります。

室内に段差があるようなマンションでは、ちょっとした段差が原因となっての事故やケガにつながる場合もあります。

足腰が弱くならないように普段からの生活に気を付けていただくのが何よりなのですが、万が一の安心を考えて、バリアフリーなマンションや、駅近などの普段の暮らしに便利な立地のマンションに住み替えるために売却を検討するケースが目立ちます。

4-3 ライフスタイルの変化への対応

ライフスタイルの変化により、今の時代に求められる住環境も変化しています。

4人家族や5人家族での暮らしを想定した、「狭くても個室を確保する」ことを念頭においた古いマンションの間取りや設備がこれからの生活に合わず、今後の暮らしに合った住まいを求めて売却を選ぶ人もいます。

5. 資産価値と将来性への不安

マンションも築40年を過ぎてくると、不動産としての資産価値は下がりやすくなります。

そのため、「これ以上価格が下がる前に、売れる時に売ってしまいたい」という心理も、売却を考える大きな理由のひとつです。

5-1 築年数による資産価値の下落

マンションに限らず、モノの価格は新品からの年数を経るとともに下がっていきます。

築40年のマンションは建物としてはまだまだ十分に現役なのですが、世間一般の認識では将来性を考えた場合に不安が先に立っているのも現実です。

そのため、いざ売却を考えた時の買い手の数も限られるため、「売れるのであれば今のうちに」と売却を検討する人が増えてくるタイミングでもあります。

5-2 相続を見据えた資産整理

「将来もっと古くなったら売れなくなるのでは?」という不安は、相続を考えるような年齢になった世代にとっては売却を考える理由になります。

自分の死後に子ども世代に古いマンションを残すことで「負動産」となる可能性もあります。

実際に相続が身近になってきたタイミングで、「売れるタイミングで早めに売却を」と考えて、資産を整理する家庭も増えてきています。

5-3 資産整理や老後資金への活用

相続を見据えるだけではなく、築40年のマンションを資産として活用するためにも早めに売却して現金化し、施設への入居費用に使ったり、住み替えの費用に充てたいと考える人もおみえです。

手持ちの現金資産にマンションの売却することで得た現金をプラスすることで、資産の整理だけではなく老後資金として活用しやすくもなります。

6. はたして築40年マンションは売れるのか?

「建ってから40年も経つマンションなんて売れるの?」と思う方も大勢いますが、立地や管理状態によっては確実な需要があります。

ここでは、築40年経ったマンションでも売れる可能性と、売れるための条件を解説していきます。

6-1 築古マンションには立地の良い物件が多い

「マンションは立地を買え」の格言があります。一戸建てと比べると、マンションの購入層は駅や商業施設や公共施設などを含めた「利便性」を重視する傾向があります。

人間だれしも不便な場所よりも便利な場所を好みます。マンションが建つような市街地であればなおさらです。

便利な場所から開発が進んでいくため、築40年を絶つようなマンションには利便性に優れた立地に建つものが多くあります。

「駅近だからこの値段」ではなく、「この値段で駅近マンションが」の値付けを心掛けていただければ、築年数が古いマンションでも一定の購入需要は見つけられます。

6-2 管理状態の良さは重要ポイント

大規模修繕工事を含めた建物の修繕がきちんと行われているか、共用部分の清掃状況どうかなど、管理状態が良い物件は築40年を経ても売れやすいです。

築古のマンションであればあるほど、「古いのにちゃんと手入れされてるな」と買い手に思ってもらえるような状態が大切です。

そのためには、「お金だけ払っておけばあとは管理会社にお任せ」とするのではなく、あくまでも自分自身の資産として考え、管理組合の活動にもしっかりと参加して意見を述べていくことが大切です。まぁ、実際には無関心な住人の方が多いので難しいんですけどね。


築40年マンションの売却に関してはこちらに詳しくまとめてありますので、よろしければご一読ください。
【参照】「築40年のマンションなんて売れない」に騙されないで。ちゃんと需要はあります。

7. 後悔しないための売却準備のコツ

築40年マンションを売ると決めたら、準備をきちんと進めることが大切です。

7-1 しっかりとライフプランを考慮する

「なんとなく」や「思い付き」で売却をスタートするのではなく、将来のライフプランや家族構成を見据えて考えることが大切です。

老後に子どもと同居する予定の有無、定年後に再就職や嘱託、シルバー雇用などを利用して仕事をするのかなど。老後の暮らし方や、可能であれば相続のことを子どもと相談してみるなどまでできると、売却と永住のどちらが自分にマッチするのかの最適な選択が見えてきます。

7-2 リフォームやリノベーションも検討してみる

築40年経ったマンションだからと、必ずしも売却が最適解になるとは限りません。

自分たちがどういった暮らしをしたいのかを考えることで、小規模なリフォームで対応できるかもしれませんし、フルリノベーションを施したうえで住み慣れたマンションに永住することが最適になるかもしれません。

費用対効果を考えながら、焦らず慎重に「売却か永住か」を考えることが大切です。

7-3 資産としてのマンションの価値を見極める

いろいろと検討した結果として「売却」との結論に達したのであれば、次は売却方法を検討しましょう。

一般的に、少しでも高く売りたいのであれば「仲介」。安くなってでも早く売却をしたいのであれば「買取り」での売却がオススメと言われています。

ただ、築40年を経たマンションであれば、室内のコンディションもそれなりに痛んではいるでしょう。はたして、その状態のお部屋を仲介で売りに出した場合に、売れるのかどうか。売れるまでにはどれぐらいの期間が予想されるのかなど、客観的に考える必要があります。

仲介と買取の違いなどはこちらで詳しく解説していますので、よろしければご一読ください。
【参照】離婚に限らず不動産を売却する際の仲介と買取の選び方のポイント

まとめ

築40年のマンションを売却したくなる理由には、修繕費や管理費の負担増、ライフスタイルの変化、資産価値の下落といった現実的な事情があります。

「古いから売れないのでは?」と心配される方も多いですが、立地や管理状態によっては需要が十分にあり、リノベーション目的で買いたい人も少なくありません。

築40年を迎えるからこし、「売る」「住み続ける」の選択を冷静に考え、自分や家族にとって一番良い決断をしてみてはいかがでしょうか。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

CONTACT
お問い合わせ

離婚時の不動産売却なら
エイチ・コーポレーションへ