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離婚と別居の違いとは?知っておきたい基礎知識と自分に合った選択はどっち?

先日、とあるマンションのオープンハウスへ「10年ぐらい別居している」お客さんが来場されました。「そんなに長い期間離婚せずに別居する理由ってなんだろう?」と不思議に思いちょっと調べてみました。法律論は弁護士系サイトに任せて、離婚経験者として考える離婚と別居の感覚的な違いを書いただけなので、ゆる~い感じでお読みください。

1. 離婚と別居の基本的な違い

離婚と別居の違いはなんとなく理解はできていますが、いざ自分が離婚か別居かを選択する際には、その違いをしっかりと理解・把握しておくことが大切です。

まずは、離婚と別居それぞれがどのような意味や法的な違いを持つのかを確認していきましょう。

1-1 離婚の定義と法的意味

離婚とは、役所に婚姻届を提出し、同じ戸籍に入り夫婦として暮らしていた2人が、役所に離婚届を提出して、ものと他人同士に戻ることです。

役所に紙切れ1枚を提出することで結婚も離婚も成立してしまうので、考えてみれば薄っぺらい関係ともいえるのかもしれませんが、結婚と比べると離婚は何倍も手間がかかり、面倒な作業ではあります。

親権や養育費の取り決め、財産分与など色々と大変ではありますが、離婚が成立した後は婚姻関係が完全に解消され他人に戻り、2人がそれぞれ独立して生活することが法的に認められます。独身アゲインです。

1-2 別居の定義と法的意味

別居とは、あくまでも夫婦関係を維持したまま、物理的に生活を分けることです。「ひとつ屋根の下」で暮らすのではなく、「別の屋根の下」でそれぞれが暮らしていくかたちです。

法的にも離婚とは異なり、別居後も婚姻関係は続いているため、経済面や家庭内での夫婦としての責任もある程度は共有され、金銭面や養育面で相手との意思確認や相互協力が必要な場合も多いです。単身赴任を考えると分かりやすいかもしれないですね。

2. 離婚と別居での法的な違い

あくまでも夫婦として籍を入れたまま別々に生活を続ける別居と、離婚する場合とでは、法的な部分ではどのような違いがあるのでしょうか。

パッと思いつく範囲では次のような違いがあります。
・子どもの親権
・扶養の義務
・公的扶助
・扶養手当や家族手当

2-1 子どもの親権

離婚をすると、父母どちらかが未成年の子どもの親権者となります。どちらが子どもの面倒をみて育てていくのかを決めることですね。

今までの日本は単独親権だったため、ドラマなどでは、「俺が育てるっ!」「私が育てるっ!」って感じで揉めている場面が描かれますが、実際にはどうなんでしょう?そこまで親権にこだわる夫婦っているんですかね?

以前にも子どもがいる男が離婚を決断した理由とはの「3. 子どものことはどう考えたのか」で書きましたが、子どもが中学、高校ぐらいになったら、会いたければ会いにくるし、会いたくなければ、どれだけ自分が会おうと言っても会ってはくれないだろうし、そこまでこだわる必要が僕には理解できないです。

ただ、法的には親権を持っている側の意見が強くはなるようなので、大事な要素ではあるのかもしれないですね。

ただし、2024年5月17日に民法が改正されて、今後は共同親権が導入されることになったようなので、親権や面会交流の考え方も変わっていくのかもしれないです。

2-2 扶養の義務

夫婦には、お互いを助け合う相互扶助の義務や、生活費をお互いに分担する「婚姻費用の負担」の義務などがあります。

離婚して他人になってしまえば相互扶助や婚姻費用の分担義務はなくなるため、元嫁、元夫を扶養する必要がありません。

ですが、別居の場合は婚姻関係は継続しているため、扶養義務や婚姻費用の支払い義務も継続するため、相手の生活が苦しい場合には金銭面などでの援助をする必要があります。「夫婦」である以上、お互いに同等の暮らしをする権利があるという考えでしょうね。

なお、夫婦が離婚して他人となったとしても、子どもに対しての扶養義務は残るため、子どもと一緒に暮らしていなくても養育費は支払わなければいけないですよ。

2-3 公的扶助

18歳までの児童を育てている親に支給される児童手当とは別に、ひとり親世帯に対して支給される児童「扶養」手当(いわゆる母子手当)や、所得税や住民税の控除を受けられる寡婦(夫)控除など、ひとり親に対しては様々な優遇制度が存在します。

どの制度も所得に応じて優遇幅は変わるのですが、おおむね所得が低くなりがちな女性側には心強い制度にはなっています。言い方は悪いのですが、「母子手当太り」の人も時々見受けられるぐらいです。

2-4 扶養手当や家族手当

法的面からは外れますが、会社によっては結婚して扶養家族がいる社員に対して家族手当や家賃補助を支給している場合があります。

同じ社員でも、結婚しているかどうかで待遇が変わるのはいかがなものかと思う部分もありますが、もらっている人にしてみれば大きなメリットですよね。

別居状態だと手当がもらえるけど、離婚をしてしまうと手当がもらえない。こんなことで離婚を思いとどまれるようなら、最初から離婚なんて考えない方がいいですよ。

3. 離婚のメリット・デメリット

離婚と別居を決断するには、どちらの選択が自分や家族(子ども)にとって最良かどうかを考える必要があります。

まずは、離婚することのメリットとデメリットを見てみましょう。

メリット① 相手と会わなくてもよくなる

離婚届を提出するだけで成立する離婚ですが、そこに至るまでの過程や、その後の生活を考えると軽々しくできるものではありません。

ですが、それを差し置いても離婚したいと思えるような相手(夫なり妻)と会わなくてもよくなることが、離婚の最大のメリットだと思います。

離婚を推奨する気はサラサラありませんが、思い詰めて気持ちが切れてしまうようであれば、いっそ離婚してしまった方がいいと思います。

メリット② 自分の時間が増える

離婚して1人になれば自分の時間が増えます。趣味や仕事に打ち込んでもいいですし、ただ単純にのんびりとしてもいいと思います。

ゆっくりと自分1人の時間を過ごしながら、のんびりと将来を考えるのもなかなかオススメの過ごし方です。

メリット③ 堂々と新しいパートナーを見つけられる

離婚が成立する前に見つけるのはダメです。いろいろ面倒な事が発生してしまいます。

ですが、離婚が成立して独身に戻ってしまえば、新しいパートナーを見つけることに躊躇する必要はありません。マッチングアプリでも婚活パーティーでも、お好きに参加してください。

デメリット① 子ども関係の取り決めが大変

親権や養育費など、子ども関係の取り決めをするのは大変です。

親権に関しては8~9割のケースで女親が持っていきます。そのため、少しでも多く勝ち取りたい妻と、少しでも手元に残したい夫とのせめぎあいは発生してしまいます。

いわゆる性格の不一致で離婚する夫婦と、なにか相手に問題行動があって離婚する夫婦とでは、相手に対しての不信感の度合いも違います。

不信感が高ければ高いほど、お金を渡したくない心情にもなってしまいますが、そこは子どもの為と割り切って、男親側がある程度は譲歩した方が建設的に話しが進むと思います。

デメリット② 経済的にはしんどくなるかも

財産分与をしたうえで養育費の支払いも発生します。結果として経済的にはしんどくなることが多いと思います。

ですが、離婚するということはそういうことです。離婚すればすべてがバラ色になるわけではありません。そのあたりの事をしっかりと考えて物事を進めるようにしてください。

4. 別居のメリット・デメリット

離婚するまでではないけど一緒に暮らすのはイヤ。そんな理由で別居の選択をする場合もあるかもしれません。

別居することでのメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット① ストレスから解放される

離婚までいかずとも一緒に暮らすのはイヤな相手の顔を見たり、声を聞いたり、ましてや生活を世話をする必要もなくなるので、ストレスは大幅に軽減されます。

ストレスが溜まると、仕事に支障が出たり、子どもに対して強く当たってしまったりと、色々と悪循環になってしまいがちです。

「ちょっと相手と距離を置きたいな」の状況であれば、いきなりの離婚よりは別居で様子を見てみるのもいいかもしれないですね。

メリット② 婚姻費用を受け取ることができる

婚姻費用とは生活費全般を指す言葉で、住まいに関する費用や食費、衣服代、医療費や交通費、交際費など多種多様な費用が含まれます。

夫婦には婚姻費用を分担する義務があるため、専業主婦やパート務めなどで収入の少ない妻が別居した場合には、夫は生活費の不足分を負担しなければなりません。

婚姻費用の妥当な額は、世帯収入や夫婦の社会的地位、子どもの有無などによって変わるのですが、離婚せずに夫婦関係が続いている別居の場合では、夫婦のお互いが同等レベルの生活を送れるようにしなければならないようです。

ただ、離婚後の養育費と同じように、相手側の状況しだいで支払いが滞る可能性はゼロではないため、覚書なり公正証書なりの書面を交わしておいた方がいいと思います。

デメリット① 専業主婦の場合は住居探しが大変かも

フルタイムで働いていれば問題ないでしょうが、専業主婦やパートの奥さんだとお部屋探しが大変になります。

気に入ったお部屋があっても入居審査での収入基準でアウトになったり、保証会社の審査に落ちたり。

まだまだ関係が良好状態であるならば、ご主人の名義で借りてもらうなり、ご主人に保証人になってもらうなりの方法を考えてみてもいいかもしれないですね。

デメリット② 新しいパートナーが見つかると複雑に

離婚して独身に戻ったわけではないので、別居状態での暮らしには注意が必要です。

別居生活が長くなり、仕事先や交友関係の中でステキな異性と出会ったとしても、うかつな行動は厳禁です。

「どうせバレないから」と不倫関係になってしまい、何かの拍子に相手にバレてしまえば離婚問題に発展してしまうかもしれません。

浮気がバレてしまえば不貞行為として慰謝料を請求されてしまいますし、財産分与を含めた離婚条件でも不利な条件を出されてしまう可能性もあります。

「単身赴任先で夫が浮気して」のパターンにならないよう、別居を選ぶのであれば節度を持った生活を心掛けてください。

5. 離婚・別居に向けて思うこと

離婚と別居の違いや、メリット・デメリットを書いてきましたが、実際に離婚や別居をするしないに関わらず、離婚をした不動産業界の人間として思うことを書いていきます。

5-1 女性は早めに社会復帰を

妊娠、出産、子育てと、どうしても女性には負担が大きい世の中です。

訳あって離婚して、シングルマザーとして頑張っている方にも多数お会いしてきましたが、できる限り早く社会復帰した方が、ご自身にとってもメリットが大きいのかなと思います。

女性の方は強いです。とくにシングルマザーさんは皆さん頑張ってます。仕事に家事に育児にと孤軍奮闘していらっしゃいます。

シングルマザーの方の一番の心配は、やっぱりお子さんのことで、「私に何かあった時に、この子が安心して暮らしていけるように」と、マンションを探している人がけっこういます。

30代で幼稚園児を抱えたお母さんなんかは、けっこう切実にお考えになってます。

そんな時にどうしても問題になるのが年収と勤続年数です。

2024年現在の状況であれば、30代で300万ぐらいの年収で、車のローンなどがなければ、35年払いで1,500~1,800万ぐらいのマンションを購入して、管理費や修繕積立金を合わせても7~8万ぐらいのランニングで暮らしていけます。

団体生命保険にも加入でき、万が一の時にはローンはなくなり、銀行によってはガン団信も無料で付いてくる場合もあります。

ご主人にも家事・育児は分担してもらう必要がありますが、離婚せずに夫婦で暮らしていく場合にも、世帯年収が増えることで暮らしもラクになります。

いろいろ難しい世の中ですが、早めの社会復帰は考えていただければと思っています。

5-2 男性は家事全般できるように

これはホントに思います。

料理、洗濯、掃除、その他雑事全般。家事をできない男性が多すぎると思います。

離婚や別居に限らず、事故や病気で奥さんが亡くなったり入院する可能性もあります。そうなった時には困りませんか?

旦那が先に死んでも奥さんは元気にイキイキと暮らしていき、奥さんが先に死ぬと旦那はどんどんしょぼくれていく。こんな話し聞いたことありませんか?

奥さんと仲良くやっていくためにも、1人になっても生きていけるように、最低限の家事はできるようになっておいた方がいいですよ。

まとめ

ふとしたことから思いついた、離婚と別居の違いに関してツラツラと書き連ねてきました。

離婚や別居をするよりも、夫婦仲良く暮らしていく方がいいに決まっていますが、1度の人生を我慢ばかりして生きていくのももったいないとも思います。

不動産のことも、人生のことも、わりと様々な経験をしてきてはいると思います。なにかありましたらいつでもお気軽にお問い合わせください。できる限りのお手伝いをさせていただきます。



この記事を書いた人


 エイチ・コーポレーション 代表:林  裕 地


【経 歴】
住宅リフォームの営業を経て不動産売買仲介会社に転職。エイチ・コーポレーションを平成26年に開業。

結婚のタイミングで新築マンションを購入。その後の子育てや離婚、マンションの売却を経ての中古マンション購入など、実体験に基づいての様々なご提案ができます。

保有資格:宅地建物取引士/ファイナンシャルプランナー/福祉住環境コーディネーター など

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